【観戦記】九州国際大付13-1福岡第一(秋季大会決勝)




【九州国際大付13-1福岡第一(秋季大会決勝)】

1回裏九国大付二死二塁、野田が左越え本塁打を放つ

4本塁打を含む15安打の猛攻を見せた九州国際大付が福岡第一を圧倒、春に続く優勝を決めた。

九州国際大付は初回、先頭の黒田が右前打で出ると中上が送って一死二塁。大島は中飛に倒れたが、4番佐倉の一塁線を破る二塁打で先制した。さらに続く野田が左越え本塁打を放ち、この回3点を奪った。
3回はこの回から登板した福岡第一2番手の川波を攻め、左前打で出た中上を大島が送り、佐倉三振の後、野田がレフト右を破る二塁打で1点を追加。5回にも先頭の3番大島が左越え本塁打を放ち、1点を加えた。

7回には大島が三ゴロ失で出塁すると佐倉四球、野田の送りバントで一死二、三塁とし、白井が右前に落として大島が生還すると、本塁への送球が逸れる間に佐倉も還ってまず2点。なおも一死二塁から7番毛利が左越え本塁打で2点を追加した。続く尾崎も左前打で出塁し、浅嶋中飛のあと、1番黒田のセンター左への本塁打でさらに2点を加え、この回6点を奪ってリードを広げた。

8回はこの回から登板した3番手・久保から大島が四球を選び、佐倉がセカンド左を破って一、三塁。続く野田の左前打で大島が生還した(スタートを切っていた佐倉も三進)。なおも無死一、三塁から代打太田は三飛に倒れたが、打者毛利の時に重盗が決まり、この回2点を追加して勝負を決めた。

九州国際大付の先発・野田の前に3回二死まで走者を出せなかった福岡第一は、4回二死から北井がセンター左を破る二塁打を放ったが高が遊飛に倒れて無得点。6回には一死から1番石田が右前に落として出塁したが、坂本の一塁線へのプッシュ気味のバントをファースト佐倉が飛びついて好捕、一塁走者も戻れず併殺となった。
9回二死後、坂本が右前に落として出塁したあと、北井が左越え二塁打を放って1点を返すにとどまった。

第149回九州地区高校野球福岡大会決勝 (2021年10月24日・日/北九州市民球場)
        一二三四五六七八九   計 HE
  福岡第一  000000001 01042

  九国大付  30101062x 13151
 福岡第一  打安点  九国大付  打安点 ◆投手成績
(三)石 田 410 (中)黒 田 432 福岡一 回 安球振責
(左)坂 本 410 (右)中 上 210 杉本  2 3103
(遊)北 井 421  打左 小田原200 川波  5 10235
(二) 高  400 (左右)大島 311 久保  1 2112

(捕)宮 島 300 (一)佐 倉 421 
(中)末 永 300 (投)野 田 444 九国付 回 安球振責
(右)小 嶋 200 (二)白 井 311 野田  9 4010
 打 花 村 100  打 太 田 100 
右  重  000  二 隠 塚 000 試合時間
(右)江 口 300 (捕)毛 利 522 14:00~15:48
(投)杉 本 000 (遊)尾 崎 310
打 上 杉 100  打 高 尾 100
投 川 波 100  遊 藤 木 000
投 久 保 000 (三)浅 嶋 400
打 五 味 100
  
振球犠盗残  打安点  振球犠盗残 打安点
100003  3141   5442  361511
※公式記録ではありません

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九州国際大付・野田

すでに九州大会出場は決めているものの、九州大会で上位を目指すには1位で突破したい両校。先発オーダーには、準決勝までとほとんど変わらない主力メンバーが名を連ねた。

準々決勝、準決勝とエース香西が完投した九州国際大付は、準決勝まで捕手としてチームの要となってきた野田をマウンドに送ってきた。初球いきなり139キロの直球を投げ込むと、2番坂本の時に142キロを計測。これに120キロ台のスライダー、さらに110キロ台のフォークを交える堂々たる投球で三者凡退で初回を片付けた。
2回以降もテンポよく投げ続け、8回までに許した走者はわずかに3人(2安打と味方の失策)で、三塁を踏ませない見事な投球を見せた。
直球は5回にこの日最速145キロを計測。変化球の切れ味・制球力も抜群で、スリーボールにしたのも9回最後の打者の時だけ。10個の三振を奪って無四球完投という完ぺきな内容だった。

打っても初回に高々と左翼席に打ち込む本塁打を含めて、4打数4安打4打点の大活躍。最近は、エンゼルス・大谷翔平選手の影響で「二刀流」と騒がれる球児も増えたが、投手として、野手(5番捕手)として高いレベルのプレーを見せる野田には、真の「二刀流」への期待が高まる。

福岡第一の先発・杉本

ただ、野田の一人舞台にしないところが今年の九州国際大付の強さ。4番佐倉はこの日も痛烈な当たりの2安打を放って存在感を示したほか、1番黒田もバックスクリーン左に飛び込む本塁打を含む3安打2打点。大島、毛利も左翼中段~上段への大きな一発を放って強打ぶりを印象づけた。ショートの尾﨑が広い守備範囲と強肩を披露し、ファースト佐倉も一塁線へのプッシュバントに反応よく飛びついて好捕するなど、守備でも詰めかけた観客を沸かせた。

福岡第一の先発は準決勝に続いて左腕の杉本。やや体を沈めて始動しスリークォーター気味のフォームから110キロ台後半(この日最速120キロ)の直球、さらに100キロ台のフォークを投げ込んでくる軟投派。低めを丁寧に突くのが持ち味だが、少しでも高く入ってくると九州国際大付打線は捕らえてくる。初回は3本の痛打を浴び、2回は三者凡退に抑えたが大きな外野フライを打たれたこともあってか、福岡第一ベンチは3回からエースナンバーをつける1年生左腕・川波を投入。

福岡第一・川波

川波は120キロ前後の直球(同123キロ)に100キロ台の抜いた球を投じてくる左の軟投派。低めへの制球力が生命線だが、この日は高く入る球がやや多かったか。3回野田のタイムリー、5回大島の一発はいずれも高めの直球を叩かれたもの。外角いっぱいに決まる直球もあったが、甘く入った球を九州国際大付打線は逃してくれなかった。

8回に登板した3番手の久保も、やはり120キロ前後の直球と100キロ台の変化球を持つ左投手。今年の福岡第一は、似たようなタイプの左腕3枚で九州大会にのぞむ。

準決勝で飯塚・白浜から10安打を放った福岡第一打線は、野田の前に沈黙。その中で3番の北井は、2本の二塁打を放って一人気を吐いた。

九州国際大付は福岡大会7試合で73得点、失点わずか7点。特に北部パート決勝以降の4試合で44得点と力のあるところを示した。秋の九州大会は2018年、20年といずれも初戦敗退に終わっているだけに「今年こそ」の気持ちは強いだろう。優勝決定の瞬間、マウンドに集まって天に指を突きあげる選手たちを楠城監督が一喝、整列に向かわせたように、目指す目標はまだ先にある。

 

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