【自由ケ丘9-8飯塚(秋季大会3・4位決定戦)】
両校あわせて32人が出場する総力戦となったが、延長に入ってから二度のリードをひっくり返した自由ケ丘に軍配が上がった。
2点を追う自由ケ丘は12回裏一死後、8番の代打斉藤が左前打で出ると福島三振のあと、前里のライト左への二塁打で二死二、三塁とし、2番梶原の中前打で2者を迎え入れて同点。中村も左前打で続くと、最後は冬木が右前打を放って梶原が生還、逆転サヨナラ勝ちを収めた。
先制したのも自由ケ丘。初回前原が死球で出ると、梶原の投手左への送りバントが内野安打となり一、二塁。中村の一塁前バントは三塁封殺され、冬木は捕邪飛に倒れたが5番吉村が中前に落として先制した。勝ち越された直後の6回は一死から5番の代打麻上が中前打。長村中飛のあと、池永死球で一、二塁とし、8番平塚が詰まりながらショート後方に落として同点。さらに柿原四球で満塁とし、前原が押し出しの死球を受けて逆転した。8回は左中間二塁打で出た6番長村を池永が送り、途中出場の香野がセンター前に落として2点差とした。
その後、9回に追い付かれ11回には2点を勝ち越されたが、その裏先頭の9番福島が中前打。前里左直のあと、梶原左前打、中村投ゴロで二死二、三塁とし、冬木が右翼線二塁打を放って追いつき、12回の逆転サヨナラ劇につなげた。
飯塚は4回、2番田中が四球で出塁。吉村左前打、白浜右前打で無死満塁とし、5番渡辺の遊ゴロ(二塁封殺)の間に同点に追い付いた。6回は一死後、中前打で出た白浜が二盗を決め、渡辺三振のあと捕逸で三進し、嶋田の右前打で生還、勝ち越した。2点を追う9回は、この回先頭の代打隈本が右中間への本塁打で1点差。一死後、1番五島の中前への飛球はセンターが飛びついたが取れずに二塁打となり、郡山の二塁内野安打で一死一、三塁。吉村二飛で二死となったが、白浜が三遊間を破って土壇場で追いついた。
11回表は四球を選んだ2番郡山を吉村が送り、白浜の中前適時打で勝ち越し。白浜が二盗を決めると金子の右飛で三進し、嶋田の中前打で生還、この回2点を勝ち越した。追い付かれた直後の12回にも四球で出た8番隈本が二盗を決め、中村が送って一死三塁とし、後藤の右前打で再び勝ち越し。さらに4連続四死球で1点を加えて突き放したが、二度のリードを守り切れずに接戦を落とした。
第149回九州地区高校野球福岡大会3位決定戦 (2021年10月24日・日/北九州市民球場) |
一二三四五六七八九十一二 計 HE 飯 塚 000101002022 8141 自由丘 100002010023 9161 飯 塚 打安点 自由ケ丘 打安点 ◆投手成績 (中)五 島 621 (中)前 里 511 飯 塚 回 安球振失 (三)田 中 200 (二)梶 原 632 小串 2 3201 遊 郡 山 110 (遊)中 村 720 中村 9.2 13578 (一)吉 村 520 (右)冬 木 723 (左)白 浜 642 (一)吉 村 211 自由丘 回 安球振失 左 福 島 000 打三 麻上 310 柿原 9 10444 (右)渡 辺 301 (左)長 村 610 福島 2.1 4321 打三 金子 301 (捕)池 永 300 松尾 0.0 0401 (捕)寺 浜 200 (三)平 塚 311 蔵本 0.2 1000 ー捕 嶋 田 322 一 香 野 211 (遊)松 田 300 投 松 尾 000 試合時間 ー打右二 福田300 投 蔵 本 000 9:50~13:10 (二)河 村 300 打 斉 藤 110 ー打右 隈本 211 (投)柿 原 210 ー右 新 田 000 投一 福島 210 (投)小 串 000 ー投 中 村 420 振球犠盗残 打安点 振球犠盗残 打安点 6113616 46148 772014 49169 ※公式記録ではありません |
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勝っても九州大会にはつながらない3・4位決定戦は、来春に向けて新戦力を試す場にもなった。特に飯塚は準決勝から選手5人を入れ替えてきた。
自由ケ丘の先発は、背番号11の1年生右腕・柿原。130キロ前後の直球(この日最速133キロ)に100キロ台のカーブで緩急をつけ、8回まで6安打2失点と好投を見せた。四死球を4つ出したが大崩れすることもなく、2回を除いて毎回のように走者を出したが粘り強く投げた。球数が110球を超えた9回に4安打を許して追いつかれたが、全体としてはまずまずの投球だった。
10回から登板した2番手の福島は長身痩躯の右腕。110キロ台のスライダー、100キロ台のカーブと変化球主体の投球を見せた。変化球で2つの三振を奪った一方で、10回・11回とも先頭打者を四球で歩かせるなど制球に課題を残した。
飯塚の先発は右サイドハンドの小串。直球は120キロ台後半から130キロ前半(同133キロ)で、これにスライダ―、100キロ台の緩い変化球を交えてくる。立ち上がり制球に苦しんだが球威はまずまずで4番冬木を捕邪飛、吉村にはショート後方に落とされたが、完全に詰まらせた当たりだった。2回は二死から安打を許したものの無得点に抑えたが、3回先頭を歩かせたところで早くも降板となった。
2番手の中村は今夏の大会でもマウンドに立ち、1年生ながら130キロ台後半の直球を持つ右の本格派。先日の福岡大大濠では141キロを計測した。この日も登板した3回から5回にかけては130キロ台半ば~後半(同138キロ)の直球にスライダ―を交えて無安打に抑えたが、2巡目を迎えた6回に2安打と3四死球で2失点。8回も2安打で追加点を奪われた。7回以降は直球の球速が130キロ前後まで落ち、100キロ台のカーブを多用してしのいできたが、球数が130球を超えた11~12回は8安打を集中され、自由ケ丘打線を抑えられなかった。これまでは速球を武器に抑えとしての登板が多かったが、先発・完投を目指すには終盤のスタミナが課題となってきそう。
打者では両校とも4番が活躍。この日はレフトに入った白浜は最初の打席では100キロ台の変化球にタイミングが合わずニゴロだったが、二打席目はその変化球をしっかりとためて右前に運んだ。第三打席は外角直球をはじき返し、セカンド左を痛烈なゴロで破った。土壇場の9回は同点打、11回には勝ち越し打を放ち、二盗も2つ決めるなど積極的な走塁も含めて打線を牽引した。長打力を秘める一方、夏まではやや粗さが目立っていたが、変化球への対応力や勝負強さも身につけており、今後は打者としても注目される。
自由ケ丘の4番冬木は5打席目まで無安打と元気がなかったが、11回裏二死二、三塁で中村の132キロの直球を右翼線にはじき返す同点適時打。さらに12回も二死一、二塁で右前にサヨナラ打を放つなど、勝負処で存在感を示した。
守備では、自由ケ丘のショート中村が再三にわたり軽快なプレーを見せた。5回はセンターに抜けようかという打球を腕をいっぱいに伸ばして抑えると、一回転して一塁にストライク送球。6回は吉村の痛烈な正面の打球をうまくバウンドをあわせてさばくなど、7つのゴロを無難に処理した。
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