西短大附は二松学舎大付に完封負けで初戦敗退~2021選手権




第103回全国高校野球選手権大会に出場している福岡代表の西日本短大附は20日に初戦(2回戦)を迎え、二松学舎大付(東東京)と対戦しましたが0-2で敗れ、前回出場の2010(平成22)年以来の勝利には届きませんでした。福岡勢は前回大会(2019年)の筑陽学園に続き、初戦敗退となりました。

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【試合経過】
西日本短大附・大嶋、二松学舎大付・秋山、両エースが走者を出しながらも要所を締めるしのぎあいとなったが、6回に挙げた2点を守り切った二松学舎大付が完封勝利を収めた。

両校無得点で迎えた6回裏、二松学舎大付は先頭の瀬谷がニゴロ悪送球で無死二塁とし、関が送って一死三塁。ここで5番浅野が中前打を放ち、瀬谷が先制のホームを踏んだ。続く秋山は左飛に倒れたが、打者丸山の時に浅野が二盗を決めて二死二塁とし、丸山の右前打で浅野が生還。この回2点を挙げた。

6回裏二松学舎大付一死三塁、浅野が先制の中前打を放つ

西日本短大附は2回、4番三宅が四球を選び、山口(雄)スリーバント失敗のあと、穴井も四球で一死一、二塁としたが、今田が左飛、蓑田が三振に倒れて無得点。
6回には江口がチーム初安打となる中前打で出塁すると、池田の送りバントは小飛球となったが、ワンバウンド捕球を試みた捕手がファンブル(記録は失策)して無死一、二塁。林が送って三宅四球で一死満塁としたが、山口、穴井が連続三振に倒れた。
2点を追う7回も中前打で出た今田を蓑田が送り、大嶋の右前打で一死一、三塁とチャンスをつくったが、江口が浅い中飛、池田も遊飛。続く8回も含めて四度、無死の走者を出しながら、二松学舎大付・秋山に要所を締められた。

西日本短大附の大嶋も初回一死二塁、4回二死一、二塁と、四球で出した走者を得点圏に進められたが後続を断ち、5回は一死二塁から永見にも中前打を浴びたが、センター池田の好返球(二走が本塁憤死)にも助けられて5回までゼロを並べた。6回に2点を失った後も我慢強く投げ、二松学舎大付打線を4安打に抑え込んだが、打線の援護がなく涙をのんだ。

第103回全国高校野球選手権大会2回戦(2021年8月20日・金/阪神甲子園球場)
        一二三四五六七八九 計HE
 西短大附 000000000 042

 二松学舎 0000200x 241
 西短大附  打安点  二松学舎  打安点 ◆投手成績
(二)江 口 410 (遊)永 見 310 西短附 回 安球振責
(中)池 田 400 (二)親富祖 300 大 嶋 8 4540
(遊) 林  310 (中)瀬 谷 410 
(捕)三 宅 100 (一) 関  300 二松学 回 安球振責

(一)山口雄 400 (三)浅 野 311 秋 山 9 4490
(三)穴 井 300 (投)秋 山 200  
(左)今 田 410 (右)丸 山 311 
(右)蓑 田 200 (捕)鎌 田 300 試合時間
 打 笹 井 100 (左)桜 井 310 11:53~13:48
(投)大 嶋 310 
振球犠盗残  打安点  振球犠盗残 打安点
94208  2940  45228 2742

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当初の予定日(13日)から順延に次ぐ順延で一週間もずれ込んだこの試合。新型コロナへの感染にも神経を尖らせる中で、気持ちの面も含めた調整はかなり大変だったと思うが、好試合を演じた両校選手に、まずは敬意を払いたい。

伸びのある直球でグイグイ押してくる二松学舎大付の左腕秋山と、130キロ台中盤(この日最速141キロ)の直球にスライダー、チェンジアップなど変化球を交えながら打たせて取る大嶋。タイプの違う二人の投手が5回までゼロを並べた。

西短大附・大嶋(福岡大会)

秋山の直球は130キロ台後半の球速表示以上に速く感じられ、浮き上がるような力のある球だったが、序盤は荒れ気味だった。2回は二つの四球を与えて一死一、二塁、4回も四球の走者を二塁に背負ったが、後続を抑え込んだ。西日本短大附の打者は高めに伸びてくる直球に差し込まれたフライアウトが多く、5回まで無安打。

一方の大嶋はスライダー、チェンジアップとも制球が今一つで、4回までに4つの四球を与えた。1回、4回と得点圏に四球の走者を背負ったが、初回は3番瀬谷をスライダーで、4回は丸山を高めの直球で三振を奪う。大嶋も4回までヒットを許さなかったが、芯で捕らえられる打球もそれなりにあり、やや二松学舎大付が押し気味という感じで前半を終えた。

試合が動き始めたのが5回裏。二松学舎大付は一死から桜井がスライダーをセンター左に運ぶ二塁打。続く永見も初球をセンター前にはじき返したが、ここはセンター池田が好返球で本塁を狙った二走を刺す。
すると直後の6回表、西日本短大附にも江口の初安打が飛び出すと、池田のバントが捕手の失策を誘い、林が送って一死二、三塁。ここで秋山はギアを上げ、4番三宅に対して140キロ台の直球を連発。結局四球となったが、続く山口、穴井といずれも力のある直球で三振に打ち取り、流れは再び二松学舎大付へ。

6回裏、瀬谷のニゴロを江口が一塁へ低投、これがカメラマン席に入る不運もあって無死二塁。ここで関は投手前のバント、大嶋は一瞬三塁に投げようとする姿勢をとったあと一塁へ送球したが、やや二塁走者のスタートが遅れていただけに、思い切って三塁に投げる手もあった。タッチプレーになるためきわどいタイミングにはなっていただろうが、秋山からは1点を取れるかどうかという状況だっただけに、勝負してもよかった。
一死三塁となり、5番浅野がやや中に入ってきたスライダーをセンターに打ち返して待望の先制点が二松学舎大付に入る。さらに二死後、浅野が二盗を決め、7番丸山が外角やや真ん中よりの直球を右前に運んで2点目。6回の秋山の投球からして、この2点目は決定的と言えるものだった。

それでも7回、西日本短大附は今田が中前打で出ると蓑田が送って一死二塁。ここで大嶋がスライダーをうまく右方向へ運びセカンドの右を破る。今田は三塁ベースを蹴って本塁突入かと思われたがストップ。三塁コーチャーの判断だったが、連打はそうそう期待できない投手。ここも突っ込ませて勝負する手はあった。

一死一、三塁で打席は1番江口。前の打席でヒットを放っていることもあって強攻に出たが、2球目を打ち上げて浅い中飛。池田も遊飛で、ギアを上げた秋山の直球をとらえきれない。
8回は先頭の林が左前打で出たが、ここまで3四球だった4番三宅は三ゴロ併殺打。無死からの走者を4度出すなど得点のチャンスはあったが、最後まで秋山を打ち崩せなかった。

安打数は両校とも4本。四球は西日本短大附が4つ、二松学舎大付が5つ。得点圏に走者を進めたのは西日本短大附が4回、二松学舎大付が5回。数字上はほぼ互角で、チャンスも等しく回ってきたが、決定力の差が勝敗を分けた。

前回大会は西舘(筑陽学園)、今回も大嶋という好投手を擁しながら、福岡勢はいずれも初戦敗退。全国レベルの投手からいかに得点するか、その課題が改めて今回も浮き彫りになった。

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