【観戦記】筑陽学園３－０福岡大大濠（選手権大会準々決勝） |

【観戦記】筑陽学園３－０福岡大大濠（選手権大会準々決勝）

▼準々決勝（２３日・久留米）
福大大濠０００００００００＝０
筑陽学園０００１０１０１ｘ＝３
【福】毛利【筑】藤田

筑陽学園の先発藤田が福岡大大濠打線を散発３安打に抑える好投を見せて完封、２０１９年大会に続いて準決勝に進出した。

福岡大大濠・毛利の前に３回まで無安打に抑えられてきた筑陽学園は４回、２番網治の詰まった当たりがセンターに落ちる二塁打となり、続く３番向井がレフト左への二塁打を放って先制した。
６回は１番大内が中前打で出ると網治が送って一死二塁。向井は三振に倒れたが、４番増田の左中間を破る二塁打で大内が還って１点を追加した。さらに８回は一死から網治が右前打で出ると、続く向井の左中間を破る二塁打で一塁から一気に網治がホームを突いてリードを広げた。

福岡大大濠は５回まで一人の走者も出せなかったが６回一死後、８番永井がチーム初安打を右前に放ち、９番古川の送りバントで二死二塁としたが、山下(恭)が三ゴロに倒れて無得点。７回も一死から３番川上が右前打で出たが、後続が凡退。９回も先頭の山下が右前打で出塁し、２つの暴投で二死三塁と一矢報いる好機を得たが、松尾(光)が三邪飛。藤田の前に３安打に抑えられ、力投する毛利を援護できなかった。

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筑陽学園の先発は左腕の藤田。１年夏から先発のマウンドを任され、昨夏の福岡地区大会でも先発したが初戦敗退。春は故障もあって、福岡地区大会は村田がエースとして活躍。今大会は３回戦の南筑戦で救援として初登板、５回戦の北筑戦ではロングリリーフでチームの逆転を招いたが、背番号１１が示す通り村田の控え的な存在だった。

それがこの日は、過去２年の鬱憤を晴らすような見事な投球を見せた。立ち上がりから１３０キロ台後半の直球（この日最速１４０キロ）を外角低めに集め、切れのあるスライダー、１１０キロ台のチェンジアップで三振を重ねていく。２回途中から３回にかけての５者連続三振で、完全に流れに乗った。

対する福岡大大濠はエース毛利が５回戦に続いて先発。９０キロ台のカーブを見せ球にしながら、１３０キロ台後半（この日最速の１４０キロ）の直球にチェンジアップやスライダーを織り交ぜ、チーム打率４割超えの筑陽学園打線に真っ向から向かっていく。ボールになる球がやや多かったものの、藤田に負けじと３回は３者連続三振を奪って力を見せつける。

試合が動いたのは４回裏。筑陽学園の２番網治の打球は完全に詰まった当たりとなり、センター前にフラフラと上がる。松尾が懸命に前進して捕球を試みるが一歩及ばず、網治はその隙を突いて二塁へ（記録は二塁打）。続く３番の向井は２球目の高めに浮いた直球を見逃さずにレフト左に運び、あっという間に先制点が筑陽学園に入った。

一方の藤田は快調なペースで投げ続ける。直球を詰まらせ、変化球で空振りを奪い、６回一死まで一人の走者も許さない。これ以上失点はできないという雰囲気の中で、毛利は投げ続けることになった。

６回は大内にチェンジアップをセンター前に運ばれると一死二塁で迎えたのは前の打席タイムリーの向井。カーブから入りチェンジアップで空振りを奪うと、最後は１３７キロの内角低めの直球で三振に打ち取り、ここは毛利に軍配。４番増田も２－２からチェンジアップを投じるが、増田は辛うじてファールで逃げる。この一球が勝負の岐路だった。フルカウントになったあと外角直球を左中間に運ばれ、福岡大大濠にとっては重い２点目が入った。

福岡大大濠は６回一死から、８番永井が右前に運んでチーム初ヒット。バントで送って二死二塁とし同点機を迎えたが、１番山下(恭)の一打は痛烈な当たりながらサード正面。２点差となった７回も一死から川上が右前打を放つが、４番５番が凡退。８回は藤田がこの試合初めての四球を選ぶが、毛利は強攻に出て三振。永井のヒットエンドラン（ニゴロ）で二死二塁と得点圏に走者を進めるが、代打吉田はフルカウントから１０２キロのチェンジアップにバットが空を切る。