この春、印象に残った選手たち①~右投手編(1)




 第103回全国高校野球選手権福岡大会の開幕(7月3日・土)まで、1カ月余りとなりました。その夏の大会を前に、春の大会準々決勝以降の限られた観戦機会の中で印象に残った選手を、とり上げてみたいと思います。まずは右投手を2回にわたって紹介していきます。

九国大付・山本

■山本大揮(九州国際大付/3年)
昨秋は県大会準優勝に貢献。九州大会では初戦で敗れましたが、のちにセンバツで準優勝する明豊(大分)を8回5安打1点に抑えました。今春も県大会を制したチームの原動力となり、九州大会では初戦で大分舞鶴を完封。準決勝では興南を1点に抑えて完投するなど大車輪の活躍を見せました。がっしりとした体格から140キロ超の直球に、120キロ台の切れ味鋭いスライダーが武器。制球も安定しています。
観戦した県大会決勝の真颯館戦では、7回を投げて8安打2四球で2失点。8奪三振の大半がスライダーでした。走者を出してから簡単に得点を与えない、という好投手の条件を満たし、フィールディングもよく、総合力の高い投手という印象です。九州国際大付にはもう一人、140キロ超の直球を持つ右腕の柳川投手がいて、県内屈指の投手力を誇ります。

西短大附・・大嶋

■大嶋 柊(西日本短大附/3年)
観戦した祐誠戦(筑後地区大会準決勝)では、程よく力の抜けた柔らかなフォームから、伸びのある直球にチェンジアップ、スライダーを使った緩急自在の投球を見せました。力のある高めの直球で空振りがとれるほか、右打者の外に鋭く落ちるスライダーもウイニングショットになります。
走者を背負うことも少なくありませんでしたが、ピンチになるとギアを一段上げて直球の威力が増す感じを受けました。2年前の夏に準優勝した時のエース江崎投手も、走者を出しながら得点を与えない粘り強い投球が身上でしたが、その江崎投手を彷彿とさせる投球でした。

東筑・大越

■大越 怜(東筑/3年)
北九州市長杯準々決勝の小倉工戦では3安打2失点、無四球と安定感のある投球を見せました。キレのある直球を軸に、チェンジアップをまじえながら、内野ゴロを打たせてとっていきます。
上背が特別あるわけではないものの、どっしりとした足腰が目を引きます。この下半身に支えられた投球フォームは体のぶれがなく、高い制球力につながっています。ストライク先行で無駄な球がなく、速いテンポでリズムよく投げ込み、小倉工戦でも9回を88球で投げ切りました。

小倉工・笠継

■笠継雄大(小倉工/3年)
北九州市長杯準々決勝で東筑を完封し、大越投手に投げ勝ちました。しっかりと軸足にためをつくってから投げ込んできます。
最大の武器は、直球と同じ軌道からスッと落ちてくるチェンジアップ。東筑戦では10安打を浴びて再三走者を背負いましたが、ピンチではこの球をひっかけさせて内野ゴロの山を築き、得点を与えませんでした。終盤はチェンジアップを投球の軸に据えるなど絶対的な信頼を寄せていることがうかがわれます。コントロールを乱す場面もほとんどなく、安定しています。

筑陽学園・村田

■村田龍海(筑陽学園/3年)
力で圧倒するタイプではありませんが、スライダー、チェンジアップと変化球で緩急をうまくつけながら打たせて取る投球術に冴えています。右打者の外角低めいっぱいに決まるスライダーをはじめ、しっかりと低めに制球されるため、芯で捕らえられても味方の守備範囲内に飛んでいきます。
福岡地区大会準決勝の九産大九州戦では8回二死まで被安打3・与四死球3と好投。先頭打者を出したのはわずか1回だけで大きなピンチもなく、三塁を踏ませない好投を見せました。

 

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