6月5日、福岡大大濠・八木監督、筑陽学園・江口監督、福岡第一・平松監督ら福岡地区の監督6人が春日公園野球場で会見し、「福岡地区高校野球交流戦」を開催すると発表しました。福岡県高校野球連盟が5月25日に、中止となった選手権福岡大会の代替大会の開催断念を発表したことを受けたもので、福岡地区の3年生部員たちの最後を飾る大会となります。
交流戦の概要は、各紙報道をまとめると以下の通りとなっています。
【福岡地区高校野球交流戦】
・開催期間は7月11日(土)~8月2日(日)。週末を中心に実施
・抽選会は6月19日(金)
・福岡地区40校のうち33校が参加。ベンチ入りは25人程度、3年生部員は原則全員認める
・11パートに分けて総当たりの予選リーグを行い各パートで順位を決定
・順位決定後、23日(木・祝)より全校による決勝トーナメント。8月2日に準決勝と決勝を実施
・試合会場は各球場のほか参加校、大学、社会人チームのグラウンドを利用
・予選リーグは無観客。決勝トーナメントは部員と3年生の保護者が観戦できるよう調整
・交流戦前や期間中に部員、指導者、家族に感染者が出た場合は中止の可能性もあり
・審判は各校監督のほか大学、社会人チームの協力を仰ぐ
一発勝負のトーナメント方式でなく予選リーグも導入したことで、各校は予選リーグで2試合、決勝トーナメントで最低1試合、少なくとも3試合を行うことになります。大学や社会人チームからグラウンドの提供や審判派遣の協力を取り付けられたことで、試合数を増やすことにつながりました。「何としても3年生に最後の試合の機会を用意したい」という現場指導者たちの強い思いが、高校だけの枠組みにとわわれない大会運営の発想を生み、短期間で概要をまとめあげるという行動力につながったと思います。監督を中心とする関係者の皆さんが各方面への協力要請に奔走したことがうかがわれ、その尽力に深い敬意を表します。
北九州、福岡中央、筑後の3地区についても、7月中旬から8月上旬にかけての交流戦が検討されており、加盟校が広範囲にわたる福岡中央地区は、さらに京築、筑豊、宗像周辺の3つに分ける方向で調整が進んでいるようです(6日付朝日新聞朝刊)。福岡地区は、福岡大大濠や福工大城東、九産大九州など大学系列校が多かったことも迅速な開催決定につながったと推測されますが、他の地区でも試合会場の確保や審判派遣などは避けて通れない問題です。福岡地区とは違った形になることも考えられますが、何らかの形での試合開催を期待したいと思います。
一方、福岡県教育委員会が県高野連・県高体連に代替大会開催の依頼をする文書を送付したことを受け、県高野連が代替大会開催の再検討を始めたという報道もあります。県高野連が代替大会を行う場合は、福岡地区の交流戦をとりやめて代替大会に参加する、としています。ただ、県高野連が中止の理由として挙げた「新型コロナウイルス感染の恐れ」「医療現場に負担を与える懸念」などは、発表当時と状況は変わっておらず、ここで方針転換するとなると先日の中止発表は何だったのかということになります。また、福岡地区の交流戦でも40校のうち7校は不参加を決めたように、代替大会中止の発表を受けて部を引退したり、次の目標に向けて歩み始めた球児たちもいます。方針転換は、こうした球児たちをいたずらに混乱させる結果になりかねません。
福岡県以外の多くの都道府県で代替大会開催が続々と発表され、「なぜ福岡だけ開催しないのか」という疑問は依然として消えませんが、県高野連としての開催は行わないという判断をした以上、方向転換は現実的に難しそうです。
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