2020年の注目選手たち②~野手編




 2020年の注目選手、続いては野手編です。野手は一試合の中で打席に立つのは3~4回とパフォーマンスの機会が限られるため、どうしても観戦した試合で活躍した選手、数多くの試合に出た選手の印象が強くなります。投手に比べると人数も少ないため、北部・南部まとめて掲載しました。

◆深浦 幹也(福岡大大濠・外野手=2年/左
 1年夏から主戦投手としてマウンドに立つ一方で、打者としても1年秋から中軸として打線を牽引。「二刀流」として活躍してきました。スイングスピードが速く、一発も秘めるパワーに加えて柔らかさもあり、左打者では県内屈指の強打者と感じています。昨春は観戦した3試合で8打数3安打4打点で1本塁打。九州大会の大分戦でも一発を放ちました。ベスト8まで勝ち上がった夏は14打数2安打と不振でしたが、秋からは4番に。初戦の筑陽学園戦では5打数4安打2打点の活躍でした。この試合では登板がありませんでしたが、これまでのように二刀流を貫くのか、打者として専念するのか、その起用法も注目されます。

◆岸本 暖(福岡第一・捕手=2年/右
 前チームから3番打者として主軸を担っていましたが、新チームでは不動の4番に。パート決勝の大牟田戦で先制の3点本塁打を小郡市野球場の左中間最深部に打ち込み、準決勝の宗像戦でも追撃の狼煙となる2点本塁打を放つなど、ここぞの場面で結果を残して秋季大会の優勝に貢献。県を代表する右のスラッガーに成長しました。捕手としても投手陣を支え、ピンチになるとこまめにマウンドに足を運んで投手を鼓舞し、好投を導きました。32年ぶりの夏の甲子園を目指す同校にあって、攻守の要ともいえる存在です。

◆久木田 和志(小倉工・内野手=2年/右)
 1年夏から4番に座る大型選手で、これまでもたびたび注目選手として紹介してきました。球をギリギリまで引き付けてから腰の座ったスイングでバットを一閃、大きなフォロースルーの後押しも受けた痛烈な当たりが左中間、右中間に飛んでいきます。ボール球には手を出さず、四球が多いのも特徴です。昨夏も2回戦の直方戦で本塁打を放つなどチームの8強入りに貢献。秋季大会3回戦の戸畑戦では1点を追う9回裏にレフトフェンス直撃の逆転二塁打を放って試合を決めるなど、勝負強さも兼ね備えています。

◆石橋 孝汰(宗像・内野手=2年/左
 秋ベスト4進出の宗像の4番打者。外野の間を低いライナーで抜くような、中距離打者タイプです。秋季大会では3回戦の東海大福岡戦、準決勝の福岡第一戦でいずれも初回の好機に先制打を放ち勝負強さを見せました。大型のセカンドとしての守備力も光ります。ヒット性の強く難しいバウンドのゴロも抜群のグラブさばきで処理し、一二塁間の深いゴロに追いついて強肩で二塁で刺すなど、再三チームのピンチを防ぎました。単打と犠打を使って得点を重ねるチームにあって長打力のある貴重な選手であり、チームの攻守の要として活躍が期待されます。

◆井上 堅心(九州国際大付・外野手=2年/右)
 昨春の大会では2年生ながら4番に抜擢されました。夏は7番を打っていましたが、新チームから再び4番へ。打撃にはまだ粗さも感じますが、甘い球を逃さず強烈に引っ張るパワーが魅力です。観戦した試合では秋季大会3回戦の古賀竟成館戦でレフトポール際に一発を放ちました。夏は捕手としてたびたび強肩を披露。準々決勝の福岡大大濠戦では3つの盗塁をことごとく刺して機動力を封じ、勝利に貢献しました。秋は背番号2を付けながら外野手として出場。ポジションは流動的ながら、九州国際大付の4番打者として目が離せません。

◆友廣 元(東筑・内野手=2年/左
 小柄な左打者で、夏の大会では8番打者ながら23打数9安打、打率.391と活躍。センターを中心にコンパクトな打撃を見せ、チームの4強進出に貢献しました。ここ数年の東筑は強力な打線で上位進出を果たしていますが、前チームの手嶋選手、その一つ前の代の阿部選手など、左の巧打者の存在が打線に厚みとつながりを持たせていると感じます。

◆春木 太陽(大牟田・内野手=2年/左
 昨夏は2年生ながら4番に座り、チームも16強進出を果たしました。上背はそれほどありませんが、いかにもパワーのありそうどっしりとした体格を生かして鋭い打球を放ちます。遠くに飛ばすというよりもライナー性の打球や強い当たりのゴロが多い印象で、芯で捕らえた時の打球の球足の速さには目を見張るものがあります。

◆花田 夢海(大牟田・投手=2年/左
 投手編でも紹介しましたが、打撃でもセンスのあるところを感じさせます。1番センターで出場した昨夏は12打数3安打、打率.250とやや精彩を欠きましたが、観戦した春季大会4回戦の博多戦で5打数4安打、秋季大会パート決勝の福工大城東戦でも4打数2安打。センターから逆方向を中心に柔らかく打ち返しました。打撃の良い投手は例年見られますが、昨年はこの投手の打撃が目に留まりました。

 このほかでは昨夏、4番打者として16打数7安打6打点と活躍した堤廉汰内野手(久留米商=2年/左)の鋭いスイングも目に留まりました。強打で昨秋準優勝を勝ち取った福工大城東では、1年秋から中軸を担い、秋季大会準決勝で八幡南の好投手・濵本から本塁打を放った誉田貴之捕手(2年/右)、同じく1年秋からのレギュラーで昨夏は17打数9安打(.529)と打ちまくった松永陽介内野手(福工大城東=2年/右)などがいます。福岡第一で岸本選手の前を打つ和間竣亮内野手(2年/右)は、外角球を右方向に巧く合わせる技術もあり、つなぐ打撃もできる好打者です。
 北部では、1年秋からレギュラーとして活躍、勝負強い打撃と一発の長打力も秘める常軒海里内野手(小倉工=2年/右)、逆らわない打撃で左方向に強打を放つ高松龍哉内野手(八幡南=1年/左)などにも注目したいと思います。


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