【観戦記】鞍手8-2真颯館(秋季大会3回戦)




【鞍手8-2真颯館(秋季大会3回戦)】

※本記録は公式記録ではありません

 中盤以降、両校とも好機を得ながら決定打を欠き、延長にもつれこんだが、10回に鞍手が集中打で突き放して真颯館を下した。
 鞍手は10回、1番水摩が四球で出ると、続く井上の投前犠打で一塁送球が乱れ無死一、二塁。古賀はスリーバント失敗、吉野は三塁ゴロ(三塁封殺)で二死一、二塁となったが、5番森がレフト前に落として二塁から井上が生還した。打者國武の時に二走吉野が盗塁を決め一死一、三塁とし、國武が左前適時打。さらに村上も左前打で続き一死満塁から、8番松本がレフト左へ走者一掃の二塁打を放つと、靏四球のあと、水摩の左越え二塁打で松本も生還。この回6点を奪って勝負を決めた。
 先制したのも鞍手。初回、真颯館の先発・松本翔の立ち上がりを攻め、先頭の水摩が右中間を破る三塁打を放つと、続く井上の右前打で生還した。1点を追う7回は7番村上がセカンド左への内野安打で出ると松本が送り一死二塁。代打・靏は右飛に倒れたが、1番水摩が中前打を放って追いついた。

10回表鞍手二死一、二塁 森が左前に決勝タイムリーを放つ

 真颯館は2回、5番森田が右前打で出塁すると笹原右飛のあと、7番松尾が一塁線を破る三塁打を放って同点に追いついた。3回は一死後、1番菊池が右中間を破る三塁打を放ち、続く加藤の打球は前進守備のショートのグラブをはじき(記録は失策)菊池が勝ち越しのホームを踏んだ
 しかし4回以降は、4回一死二塁、5回二死三塁、6回一死二塁、7回二死一、二塁と、毎回のように得点圏に走者を送りながら鞍手先発・森の前に決定打を欠き、突き放せなかった
。8回以降は無安打に抑えられて二塁を踏めず、好投を続けていた井上蔵が10回に力尽きた。


鞍手・森

 背番号3の左腕・森の粘りの投球が、鞍手に勝利を呼び込んだ。
 細身の森は直球のスピードはさほどないが、直球でコーナーを突きながら緩いカーブで低めに誘い、真颯館の打者はフライアウトを重ねた。初回から7回まで毎回のように安打は許したが、四球はわずかに1つ。無駄なボール球がなく真颯館打線も早いカウントから手を出してきたため球数も7回まで79球。8回以降は安打を許さず、延長10回を投げ抜いた。2回同点に追いつかれた直後の一死三塁、打席に投手の松本翔の場面でスクイズを外してピンチを脱する冷静さもあった。

真颯館・松本翔

 真颯館打線は1年生の5番森田が3安打、1番菊池も2安打と気を吐いたが、10回まで30のアウトのうち18個がフライアウト。走者を出しながらも打ちあぐむ展開が続いた。外野への大きな飛球もあったが高く上がりすぎた分、大半が外野手の守備範囲内に終わった。ライナー性の当たりも含めて6つの飛球をさばいたセンター古賀を中心に、鞍手の外野陣もよく守った。

 鞍手打線は1番水摩(1年)が活躍。初回直球を逆らわずに右中間にはじき返して三塁を陥れると、続く井上の右前打で生還。1点を追う7回は二死二塁から貴重な同点打を中前に放った。
 延長10回は四球と犠打に敵失が絡み無死一、二塁とチャンスが転がり込んだが、古賀がスリーバント失敗、吉野三ゴロとチャンスが潰えたかと思われた。5番森もこの日は無安打で、この場面も簡単にツーストライクと追い込まれたが、3球目の外角スライダーを合わせた打球がレフト前に落ち、これが決勝点となった。そこから四球を挟む4連打で勝負を決めた。水摩以外では6番國武も3安打の猛打賞。先制打を放った2番井上は3回にも右方向へ二塁打を放ち、10回無死一塁ではバントをきっちり決めて、相手の送球ミスを招いた。

2回裏真颯館一死一塁、松尾の右翼線三塁打で森田が生還

 真颯館の先発は背番号10の左腕・松本翔(1年)。スリークォーター気味の力感あふれるフォームから投じる直球の球威はまずまずだが、初回は高めに浮いたところを連打された。徐々に低めに集まるようになり落ち着いてきたと思った矢先、4回を投げ終えたところで降板した。4安打を浴びたが四死球はゼロ。膝元に決まる直球は力がありそうで、スライダーの精度が上がると投球の幅も広がりそうだ。

真颯館・井上蔵

 5回からは、同じく1年生左腕の井上蔵がマウンドへ。松本に比べると直球のスピードはないが、その分スライダーの制球は安定している。6回に2つの四球を出すなど、一時制球が乱れたが5~9回まで3安打2四球。7回に1点は失ったが、まずまずの内容だった。ただ10回は先頭を四球で出し、自らの送球ミスも絡んでピンチを背負う。何とか二死まで漕ぎつけたものの、森を0-2と追い込みながら勝負を焦ったか、外に逃げるスライダーを合わされて打球はレフト前へ。レフトの松尾も懸命に前進して腕を伸ばしたがわずかに及ばず、ショートバウンドでグラブに当たるタイムリーとなった。

 狙い通りの競り合いに持ち込んで勝利につなげた鞍手の粘り強さが、攻守にわたって光った一戦だった。

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