2019選手権福岡大会を振り返る①~総括編




 第101回全国高校野球選手権福岡大会は、筑陽学園の優勝で幕を閉じました。初めて県大会が32校によって行われた今年の夏を振り返ってみたいと思います。

 今年の特徴として挙げられるのは、年間を通して勢力図がほぼ変わらなかったこと、つまり「秋に強かったチームは春も、夏も強かった」ということです。秋の大会でベスト8(県大会出場)だったチームのうち、センバツ出場の筑陽学園と九産大九産を除く6校が春もベスト8以上の成績を残しており、さらに夏も九産大九産を除く7校がベスト16(一昨年までの県大会出場)まで勝ち上がりました。九産大九産にしても春3位の福岡大大濠に延長の末に敗れたものです。
 要因の一つとしては、実績を残した前チームに中心選手が比較的多く残っているケースが多かったため(筑陽学園=西・江原・進藤・野田、西日本短大附=江崎・神宮・近藤、九州国際大付=下村・葛城、小倉工=樋口・久木田、真颯館=松尾・武内など)秋から好成績を残すことができ、ひと冬越してさらに力をつけた、ということがあるのかもしれません。

校名
筑陽学園 優勝 (選抜) 優勝
九国大付 準優勝 8強 4強
真颯館 3位 準優勝 16強
小倉工 4位 8強 8強
西短大附 8強 優勝 準優勝
福工大城東 8強 8強 16強
飯塚 8強 8強 16強
九産大九産 8強 3回戦 2回戦

 ちなみに一昨年(昨年は北福岡、南福岡に分かれて行われたため参考外)と比べると、今年の上位校の寡占ぶりが分かります。

校名
福岡大大濠 優勝 (選抜) 準優勝
東海大福岡 準優勝 (選抜) 4回戦
筑陽学園 4強 8強 8強
小倉工 4強 3回戦 8強
自由ケ丘 8強 2回戦 3回戦
久留米商 8強 16強 4強
八幡 8強 3回戦 2回戦
福島 8強 2回戦 2回戦


 ベスト8以上のチームについて、主要な項目の記録をまとめてみました。優勝した筑陽学園のチーム打率は3割2厘、特別に高い数字ではありませんが、西舘投手を中心とした堅い守りで得点を与えず(1試合平均失点1.7)、ここぞという場面での得点力(1試合平均打点6.3)が際立ちました。準優勝の西日本短大附も大半の項目で平均を上回っており、投打のバランスのよさが目につきます。
 一方、九州国際大付や春日は1試合平均失点が低く、投手力で勝ちがってきたことがデータからも読み取れます。逆に東筑、自由ケ丘は1試合当たりの打点が多く、こちらは打力で上位進出を果たしたことが分かります。決勝に進出した2校に比べて九州国際大付や春日は打力が、東筑や自由ケ丘は投手力がやや弱かったと言えます。また、強打をうたわれた福岡大大濠や小倉工でしたがチーム打率は3割を切っており、看板の打線の調子が今一つだったようです。

校名 試合 得点 打点 失点 打率 HR 盗塁 犠打 失策
筑陽学園 070 46(6.5) 44(6.3) 12(1.7) .302 3 07(1.0) 19(2.7)
7(1.0)
西短大附 7 49(7.0) 42(6.0) 19(2.7) .335
10(1.4) 14(2.0) 6(0.9)
九国大付 6 26(4.3) 24(4.0) 07(1.2) .281 2 01(0.2) 14(2.3) 2(0.3)
東筑 6 52(8.7) 48(8.0) 27(4.5) .332 1 02(0.3) 12(2.0) 7(1.2)
福岡大大濠 5 28(5.6) 24(4.8) 15(3.0) .263 3 03(0.6) 14(2.8) 6(1.2)
小倉工 5 29(5.8) 26(5.2) 19(3.8) .291 2 12(2.4) 09(1.8) 4(0.8)
春日 5 24(4.8) 18(3.6) 07(1.4) .269 0 07(1.4) 12(2.4) 5(1.0)
自由ケ丘 5 39(7.8) 35(7.0) 18(3.6) .363 1 03(0.6) 17(3.4) 6(1.2)
平均値 46 (6.4) (5.7) (2.7) .305 (1.0) (2.4) (0.9)

※ベスト8以上。カッコ内は1試合平均の数字。赤字は各項目の最高値、青字は平均値以上を示す

 


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