
【筑陽学園3-0九州国際大付(選手権大会準決勝)】

鮮やかな先制攻撃でリードを奪った筑陽学園が、投げては先発・西舘が九州国際大付を5安打完封、強豪対決を制した。
筑陽学園は初回一死後、弥富が死球で出ると、続く中村の右前打で一死一、三塁。打者福岡の時に中村が二盗を決めて一死二、三塁とすると、福岡が一・二塁間を破って2点を先制した。2回の無死一、二塁の好機では得点できなかったが、6回2番手の下村から8番石川が右前打で出ると、西舘が送り一死二塁。ここで1番福島が左越え二塁打を放って石川が生還、貴重な3点目をあげ、このリードを先発の西舘が守り切った。
九州国際大付は3回一死後、9番前川が右越え二塁打を放ち、柄谷三振、石田(翔)四球で二死一、二塁としたが無得点。5回は一死から前川四球、柄谷左前打で一、二塁とし、石田(翔)の時に暴投で一死二、三塁と迫ったが、石田(翔)は一ゴロ、中川はセンターへのライナーに倒れて得点できなかった。3点を追う7回は一死から8番下村が中前打、続く前川の一ゴロが失策を呼んで一死二、三塁。さらに柄谷四球で一死満塁としたが石田(翔)一邪飛、中川三ゴロ。三度の好機に西舘から得点を奪えず、完封負けを喫した。
▼準決勝(28日・久留米)
九国大付 000 000 000 =0
筑陽学園 200 001 00x =3

九州国際大付の下村は、25日の福岡大大濠戦で119球を投げて完投。筑陽学園の西舘は同じ日の小倉工戦で3回途中から登板し、103球を投げている。中2日で迎えた大一番に両校監督が投手をどう起用してくるかも注目されたが、九州国際大付は2年生右腕の酒井、そして筑陽学園は西舘が先発としてマウンドに上がった。
酒井は5回戦の筑紫台戦でも先発して、4回途中まで被安打3で無失点と好投。この試合も4~5回あたりまで試合をつくって下村につなぎ、後半勝負という思惑だったのだろう。打線も西舘が出てくる前にある程度得点できるという思いもあったのかもしれない。ところが筑陽学園の先発は西舘。西や中山が先発し、今日も3~4回あたりからの登板と思われたが、「切り札」を最初に切る勝負に出た。西舘が崩れれば厳しい戦いが予想されるだけに、早いうちに先制し、逃げ切ることが勝ちパターンとなる。

そして試合は序盤、筑陽学園の狙い通りに進んだ。初回に酒井から2点を奪い、そのリードを西舘が守っていく。ただ、九州国際大付も4回あたりから徐々に芯で捕らえる打球が目立ち始めた。5回には酒井に代打鈴木を送り、いよいよ反撃に出る。一死二、三塁としながら得点できなかったが、5回裏から下村をマウンドを送り次の反撃機を待つ。
2-0のまま膠着状態が続き、次の1点をどちらが取るかがポイントとなったが、その1点を取ったのは筑陽学園だった。6回先頭の石川が一・二塁間を破り、西舘が送ると、1番福島がスライダーを左越えに運んで石川が生還。点差を3点に広げる。
それでも九州国際大付は直後の7回、一死から下村が西舘の直球を叩いてセカンドの左を破ると、前川の緩い当たりの一ゴロを弥富が後逸。捕球直前に少しバウンドが変わったようにも見えたが、これで一死二、三塁。柄谷四球で一死満塁。長打が出れば同点という、この試合最大の山場を迎えた。打席には初回に左前打を放っている石田(翔)。すでに球数が120球を超えていた西舘だが、140キロの直球で押す。カウント2-1となったところで、筑陽学園は最後の伝令をマウンドに送り、その直後、石田(翔)の力のない打球が一塁側ファールグラウンドに上がって二死。中川は初球を狙ったが、三ゴロ。これで大勢は決した。8回九州国際大付は7球で三者凡退。9回も二死から四球の走者を出したが、抵抗らしい抵抗もできずに土俵を割った。

九州国際大付の酒井も初回こそ福岡に2点タイムリーを許したが、2回の無死一、二塁をしのぐと3、4回も抑えた。130キロ台後半の直球(この日最速142キロ)にスライダーを使って4イニングスを2失点でまとめ、先発の役割は果たした。下村も6回に痛恨の失点はあったが、4イニングスを4安打無四球と6回以外は危なげのない投球を見せた。
しかし、それ以上に西舘の投球が上回った。この日も勝負処では140キロ前後に達する直球が内外角低めの厳しいコースに決まり、スライダーとのコンビネーションもよく、九州国際大付打線は直球に押された飛球が目立った。先頭打者を一度しか出さずピンチを最小限度にとどめ、ピンチでは内角への厳しい直球で押して力でねじふせた。
リリーフを仰ぐことなく151球で完投。西、菅井との継投で勝ち上がってきた春までとは一変、この大会では大黒柱として大車輪の活躍を見せる背番号10のエースの力投で難敵を退けた筑陽学園が、春夏連続出場へあと1勝とした。
Leave a Reply