【観戦記】九州国際大付3-1福岡大大濠(選手権大会準々決勝)




【九州国際大付3-1福岡大大濠(選手権大会準々決勝)】

7回裏九州国際大付二死二塁、井上(楓)が決勝の中前適時打を放つ

 1点を争う好ゲームとなったが、終盤に突き放した九州国際大付が競り勝った。
 九州国際大付は初回二死から中川が四球を選ぶと、葛城死球、井上(楓)四球で二死満塁とし、6番石田(渉)が左前に落として先制した。
 同点で迎えた7回は、右前打で出た2番石田(翔)を中川が送り一死二塁。葛城三ゴロのあと5番井上(楓)が中前打を放ち、石田(翔)が生還して勝ち越した。8回はこの回から登板した中村から7番井上(堅)が左越え二塁打を放つと、3番手山下から下村が四球を選び一、二塁。前川の投前バントは三塁封殺され、柄谷も左直に倒れたが、石田(翔)の時に暴投で二死二、三塁。石田死球で満塁とし、中川が押し出しの四球を選んで貴重な3点目をあげた。

6回表福岡大大濠、先頭の新井が本塁打を放ち生還

 2回二死一、三塁、3・4回は一死二塁と得点機を逃してきた福岡大大濠は6回、先頭の3番新井が右越え本塁打を放って同点に追いついた。1点を追う8回は一死から2番友納がニゴロ失で出たが、新井中直のあと二盗に失敗。9回も4番星子が中前打で出ると、溝田三振のあと盗塁を試みて刺され、二死となって山城が左前打で出たが、深浦が左飛で試合終了。8安打を放ちながら得点は新井の本塁打による1点に抑えられた。

▼準々決勝(25日・久留米)
福岡大大濠  000 001 000 =1
九州国際大付 1
00 000 11x =3


 南部と北部、それぞれを代表する強豪私立が激突、見応えのある試合を展開したが、下村を中心とした堅い守りで福岡大大濠の攻撃を封じた九州国際大付に軍配が上がった。

九州国際大付・下村

 九州国際大付の先発はエース下村。130キロ後半の直球(この日の最速143キロ)に、130キロ台前半と120キロ台の2種類のスライダーが秀逸だった。140キロ近い直球を内角に見せた後、130キロ台のスライダーに福岡大大濠の打者のバットが空を切る。走者を背負った場面では、このスライダーをウィニングショットとして得点を与えなかった。与えた四球も一つだけと安定感は抜群。走者は出しても得点の気配はさほど感じられない投手で、安心して見ていられる。

福岡大大濠の先発・深浦

 一方、福岡大大濠がこの大一番に先発として送り込んだのは2年生左腕の深浦。経験・安定感という点では、やはりこの投手だろう。130キロ台前半の直球(この日最速138キロ)とスライダーで2人を簡単に打ち取ったが、ここから四球・死球・四球と崩れ、石田(渉)には135キロの直球で詰まらせながら左前に運ばれ先制を許す。二死から、しかも四球絡みということで嫌な失点になったが、2回以降も毎回のように走者を許しながら得点を与えず4回まで0-1で持ちこたえ、最低限の仕事は果たした。
 5回、斉藤に二塁打を浴び四球2つで一死満塁となったところで、星野にスイッチ。初戦の九産大九産戦でも9回サヨナラ負けのピンチで登板してしのいだが、ここも140キロ超えの直球で押し、2者連続三振。見事な火消し役を演じた。すると直後の6回表、3番の新井がひざ元に入ってくる初球のスライダーをすくい上げて同点本塁打。これで流れは福岡大大濠に傾くかと思われたが、6番山城の三遊間への当たりをショート中川が飛びついて抑え一塁に好送球で刺し、九州国際大付も簡単に流れを渡さない。6回裏、星野が141キロの外角低めの直球で柄谷を見逃し三振にとるなど三者凡退で終わらせれば、7回表、下村も2者連続三振で三者凡退。1-1のまま土俵中央でがっぷり四つに組んだ状態が続く。

福岡大大濠・星野

 試合が動いたのは7回裏。途中出場の石田(翔)が星野の直球を右前にはじき返す。二死二塁となって井上(楓)。外角厳しいコースで追い込んだ星野だったが、勝負球の138キロの直球がわずかに中に入ったのを井上は逃さずセンター前に。ホームはクロスプレーとなったがわずかに石田の足が勝り、これが決勝点となった。
 8回は山下が3つの四死球を与えるなどして決定的な1点を失ったが、九州国際大付を3点に抑えた
投手陣はよく投げたというべきだろう。福岡大大濠は1-0や2-1で競り勝つというより、打線がつないでリードを奪い、継投で逃げ切るのが勝ちパターン。今大会は好投手との対戦が多かったこともあるが、4回戦(門司学園戦)を除いて2桁安打がなく、打線がやや湿り気味だった。この日も下村が相手だったとはいえ、援護が1点だけでは投手陣には荷が重かった。二盗を三度仕掛けるなど何とか下村攻略の突破口を開こうとしたが、いずれも井上(堅)の強肩に阻まれ、九州国際大付の堅い守りを崩せなかった。
 星子、星野というUー15代表選手が在学中に甲子園出場はならなかったが、深浦、山下の左右の二枚看板に山城や宮本など守備の要も残る新チームは、秋に向けての有力候補となりそうだ。
 


 

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