【東海大福岡８－０北九州】
試合途中から雨が降る中での試合となったが、北九州の木村を中盤以降に一気に攻略した東海大福岡がコールド勝ちを収めた。
両校無得点で迎えた４回裏、東海大福岡はこの回先頭の１番森田が左翼フェンス直撃の二塁打で出ると、続く山下の三塁前バントが内野安打となり無死一、三塁。打者高武の時、木村の一塁けん制が逸れ、三塁から森田が先制のホームを踏んだ。さらに高武のニゴロで一死三塁とし、４番国武の投手すぐ横を抜ける中前打でこの回２点を挙げた。５回は９番太田が死球で出塁し、森田の投手左へのバントの一塁送球が乱れ、無死一、三塁。山下四球で満塁とし、高武は三振に倒れたが、国武が押し出しとなる死球を受け１点を追加。皿田遊飛のあと、山本の左前打で森田が生還してリードを広げた。
続く６回は一死後、太田、森田が連続四球。山下中前打で一死満塁とすると、高武は浅い左飛に倒れたが、国武が左翼席に本塁打を放ち、試合を決めた。
北九州は２回二死後、木村の遊ゴロ失、宮下四球で一、二塁と迫ったが矢裂が中飛。その後は東海大福岡の先発・大久保に５回まで三者凡退に打ち取られた。ようやく６回に、この回から登板した重田を攻め、二死から２番赤松が右前打、３番安部も中前打を放ち二死一、二塁としたが江本が一邪飛に倒れ、三塁を踏めないまま完封負けを喫した。
▼３回戦（14日・北九州）
北九州 ０００ ０００ ０＝０
東海大福岡 ０００ ２２４ ｘ＝８ （７回コールド）
粗削りながら球の速さが魅力の木村と、キレのある直球・スライダーを巧みに操る大久保の投手戦は、雨の中で冷静な投球を見せた大久保に軍配が上がった。
３回までは北九州・木村、東海大福岡・大久保による見ごたえのある投手戦が繰り広げられた。木村はゆったりとしたワインドアップから、威力ある直球を投げ込んでくる。この日は１４０キロ超が出ていたようだったが、立ち上がりは球が浮き、先頭打者にいきなりストレートの四球を与える。ただ、この走者をけん制で刺すと、徐々に直球も低めに制球されるようになり、そこからは８人連続でアウト。直球が走っている分、ブレーキの利いた縦に落ちてくるスライダーが有効で、３回までに４つの三振を奪った。
対して大久保も負けていない。投手としては小柄だが、いかにもバネのありそうな体から放たれる直球がよく伸び、鋭く落ちるスライダーも低めによく制球されていた。
潮目が変わったのは４回裏、東海大福岡の先頭・森田の一打。直球を狙いすましたひと振りは、左翼フェンス上部にライナーで当たる大きな二塁打。ここから流れが急速に東海大福岡に傾く。山下の三塁前送りバントは、湿ったグラウンドに打球の勢いが殺された影響もあったか、内野安打になると、打者・高武の時に一塁けん制が乱れてあっけなく先制点が入る。国武は高めの直球をコンパクトに打ち返し２点目。国武は二盗に失敗したが、そこから三者連続四死球と、このあたりから木村は制球も定まらなくなってきた。足元をしきりに気にしており、３回裏から降り出した雨の影響もあったかもしれない。
５回以降は、木村が自滅する形となった。５回は死球のあと、森田の送りバントに足を滑らせ、慌てて一塁送球したがこれが悪送球に。山下にストレートの四球を与えると、高武はフルカウントから辛うじて三振に仕留めたが、国武に再び死球を与えて３点目。山本には真ん中に甘く入ったスライダーを痛打された。６回も二つの四球とヒットで満塁とされ、国武への初球、高めに浮いた直球を振り抜かれた。
東海大福岡の放ったヒットは７本だが、バントヒットを除く６本は、いずれも芯で捕らえた痛烈な打球。１４０キロ近い直球も高く浮いてしまったことで、速球対策をしていた東海大福岡打線に鋭く打ち返される結果となった。
雨の中での投球という点では大久保も同じ条件だったが、大久保はスライダーを多投してきた。特に雨の強くなった４回、５回はスライダーの連投。よほど制球に自信のある球なのだろう。木村、宮下をスライダーで見逃し三振に仕留めると、矢裂にも低めのボール球となるスライダーを振らせて三者連続三振。味方が２点を取った直後だっただけに、流れをさらに引き寄せる結果となりチームに勢いをつけた。５回まで許した走者は味方の失策と四球による２人だけの、ほぼ完ぺきな投球だった。
その大久保を、４点リードしていたとはいえ５回でスパッと代えた采配にも驚かされたが、エースナンバーを背負う重田への信頼度も高いものがあるのだろう。２枚看板を擁する東海大福岡が、まずは県大会出場を決めた。
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