2019夏の注目選手たち①(投手編・北部)




 第101回全国高校野球選手権福岡大会の開幕まで1カ月を切りました。21日(金)には組み合わせ抽選が行われ、いよいよ対戦相手も決まります。大会展望は抽選後に改めて行いたいと思いますが、昨夏~今春にかけて観戦した試合の中で印象に残った選手たちを忘備録的にアップしておきたいと思います。まずは投手編ということで、北部から10人をピックアップしました。

【右投手】
◆下村 海翔(九州国際大付=3年)
 2年時からエースナンバーを背負い、昨年は春秋とも九州大会のマウンドを経験。バランスのとれたフォームから投じる140キロ超の直球に、切れ味鋭い120キロ台のスライダーが武器で、いずれの球でも三振が奪えます。制球も良く完成度の高い投球は、北部ナンバーワンと言ってよいと思います。今春は準々決勝で西日本短大附・江崎投手との投げ合いに敗れましたが、それでも5安打2失点の好投を見せており安定感は抜群。大崩れがなく失点の計算できる投手で、3年ぶりの優勝を狙うチームにとって頼もしいエースです。

◆武内 未来(真颯館=3年)
 1年秋からマウンド経験のある右腕ですが、今春から急速に力をつけてきました。春の大会では試合のたびに球速も伸び、140キロ超まで上昇。この直球が内外角低めに吸い込まれるように決まり、スライダーもコース・高さとも申し分ないところに落としてきます。チームを準優勝に導いた春の大会では、準々決勝(対福工大城東)、準決勝(対福岡大大濠)と南部の強豪相手に無四球投球を見せるなど、制球力の高さも光りました。

◆大久保 啓(東海大福岡=3年)
 130キロ中盤の直球と、スライダーを使って内野ゴロを打たせるタイプの投手です。外角低めの制球がよく、ストライク先行の投球でテンポよく投げてきます。2年春までは制球に苦しむシーンも散見されましたが、制球力がついたことで安定感が増してきました。春季大会パート決勝では強打の飯塚打線を相手に7回まで5安打1四球(3失点)と好投。球速も130キロ台後半まで伸びており、直球にも磨きがかかっています。

◆平山 竜之介(飯塚=2年)
 130キロ台前半の直球を外角低めに集め、スライダーを交えながら打たせて取る投球を見せます。コントロールもよく四死球も少ないため、無駄な失点がありません。ストライク先行のテンポよい投球が持ち味で、2年生ながら完成度の高さを感じさせる投手です。ただ、秋は筑陽学園に、春は福岡大大濠にいずれも準々決勝で敗れているだけに、強豪と対戦した時に、より精度の高い投球が求められそうです。

◆山下 雅弥(嘉穂東=3年)
 やや細身の右腕ですが、130キロ台前半~中盤の直球に切れがあります。春はパート決勝で真颯館に6回4失点で降板しましたが、内角直球で真颯館の打者を詰まらせる場面も見られました。スライダーや100キロ前後のカーブも効果的に使いながら、緩急をつけてきます。

◆大谷 日向(嘉穂東=3年)
 がっしりとした体格から投じる130キロ台前半の力のある直球にスライダー、カーブを交えた投球で、特に直球が内角低めに決まると打ち崩すのは容易ではなさそうです。春季大会では背番号11でしたが、その後の福岡中央地区大会ではエースナンバーを背負い、決勝では飯塚を相手に5回まで無失点に抑えました。体格の違いはありますが山下投手と似たタイプで、2枚看板を形成して上位進出を狙います。

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【左投手】
◆樋口 風音(小倉工=3年)
 小柄な左腕ですが、秋ベスト4、春ベスト8と左腕では北部ナンバーワンの実績を誇ります。120キロ台半ばながらワインドアップから放たれる直球は球速以上に力のあるように感じます。この直球にスライダー、チェンジアップを織り交ぜながら早いテンポで投げ込んでくる投球ができると彼の「ゾーン」に入ってきます。九州国際大付を相手に7回まで3安打投球を見せた昨秋準決勝や、5連続を含む10奪三振の投球を見せた今春準々決勝(対博多工)などは、その典型です。走者を背負った時に制球を乱すことがありますが、セットポジションからでも同じような投球ができると、さらに攻略は困難になりそうです。

◆武内 夏暉(八幡南=3年)
 身長180センチ超の大型左腕で、春の北九州地区大会優勝に貢献しました。直球の球速は120キロ中盤から後半ですが、長身から投げ下ろす形になるため角度がつき、打者の膝元に突き刺さるように落ちてくるように感じます。タイミングを外す100キロ前後のチェンジアップも効果的で、より直球を速く見せることができ、打者が120キロ台の直球にも押されるシーンも見られます。細かな制球力など粗削りなところも見受けられますがスケールの大きさや、将来性を感じさせるサウスポーです。

◆大磯 一斗(門司学園=3年)
 打者に一度、背中を見せるように若干体をひねってから始動し、大きなテイクバックからスリークォーター気味に投げ込んできます。リリース後のフォロースルーも大きく踏み込んだ右足にも体重がよく乗り、回転の良い直球とスライダーをコーナーに集めます。北九州地区大会では自由ケ丘を相手に4失点ながら、粘り強く投げ抜いてチームの逆転サヨナラ勝ちを呼び込みました。力投型ではありませんが、球筋の良さが印象に残る投手です。

◆白坂 元(鞍手=3年)
 身長約160センチの小さな左腕ですが、昨秋は3試合で失点5と好投してチームのベスト16進出に貢献しました。球威はさほど感じませんが制球力に優れ、落差のあるカーブは三振も取れる決め球です。ピンチでも冷静さを失わず、走者を背負っても粘り強く投げることができます。


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