【観戦記】西日本短大附2-1九州国際大付(春季大会準々決勝)




※本記録は公式記録ではありません

 ワンチャンスを生かした西日本短大附が、江崎投手の力投で九州国際大付に競り勝った。
 1点を追う西日本短大附は6回一死後、1番近藤が左越え二塁打で出ると、鍛治四球で一、二塁。今村の遊ゴロ(ヒットエンド・ラン)で二死二、三塁とし、4番神宮が左前打を放って2者が生還、逆転した。
 先制したのは九州国際大付。3回二死後、3番井上楓が左前打、続く井上堅も左前打で一、二塁とし、5番塩崎が左越え二塁打を放って井上楓が先制のホームを踏んだが、一塁から本塁を突いた一走の井上堅は本塁で憤死、1点止まりに終わった。
 その後も5回一死二塁、6回一死満塁と追加点のチャンスをつかんだが、いずれも後続が凡退。逆転された後も、7回無死一、二塁、8回も無死一塁と、再三塁上を賑わせたが本塁が遠かった。終始押し気味に試合を進め、11安打を放ちながら3回の1点のみに終わり、力投する下村を援護できなかった。
 西日本短大附は初回と6回を除いて二塁を踏めなかったが、数少ないチャンスをものにした。先発の江崎は毎回のように走者を背負ったが、味方の好守もあって1失点で踏みとどまり、6回の逆転劇を呼び込んだ。

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 ここ数年、九州国際大付は、西日本短大附の「壁」となってきた。150キロ台の直球を投げる小野投手(現楽天)を擁した2014年夏は、準々決勝でコールド負け。春の優勝校としてのぞんだ2016年夏は5回戦で苦杯をなめた。昨秋も準々決勝で敗れセンバツにつながる九州大会の道を阻まれている。同じ相手に何度も負けられない。その執念が勝利を呼びこんだようにも感じた。
 九州国際大付は前半、得点を挙げた3回以外にも初回(二死一、二塁)2回(一死二塁)5回(一死二塁)と得点圏に走者を進め、いつ点が入ってもおかしくない展開だった。一方の西日本短大附は初回に2つの四球を得てから、2回から5回一死まで一人の走者も出せなかった。ようやく5回一死から宇郷が左前に初安打を放つが、しり上がりに調子を上げる下村に手も足も出ない状態だった。
 こうした中で迎えた6回の攻防が明暗を分けた。九州国際大付は一死から三連打で一死満塁。いずれも外野の前に落ちる当たりで西日本短大附にとっては嫌な流れだった。これを好機と捉えた九州国際大付ベンチは、9番園川に代えて左の強打者・中川を送り込んで勝負をかけたが、初球のスライダーを打ち上げ遊飛。1番柄谷の一打はサード正面へのライナーに終わり、大きなチャンスを逃した。
 このピンチを逃れた直後、耐えに耐えてきた西日本短大附にチャンスが訪れる。一死から近藤が下村のスライダーを叩き、レフト頭上を襲う二塁打で反撃の口火を切ると、鍛治が四球を選び、今村の時にカウント1-1からヒットエンド・ランで走者を進め4番の神宮が打席へ。神宮は昨秋の準々決勝では下村から北九州市民球場で右翼席に一発を叩き込んでいるが、この試合の最初の打席では内角高めの直球で空振り三振に打ち取られていた。140キロ台の直球で1-2と追い込まれた後、初回に三振を喫した高めの釣り球を2球見極めて3-2。勝負に来た145キロの直球をファールした後、7球目を逃さなかった。左前への当たりは決してよくなかったが、2者が生還する決勝打となった。

 この2点を江崎が必死に守った。直球のスピードは130キロ前後だが、スライダーにカーブを駆使して緩急をうまく使いながら決定打を許さなかった。逆転した直後の7回も先頭打者を四球で出し、井上楓に中前打を浴びて無死一、二塁と大きなピンチを背負ったが、井上堅を中飛、3回にタイムリーを浴びている塩崎を遊ゴロ併殺打に仕留めた。8回も先頭打者を歩かせるが、送りバントは使わない九州国際大付はここも強攻。原は三邪飛、前川はニゴロ併殺打。9回も一死から内野安打の走者を許したが、最後は三振と盗塁失敗でゲームセット。守りでも初回二死一、二塁で塩崎の左中間への当たりを、レフト高浪のダイビングキャッチでピンチを救った。

 九州国際大付の下村は、最速145キロの直球に切れ味鋭い120キロ台のスライダーを武器に5回一死まで無安打投球。6回に2点を許したが、被安打5・与四死球3は江崎を上回る内容。勝利投手にふさわしい投球だったが味方の援護に恵まれず、無念の敗戦となった。
 打線は、昨秋準優勝メンバーのうち4番葛城をはじめ3番中川壱、1番太治らを欠くラインナップ。故障によるものか調子の良さを優先した結果なのかは不明だが、決定打不足に泣き、2年連続九州大会出場中だった春の戦いを終えた。


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