【観戦記】九産大九州5-2筑陽学園(選手権南福岡大会準々決勝)




 九産大九州・村上、筑陽学園・西の投手戦で始まった試合は、土壇場で二度追いつく粘りを見せた筑陽学園を延長12回、九産大九州が振り切って熱戦を制した。
 両校無得点で迎えた7回、九産大九州は6番三島が左前打で出塁すると、城野汰が送り、8番村上が中前打を放って均衡を破った。延長戦に入り10回一死二塁の好機は逃したが、11回4番小中が中前打で出ると小沢が送り一死二塁。暴投で三進したあと、三島の中前打で勝ち越した。再び同点に追い付かれた直後の12回は、1番林がセンター左を破る二塁打のあと、黒木はバスターから一直に倒れたが小樋井四球で一死一、二塁とし、小中が中前打に勝ち越しの一打を放った。なおも一、三塁から小沢の左犠飛で小樋井が生還。三島四球のあと城野汰も中前に適時打を放ち、この回3点を奪って勝負を決めた。
 8回まで散発4安打に抑えられていた筑陽学園は1点を追う9回、2番後藤が右前打。石橋は左飛に倒れたが、続く森口が三塁線を破る二塁打を放ち、一塁から一気に後藤が本塁を突いて追いついた。再び勝ち越された11回は一死後、3番石橋が右前打ででると、森口四球で一死一、二塁。続く中村航の遊ゴロは6-4-3と転送されたが一塁はセーフ、この時オーバーランした三塁走者を刺そうとしたファーストからの送球が逸れる間に、石橋が同点のホームを踏んだ。3度目の勝ち越しを許した12回も先頭の進藤が死球で出たが、後続が続かず力尽きた。

▼準々決勝(16日・久留米)
九産大九州 000 000 100 013=5
筑陽学園  000 000 001 010=2 (延長12回)

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 南部を代表する強豪同士の一戦は、最後まで手に汗握る緊迫した試合となったが、終始先手を取り続けた九産大九州に軍配が上がった。
 勝因の第一は何といってもエース村上の力投。どちらかと言えば細身の投手だが、スナップの利いた130キロ後半の直球が伸び、スライダーやチェンジアップを交えながら、強打の筑陽学園に的を絞らせない投球を見せた。もともと昨春の福岡大会決勝でも西日本短大附を4安打1失点に抑えるなど、2年生の時から実績を残していた投手。制球力が抜群で、ここまで3試合23イニングスで与えた四死球はわずか3つ。この日も9回まで四球は一つだけ。2年生当時より直球の威力も増し、力強さも加わった。初回一死一、二塁、5回一死二塁、6回二死二塁と得点圏に走者を進められたが要所をきっちりと締め、リードを許さなかったことで、九産大九州は常に主導権を持って戦えた。
 その村上の力投に応えたい打線は、1~3回と得点圏に走者を進めながらも決定打を欠いた。7回左前打で出た三島を城野汰が送ったところで筑陽学園の先発・西が降板し、左サイドハンドの米井にスイッチ。その代わりばなをバットを一握り短く持った村上が、自らセンター右にはじき返して均衡を破った。延長に入ってからは疲れの見え始めた米井に毎回のようにヒットを浴びせて、最後は4番小中が試合を決めた。

 対する筑陽学園の西も直球のスピードは120キロ後半ながら、九産大九州打線を6回まで4安打に抑えた。三振はゼロだったがスライダー・カーブを交えてコーナーを厳しく突き、打たせて取る投球が冴えた。内野ゴロの数は犠打のアウトも含めると13個。四死球もわずかに1つだけで制球も安定しており、6回無死一塁では投手前のバントを素早く二塁送球、間一髪で刺すなど守備でも見せた。7回一死二塁となったところで降板したが、最後まで九産大九州に三塁を踏ませることはなかった。
 2番手として登板したのは米井。1年秋は主戦としてベスト4進出に貢献、昨秋からは主にリリーフとして終盤を任されてきた経験豊かな左サイドハンドだが、登板直後に村上に痛打を浴びた。それでも8回は三者凡退、9回も走者を一人出したが、最後は三振で締めてその裏の同点劇につなげた。ただ、延長に入ってからは少しずつ球が中に入ってきたところを捕らえられた。
 打線は村上の前に8回まで4安打で三塁を踏めなかったが、9回先頭の後藤がスライダーを右前に運び、一死後、森口が三塁線への強い当たり。サード小中も身を挺して捕球を試みるが及ばず、一塁から一気に後藤が生還。11回も一死から石橋が右前打で出塁し、相手のミスもあって再び追いついたが、いずれもその後のサヨナラのチャンスで決め切れなかった。粘りは見せたが、最後まで九産大九州・村上を攻略できなかった。
 6番ファーストで先発出場したエース大畑は最後までマウンドに登ることなく、最後の試合を終えた。思うような投球ができずこの夏は1試合3分の1を投げたのみ。ベストの布陣では臨めなかったが、西、米井が大畑の穴を十分に補った。西ー進藤のバッテリー、1番打者の江原らはまだ2年生。秋は有力な1校となってきそうだ。


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