来年の展望と注目選手~北部編①




 2017年の福岡の高校野球はすべての公式戦を終了しました。今年は福岡大大濠と東海大福岡がセンバツにダブル出場し、いずれもベスト8進出という県勢初の快挙を成し遂げました。夏は東筑が21年ぶりの出場。甲子園では初戦で敗れましたが、秋の福岡大会を制して31年ぶりの夏秋連覇を達成、九州大会でもベスト4に進出して2年連続の県勢センバツ出場を濃厚としています。9月のU-18ワールドカップでは三浦銀二投手、古賀悠斗捕手(いずれも福岡大大濠)の二人が侍ジャパンの一員として世界の舞台に立つなど、話題の多い一年だったと思います。
 この時期は例年、「来年期待(注目)の選手」として、投手・野手を紹介していますが、来年の選手権大会は北部(北福岡)、南部(南福岡)から各1校が出場することもあり、有力校と注目選手を紹介する「来年の展望」という形で、この秋を総括しておきたいと思います。いつものことですが、注目の選手は独断と偏見によるものですのでご了承ください。長くなりますので北部、南部それぞれ3回にわたって書き分けたいと思います。

 まずは北部を見ていきたいと思いますが、夏2連覇(センバツに出場すれば3季連続)を狙う東筑を筆頭に、その東筑を秋季大会準決勝で苦しめた小倉、覇権奪回を狙う九州国際大付が続き、真颯館、飯塚、東筑紫学園などの私立勢が追っているのが、現段階での構図となっています。

東筑(選手権大会=優勝/秋季大会=優勝)
 来年も福岡の高校野球界は同校を中心に動きそうです。夏の甲子園に出場した石田ー北村のバッテリー、阿部、田中の1・2番コンビなど経験豊富な選手が多く、頭一つ抜けている印象です。
 エースの石田旭昇投手(2年=右)は、130キロ台中盤~後半の威力ある直球で胸元を突き、スライダーやチェンジアップを低めに集めて打たせて取ります。四球も少なく、走者を出してからも粘り強く投げることができるため、失点が少ない投手です。秋季大会では準々決勝までの5試合でわずか3失点。準決勝の小倉戦では5点を失いましたが、勝ち越しは許しませんでした。
 決勝では、普段はサードを守る林大毅投手(2年=右)が筑陽学園を相手に1失点完投。最速137キロの直球が外角低めによく伸びていました。中学時代は古賀ベースボールクラブのエースとして全国3位の実績を持つ選手と聞きました。故障で投手としては出遅れたようですが、投手としての成長も注目されます。
 打線も派手さはありませんが、ここぞの集中打に迫力があります。阿部泰晟外野手(2年=左)は巧打のトップバッターで、センター中心に鋭い当たりを飛ばします。夏・秋と観戦した6試合で17打数8安打(.470)と打線を牽引、バントもうまく小技も使えます。田中将悟内野手(2年=右)、菊池聡太外野手(2年=右)、北村謙介捕手(2年=左)などの甲子園経験組に加えて1年生にも粗削りながら好素材が多く、県大会から3番に入った和久田秀馬外野手(左)は左右に強く打ち返す力強い打撃、小倉戦で代打で登場していきなり勝ち越し二塁打を放った藤原圭一郎内野手(右)は勝負強さと長打力が魅力です。レギュラー争いも激しさを増しそうで、さらなるチーム力の底上げも期待されます。

小倉(新人大会=北九州地区ベスト4/秋季大会=ベスト4)
 エースで4番の河浦圭佑投手(2年=右投右打)は、最速143キロの直球を投げる県内屈指の速球派。この直球にスライダーのほか、縦に落ちるチェンジアップ系の変化球もあり、これらがコーナーに決まれば準々決勝で春日を4安打完封したような好投が見られます。ただ、甘く入ってくる球も散見され、パート決勝の真颯館戦(被安打12)、準決勝の東筑戦(同13)と打ち込まれました。四死球は少ないのですが、直球と変化球でより厳しいコースを突く制球力がつけば、さらに上のレベルを目指せそうです。一方、打者としてもパワーある打撃を見せます。真颯館戦では逆転の2点本塁打、春日戦でも2打点と勝負強さもあり、文字通り大黒柱としての活躍を見せています。
 その河浦を軸とした打線は、真颯館戦で8点、東筑戦でも5点を奪ったように力があります。今夏、1年生ながら5番に座り、新チームでは3番を打つ石橋敬太郎内野手(右)は、東筑・石田投手から2本の二塁打を放つなどシュアな打撃を見せます。引っ張るだけでなく右方向にもしっかりとためて打てる技術があり、河浦選手とともに小倉の得点源となっています。
 1番打者の樵田旭内野手(2年=左)は、パート決勝、準々決勝、準決勝の3試合16打席で13回出塁するなど高い出塁率を誇ります。16打席のうち9打席で四球を選んだ選球眼の良さに加え、バントも巧みで、俊足を生かして内野安打にすることもしばしば。彼が出塁して2番の渡邉魁星外野手(2年=左)がきっちりと送り、中軸で還すのが小倉の得点パターンとなっています。下位打線にも力がついてくれば、さらなる得点力が期待されます。




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