2017選手権福岡大会を振り返る




 夏の福岡大会が閉幕して1週間が過ぎました。すでに福岡、北九州、福岡中央の各地区では新人大会が始まっており、8月末からは来年のセンバツを目指した秋季大会がスタートします。新たな戦いが本格化する前に、今年の夏を振り返っておこうと思います。

 今年はセンバツ8強で三浦投手の安定感が抜群の福岡大大濠が優勝候補の筆頭、これを同じセンバツ組の東海大福岡、春季大会の上位4校である九産大九州、西日本短大附、九州国際大付、真颯館などが追う展開を予想していました。この中では、まず真颯館がパート決勝で京都に苦杯を喫しました。難敵・小倉を3回戦で破っただけに県大会は固いと思われましたが、春先から安定した投球を見せていた末松投手が4回5失点で降板。8回に勝ち越したものの、故障明けの高木投手が踏ん張れませんでした。東海大福岡も北筑との初戦を苦しみながら逆転で下し、勢いに乗ると思われました。ところが4回戦で折尾愛真に9回5点差をひっくり返されるという、まさかの敗戦。安田投手は「勝ちを急いだ」というニュアンスのコメントを残していましたが、それでも5点差を逆転するのは、実力がないとできないもの。昨秋、延長戦で敗れた折尾愛真の執念が最後に実りました。

 有力校2校の敗退はありましたが、県大会にはシード16校のうち10校が残りました。昨年は7校、一昨年は5校でしたから、まずまず順当な結果だったと思います。4連覇を狙った九州国際大付は5回戦で福工大城東と対戦。序盤から再三好機を掴みながら得点につなげることができず、1点差に泣きました。連覇は途切れましたが、先発メンバーのうち4人が1、2年生。また、新たな挑戦が始まります。

 その九州国際大付を破った福工大城東、さらに九産大九州、西日本短大附、そして福岡大大濠までまとめて打ち破ったのが東筑でした。優勝候補をまとめて倒しての優勝だけに、その価値も高いものがあります。立役者は何といっても2年生エースの石田投手。140キロを超える速球や、三振の山を築ける変化球があるわけではありませんが、直球で胸元を思い切って突く攻めの投球に、春以降、磨きのかかったスライダーがうまくマッチし全7試合を完投、そのすべてを3点以内に抑えました。ちなみに、全試合を完投しての優勝は、2010年の西日本短大附・森投手以来となります。打線はチーム打率.289で決して打ちまくるチームではありませんが、好機での勝負強さが光りました。特に準々決勝の福工大城東戦は6回を終わって0-3と苦しい試合でしたが、終盤の数少ないチャンスを生かして逆転。この勝利で勢いに乗った感があります。

 九産大九州は2年連続で0-1のスコアで敗戦。2年前は0-2でした。堅い守りで毎年のように上位をうかがう同校ですが、夏の頂点を極めるためには打力強化がテーマとなりそうです。西日本短大附は藤松、西の投手陣の活躍でベスト4まで勝ち上がってきました。昨年から4・5番を張る橋本、渡辺を軸とした打力が注目されましたが、東筑戦ではその中軸2人が無安打に終わり、最後は投手陣が力尽きました。

 4回戦の福岡舞鶴戦で苦戦をした以外は、危なげなく決勝の舞台に上がった福岡大大濠は、三浦投手が期待通りの投球を見せ、6試合でわずか3失点と貫禄の投球。ただ決勝では制球に苦しみ、直球を狙われて長打を浴び3失点。打線も石田投手の前に沈黙しました。序盤の一瞬の隙を東筑に突かれ3点を失ったものの、追加点を許さなかった三浦投手には及第点を与えられる内容で、やはり石田投手の投球術が福岡大大濠打線を上回った、そういう印象を受けました。

 久留米商、筑陽学園、小倉工は活発な打線で上位進出を果たしましたが、決勝に勝ち上がった両校とは投手力の差が出ました。公立勢では春日が山本投手の活躍でシード・祐誠に競り勝つなど躍進し、ベスト8に進出。京都も常磐・真颯館という強豪を破っての県大会出場は見事でした。鞍手は昨秋敗れたシード・八幡に雪辱を果たして勢いに乗り、県大会をつかみ取りました。パート決勝で九産大九州に惜敗したものの、3勝を上げた香住丘の戦いぶりも印象に残りました。香田投手は2年生、今後の活躍に注目です。
 星琳は4年連続の県大会出場で、すっかり北部の強豪校となった感があります。東福岡は下野監督が初采配を振るいましたが、パート決勝で久留米商に惜敗。今後、どのようなチームを作ってくるか注目されます。小倉、東筑紫学園も力のある2年生投手が活躍、秋以降楽しみな存在となりそうです。

 

 




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