【観戦記】福工大城東3-2九州国際大付(選手権大会5回戦)




 序盤に再三のピンチをしのいだ福工大城東が中盤にかけてリードを広げ、九州国際大付の追撃を振り切って競り勝った。
 福工大城東は2回一死後、5番坂田が左越え二塁打で出ると、次打者の時に捕逸で三塁を狙い、捕手の三塁悪送球で同点に追いついた。4回は3番島田が右前打で出塁。松野の送りバントは投手への小飛球となったが、坂田が左前打で一、二塁。小園の三塁前セーフティバントは一塁アウトとなったが走者を二、三塁に進める形となり、安藤の右前打で1点を勝ち越した。6回も坂田がこの日3本目のヒットを右中間に放って無死二塁。小園が送った後、安藤がスクイズを決めてリードを2点に広げた。

 九州国際大付は初回、2番鳥丸が右越え本塁打を放って先制。その後も2回一死一、三塁、3回無死二、三塁、4回一死三塁と再三追加点のチャンスを掴みながら無得点に終わり、主導権を握れなかった。6回も一死二塁、7回には一死満塁と絶好のチャンスを得たが、6回途中から登板した2番手の鶴澤に抑えられた。ようやく9回、鳥丸、市川の連続四球と4番甲斐のレフト左への二塁打で1点を返し、なお無死二、三塁と迫ったが、ここでも得点できず、夏4連覇の夢を絶たれた。

▼5回戦(23日・小郡)
九国大付  100 000 001=2
福工大城東 010 101 00x=3

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 九州国際大付サイドに立てば、実にもどかしい試合となった。2回一死一、三塁、3回無死二、三塁、4回一死三塁、6回一死二塁、7回一死満塁、9回無死二、三塁…。再三の得点機に1本が出ず得点できなかった。

 2回一死一、三塁では、菊田が止めたバットに当たる捕ゴロ、山脇は一塁線難しいバウンドの当たりだったが、ファースト松野にうまくさばかれた。3回は先頭の鳥丸が一塁線を破る二塁打のあと、市川はライナーでライト頭上を襲う一打を放ったが、直接捕球を警戒したか、鳥丸のスタートが遅れ三塁ストップ。ここで1点を取れなかったのが痛かった。続く甲斐はセカンドへ強いゴロを放ったが前進守備のセカンド正面。前田はセンターに飛球を打ち上げたが、やや浅くタッチアップできず、中村は三邪飛に倒れた。4回はヒットで出た鳥井が暴投で労せず二塁へ進み、送りバントで一死三塁。相手のミスにつけこむチャンスだったが、代打伊東は外角を攻められ最後は直球を空振り三振。山脇も鋭い打球を放ったがセンター正面。その裏に勝ち越され、流れは福工大城東へ。
 6回、四球から一死二塁のチャンスを作ると、福工大城東はサイドハンドの鶴澤にスイッチ。鳥井は3-1と有利なカウントに立ちながら内角直球を見逃し三振。梅崎死球で鶴澤も不安定だったが、伊東が二飛で捕えきれなかった。7回は2安打に四球で一死満塁としたが、前田がスライダーにタイミングが合わず引っかけて三ゴロ。中村も内角のひざ元に落ちてくるスライダーで三振に打ち取られた。

 これだけチャンスを逃し続けても、最後に挽回の機会が残っていた。二つの四球でチャンスを作ると、甲斐の二塁打で1点を返してなお無死二、三塁。最低でも同点は固いという雰囲気だった。しかし金谷投ゴロ、中村ニゴロでわずか4球で二死となり、鳥井が一邪飛。赤木は伸びのある直球、鶴澤はスライダーを使ってコーナーを丹念に突く投球を見せ、要所を締めたとも言えるが、それでも8安打・8四死球を得て、九州国際大付が付け入る機会はあっただけに、拙攻の印象が強く残った。

 九州国際大付先発の前田は直球に切れがあり、スライダーも低めに決まる上々の立ち上がり。2回は味方の失策で1点を失い、4回は3安打を集めて勝ち越され、6回はスクイズで3点目を奪われたが、内容としては悪くなかった。7回二死から連打を浴びたところでマウンドを金谷に譲ったが、その金谷は後続を抑えると、8回も力のある直球で押し三者凡退に打ち取って最終回の反撃につなげた。

 福工大城東は得点圏に5度走者を進めたが、このうち三度を確実に得点に結びつけ、九州国際大付の拙攻がより際立つ形となった。5番坂田が猛打賞の活躍でチャンスメイク、7番安藤がタイムリーとスクイズで2打点と勝負強さを見せた。タイムリーヒットによる得点は1点だけだったが、敵失やスクイズをからめてしぶとく得点した。福工大城東の小技を使った細かで確実な攻めと、チャンスにも強打一本で押しまくった九州国際大付の攻めの粗さが印象に残った試合だった。




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