福大大濠、東海大福岡とも準々決勝で惜敗~センバツ




 第89回選抜高校野球大会第10日の29日、甲子園球場で準々決勝4試合が行われ、九州地区代表の福岡大大濠は第2試合で報徳学園(兵庫)、東海大福岡は第4試合で大阪桐蔭(大阪)と対戦しましたが、いずれも惜敗し準決勝進出はなりませんでした。福岡大大濠は26日、そして28日の滋賀学園戦で合計300球以上投げているエース・三浦投手が登板を回避。3投手が継投を見せましたが、報徳学園に3-8で敗れました。東海大福岡は安田投手が序盤好投を見せ、大阪桐蔭打線を封じましたが、5回に先制を許すと7・8回にも失点。打線も8回に2点を返す粘りを見せましたが、2-4で惜しくも敗退しました。
 センバツで福岡勢初となるアベック勝利、さらに揃ってベスト8まで進出するなど、福岡の高校野球史を塗り替えた両校の活躍は、準々決勝で終止符が打たれました。

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<試合経過>
【報徳学園8-3福岡大大濠】
 報徳学園が福岡大大濠の3投手に12安打を浴びせて着実に得点を重ね、投げては西垣~池上の継投で反撃を3点に抑えて快勝した。
 報徳学園は初回一死後、永山が四球を選ぶとすかさず盗塁を決め、片岡も四球で一、二塁とし、さらに4番篠原の時に重盗に成功。篠原の当たりはセンター・ライト・セカンドの中間に落ちるタイムリーとなって先制した。3回には小園が左前打で出ると、永山の時にヒットエンドランが決まり(左前打)無死一、三塁。片岡右前打で1点を追加(一塁走者は三塁狙いタッチアウト)し、なお一死一塁から篠原が右翼線三塁打を放ちさらに1点を加え、神頭投ゴロのあと、池上の右前打でこの回3点を奪って4-0とした。
 1点を返された直後の5回裏には一死から片岡右前打、篠原が左翼線二塁打で二、三塁。神頭の時、スクイズを試み、投球が逸れる間に三走が生還(記録は重盗)してまず1点。神頭も中前打でさらに1点を加えた。6回にもこの回から登板した古賀を攻め、右前打で出た長尾を送って一死二塁。二死後、小園の右中間二塁打で1点を追加。8回には二死から岡本の右越え本塁打が飛び出して、ダメを押した。

 4回まで1安打の福岡大大濠は5回、左前打で出た樺嶋を西が送り、久保田の遊ゴロをショートがはじく間に樺嶋が生還して1点を返した。1-6となった6回は稲本が右前打で出ると一死後、斎藤、樺嶋がいずれも右前に運んで1点。7回には二死から古賀右前打、東中前打、稲本左前打と三連打で1点を返した。しかし直後に救援に立った池上から、以後は走者を出せず、追撃の芽をつまれた。

<試合経過>
【大阪桐蔭4-2東海大福岡】
 東海大福岡・安田を終盤にとらえた大阪桐蔭が、東海大福岡の追撃を退けて逃げ切った。
 両校無得点で迎えた5回裏、大阪桐蔭は一死から山田が遊内野安打で出塁。二死後、泉口が右翼線に三塁打を放って先制した。7回には右前打で出た山本を福井が送って一死二塁。山本が三盗を成功させ、山田の中前打(ヒットエンドラン)で生還し1点を追加。さらに坂之下中前打、泉口一邪飛で二死一、二塁から徳山の左前打でこの回2点を加えた。1点差に迫られた8回には中川が一ゴロ失で出塁し、根尾も左前打で出ると山本が送って一死二、三塁。ここで福井が中犠飛を放って突き放した。
 7回まで大阪桐蔭・徳山の前に3安打に抑えられていた東海大福岡は8回二死から大鶴が二塁内野安打で出ると、北川が四球を選んで一、二塁とし、遠藤が左越え二塁打を放って1点差に迫った。しかし反撃もここまで。続く星野が一ゴロに倒れると、9回は三者凡退に抑えられ力尽きた。
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 福岡大大濠は徳原が先発のマウンドへ。立ち上がり落ち着いていたようにも見えたが一死後、四球、盗塁、四球で一、二塁とされ、さらに重盗をかけられ二、三塁と揺さぶられる。篠原は打ち取った当たりだったが、ライト前に落ちる不運なタイムリーとなり、あっさり先制を許したところで降板。直球の球速は120キロ台だったが、打者は差し込まれていたようにも映り、もう少し見ていたい気がした。ここからは普段センターを守る西、そして6回からは捕手の古賀がマウンドへ。だが、ベスト8に残るようなチームを、急造投手が抑えるのは厳しかった。
 三浦の登板回避の段階で、打ち勝つことが必須となっていたが、福岡大大濠は基本的に三浦が3点以内に抑え、3~5点を取って勝つチーム。いきなり、7~8点を求めるのは酷だろう。せめて投手陣が5点以内に抑えていれば勝負になったが、やはり失点を大きすぎた。三浦を中心に守り勝つ野球は全国ベスト8の力があることを証明し、再試合がなければもう一つ上も狙えたが、今の戦力ではここが限界だったか。打線の底上げと、もう一人計算できる投手の育成が、夏にベスト8以上を狙うためには必要だろう。

 一方、エース安田が登板した東海大福岡は、持っている力は十分に出したのではないか。安田投手は、外角低めに沈むスライダーと内角をえぐる直球で大阪桐蔭の強力打線を翻弄、6回まで4安打1失点は申し分ない内容だった。ただ、早稲田実戦でもそうだったが7回以降、やや球を見極められてきた感がある。序盤の球威、制球力を維持するのは難しいことだが全国で上位を狙うには、球種や攻め方の工夫など、終盤の投球がひとつ課題になりそう。打線も全国区の投手相手に、よく食らいついていった。この日も簡単に完封負けをするのではなく、8回に2点を奪って粘りを見せた。初戦の神戸国際大付戦で凌ぎ合いを制したように、持ち味の粘り強い野球が全国相手に通用したことは、大きな自信になったのではないか。

 甲子園での活躍で全国区の注目を集めるようになった両校の次の舞台は、九州大会に移る。大舞台で大きな経験を積んだ両校を、福岡のライバル校たちがどう迎え撃つのか。夏に向けて、俄然目が離せなくなった。






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