来年、期待の選手たち④(打者編~左打者)




 「期待の選手たち」シリーズの最終回は、打者の左打者編です。どうしても観戦数の多い(打席数の多い)打者が中心となってしまいますが、同じ打率5割でも、4打数2安打よりも10打数5安打の方が数字上の評価は上になりますし、何度も打席を見ることで打者としての特徴も見えてきますので、そのあたりは予めご了承ください。

 ※「長」は遠くに飛ばす力と技術を持つスラッガータイプ、「中」は外野の間を抜く打撃ができ、一発も期待できる中距離打者、「短」は内野の間を確実に抜く打撃をする打者、のイメージです。カッコ内は打撃成績。今年の大会で公式記録が残っているもの(春秋の九州大会、夏の選手権福岡大会)および筆者が観戦した試合の記録をもとに抽出。丸囲み数字(③など)は試合数。打数ー安打、打率の順。白抜き数字(➌など)は前条件による本塁打数。

◇和知巧大(真颯館・外野手・2年):中(⑥24-13 .542)
 夏の大会ベスト4の真颯館を1番打者としてけん引しました。特に4回戦から準々決勝までの3試合は、いずれも猛打賞。盗塁も2つ決めるなど大車輪の活躍でした。初球から積極的に振っていくところは、他の優れたトップバッターとの共通点です。センター返しの鋭い当たりが基本ですが、外野の頭を越していく長打力もあるうえ、足もある左打者ということで内野安打での出塁も目立ちます。

◇星野光紀(東海大福岡・一塁手・1年):短(⑨30-12 .400)
 秋の準優勝校・東海大福岡にあって、唯一の1年生レギュラーです。秋季大会では当初6番でしたが、途中から5番に固定され、勝負強さを発揮しています。中軸を任されていますが、長打力というより、柔らかな打撃で左右に打ち分ける確実性の高い打撃が目を引きます。

◇平野孝太朗(福岡大大濠・右翼手・2年):短(⑮39-13 .366)
 長打力はさほどありませんが、センター返しや三遊間方面へうまく合わせるヒットが目立ちます。1番打者の久保田選手の出塁率が高いため、送りバントのケースが多いのですが、確実に決めてきます。ライトのポジションでは、素早い反応から守備範囲も広く、明治神宮大会の明徳義塾戦では大きな飛球をフェンスに背中をぶつけながらも好捕してピンチを救いました。地味ですがチームへの貢献度も高く、福岡大大濠の躍進を支える一人です。

◇松井義弥(折尾愛真・外野手・1年):長(③11-4 .363➋)
 やや細身ですが190センチの恵まれた体格の持ち主で、1年生ながら夏の大会では4番を務めました。夏初戦の青豊戦でいきなり一発を放ち、この秋も4回戦で東海大福岡・安田投手から右越えに大きなアーチを描きました。リストが強そうで、遠くに飛ばす術(すべ)を身に付けています。右方向への大きな打球が多いですが、体ができて逆方向にも強い当たりが出るようになれば、大型スラッガーとしてさらに上のステージでの活躍も期待されます。

◇山脇彰太(九州国際大付・外野手・2年):中(➉36-12 .333)
 今夏の優勝メンバーの一人で甲子園でも2安打を放つなど、強打の2番打者として活躍しました。もともと1番や3番も務めるなど、低いライナー性の当たりで左中間、右中間を破っていく長打力があります。夏の大会準々決勝・自由ケ丘戦では熱戦にピリオドを打つサヨナラ二塁打もありました。新チームから3番に入っていますが、夏の4連覇を目指す九州国際大付にあって、打線のキーマンとなりそうです。

◇瀬崎憲士郎(北九州・外野手・2年):中(⑤19-6 .316➊)
 今夏ベスト8に進出したチームにあって、伏兵的な存在として活躍しました。打順は主に2番に入っていましたが、3回戦のシード・常磐戦では同点の口火を切る二塁打、5回戦の八女工戦では右中間に満塁本塁打を放つなど、大事な場面で好打を放ちました。夏の大会で放った6安打のうち5本が長打で、今後は中軸打者としての活躍が期待されます。

◇横尾忠孝(西日本短大付・捕手・2年):長(➉35-11 .314)
 185センチの立派な体格を生かした、パワフルな打撃が目を引きます。春季福岡大会準決勝では左の岩田投手から右翼フェンス直撃の二塁打を含む3安打と、左投手も苦にしません。左中間方向にも大きな当たりを打てる打者で、右の渡辺、橋本と並ぶ西日本短大付の左の長距離砲としての活躍が期待されます。

◇安田大将(東海大福岡・投手・2年):短(⑨33-11 .333)
 投手で打撃の良い選手は多いのですが、安田投手もその一人。打順も9番で決して長打力があるわけではないのですが、巧みなバットコントロールで内野の間を抜き、追い込まれてもしぶとく外野の前に落とすなど、打撃センスを感じます。打撃のよい他の投手たちと同じように、配球を読む力に長けていることも、高打率につながっていると思います。




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