【観戦記】早稲田実6-4福岡大大濠(明治神宮大会準決勝)

%e6%97%a9%e5%ae%9f6-4%e5%a4%a7%e6%bf%a0 早稲田実が福岡大大濠・三浦から序盤から得点を重ねてリードを奪い、終盤追いすがる福岡大大濠を4番野村の2点本塁打で突き放して逃げ切った。
 早稲田実は初回一死後、西田が右翼線二塁打、清宮四球のあと、野村の中前打で先制した。3回は一死から清宮がセカンドを強襲する二塁打で出ると、野村がフェンス直撃の左翼越え三塁打を放って1点を追加。続く雪山の二ゴロの間に野村も生還してこの回2点を加えた。さらに5回、野田の二塁内野安打、西田左前打、清宮四球で無死満塁とし、野村三振のあと雪山がフルカウントからスクイズを決めてリードを広げた。1点差に迫られた7回は死球で出た清宮を一塁に置いて、野村が左翼スタンドへ2点を本塁打を放って、突き放した。
 3回無死一塁、4回一死一、三塁と好機を逃してきた福岡大大濠は6回一死から三浦が四球で出塁。久保田三振のあと、平野の左前打で一死一、二塁とし、古賀が左翼線二塁打を放ってまず1点。東死球で一死満塁から、稲本のライト犠牲フライでさらに1点を追加した。続く7回は四球で出た斎藤を樺嶋が送り、三浦の左前打を処理したレフトから内野への返球が乱れる間に斎藤が生還して、1点差に迫った。3点を追う9回もショート内野安打で出た斎藤が二つの一ゴロで三塁まで進み、久保田の右前打で生還して1点を返したが、反撃もここまで。先発・中川から、赤嶺―服部とつなぐ継投にかわされて及ばなかった。

▼準決勝(14日・神宮)
福大大濠 000 002 101=4
早稲田実 102 010 20x=6

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 九州大会から明治神宮大会の初戦までの5試合で4完封の好投を見せてきた福岡大大濠・三浦投手だったが、毎回の12安打を浴びるなど打ち込まれて6失点。早稲田実の打力が一枚上だった。
 注目された清宮との対決は苦心の投球の末、4四死球1安打と5打席すべて出塁を許した。結果的に清宮を出したあと、4番野村に痛打を浴びて4失点。初回一死一、二塁では2-2から内角低めの直球が厳しいコースに決まったが、これが惜しくもボールの判定。続いてスライダーを外角低めに投じたがこれを野村は逆らわずに中前にはじき返し、打撃センスの高さを示した。3回の一死二塁からは、内角直球が高めに入りあわや本塁打という左翼フェンス直撃の三塁打。7回無死一塁からも2-0から内角を狙った球がやや真ん中に入り、今度はスタンドインを許した。
 この日の三浦投手はやや制球が甘かったが、厳しいコースに投じても早稲田実打線はよく打ち返してきた。これまで対戦してきた打線に比べると一段レベルが上で、むしろよく6点で抑えたという感じさえした。1回は1点を失った後の一死二、三塁。2回、4回は一死二塁。6回、8回も二死一、二塁。常に走者を背負う苦しい投球ながら、何とか切り抜け試合を作った。1本出ていれば大差となりかねない状況だっただけに、この粘りはさすがといったところ。三振も8つ奪って意地を見せ、5回には野村からも苦心の投球の末に外角スライダーで三振に打ち取った。清宮、野村には神経をすり減らしながら投げている様子が端からも見て取れたが、このクラスの打線を抑えるには制球ミスは許されないし、140キロ超近い直球をことごとく痛打されただけに、変化球をまじえた高度な揺さぶりが必要だろう。

 早稲田実の先発・中川投手も序盤から球が高く、2回には東が一塁左を襲う痛打を放つなど(清宮が好捕)、福岡大大濠打線は初回から捕らえてはいた。ただ3回は無死一塁から樺嶋の送りバントが二つファールになり結局三振。続く三浦も送りバントを試みたが、2-6-3の併殺。4回も無死二塁から平野が送れず、強打に転じたが中飛。さらに一死一、三塁から4番東の強い当たりは投手正面となり、1-6-2の併殺となるなど、好機を逃し続けた。6回以降、得点を重ねる力はあっただけに、序盤に1点でも2点でも取れていれば、また流れは変わっていたかもしれない。
 それでも甘い球は逃さない打力は示した。早稲田実や履正社など全国トップクラスの打線に比べるとスケールは落ちるが、全国クラスの投手からも3~4点取って三浦投手を援護できる力は十分にある。県大会からほぼ固定メンバーで戦ってきただけに、ここに割り込む選手が出てくるようだと、さらに打線は厚みを増してきそうだ。




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