2016夏の大会を展望する④~野手編




 野手に関しては、一人の選手をじっくり見る機会はそうそうありませんので、観戦した試合での第一印象を中心に触れていきたいと思います。打力のほか、今回は守備力にも注目してみました。投手だけでなく、今年は野手にも好選手が目につきます。

◆渡邊大海(西日本短大付・2年/右投右打/一塁手)西短・渡邊
 春の九州大会2本塁打に敬意を表して、最初にあげました。一発の魅力もさることながら、5番打者として勝負強い打撃を見せます。春季福岡大会準々決勝(対自由ケ丘)では貴重な追加点となる2点タイムリー、準決勝(対九産大九州)では決勝タイムリーを岩田投手から放ち勝利に貢献しています。九州大会準決勝(対長崎日大)では1点ビハインドの8回に同点本塁打。打点の多さもさることながら、勝利に貢献する一打を打てる打者です。西日本短大付の1~3番の出塁率は高いため、4番・橋本とともに、西日本短大付の得点力を左右することになりそうです。

◆土田天洋(小倉・3年/右投右打/一塁手)DSC_2035
 昨年から4番に座る小倉の主砲。高校通算42本塁打と遠くに飛ばす力を持っています。昨夏は県大会3試合で無安打に終わり悔しい思いをしましたが、新チームでは主将としても打線を牽引。昨秋福岡大会決勝で九産大九産・梅野に一矢報いる痛烈な右犠飛、九州大会初戦(対樟南戦)では先制二塁打を放つなど、頼りになる4番打者に成長しました。父の秀夫さんは小倉でセンバツに出場し本塁打を放っており、小倉東の監督としても二度センバツを経験。親子での甲子園出場に期待がかかります。

大濠・松本◆松本敦輝(福岡大大濠・3年/右投右打/捕手)
 1年の夏から正捕手として公式戦に出場しています。低めの球をしっかり体で止めることができるほか、捕球してから送球までが速く、春季大会準決勝の東筑戦では3つの盗塁を刺して機動力を封じました。インサイドワークにもすぐれ、意思のあるリードを見せます。八木監督が手塩にかけて育て、キャッチング、送球、リードと三拍子揃った捕手に成長しました。濱地投手の陰にあって目立ちませんが、彼の好リードと強肩、低めの球も体を張って止める捕球は、大濠投手陣から絶対的な信頼感を得ています。

大濠・古賀2◆古賀悠斗(福岡大大濠・2年/右投右打/遊撃手)
 昨夏も1年生ながら5番打者として県大会出場に貢献しました。新チームでは2番や3番に入ることが多かったようですが、そこまで強烈な印象はありませんでした。ところが、春季大会準決勝の東筑戦で2本のホームランを放ってから一気に爆発。九州大会でも4試合で4安打4打点の活躍を見せました。東筑戦の本塁打は高々と打ちあげ、レフトスタンド中段まで運びました。昨秋準決勝で九産大九産・梅野投手にノーヒット・ノーランを喫し、冬の間にチームとしてかなり振り込んできたようですが、その成果が出てきているようです。東、稲本、田中、濱地と7番まで続く強打者の先陣を切ります。

◆古川裕大(久留米商・3年/右投左打/捕手)久留米商・古川
 1年秋に桧原公園野球場の右中間奥深くに放った一発の印象が強く残ります。体格にも恵まれ、柔らかいバットコントロールから、軽く合わせただけで軽々と外野まで運ぶリストの強さが光ります。昨夏、秋と思うような打撃は見せられませんでしたが、ひと冬超して調子を上げてきているようです。春季大会では初戦で西日本短大付に敗れましたが、谷口投手から痛烈な短長打2本放っており、存在感を見せつけました。

西短・三宅◆三宅 州(西日本短大付・3年/右投左打/遊撃手
 俊足好打のトップバッター。当たりの弱いゴロを内野安打にし、外野への単打も隙あらば二塁打にする走力があります。二盗はもちろん、二塁に進めば際どい当たりでも間一髪本塁を陥れます。打ってもシュアな打撃が光り、小技も利きます。観戦した試合では春季大会2回戦・久留米商戦で3打数2安打1盗塁、準々決勝・自由ケ丘戦で5打数2安打2打点、準決勝・九産大九州戦で5打数3安打と正に打線を牽引しています。九州大会でも全4試合で安打を記録。彼のあと、中島、吉無田、橋本、渡邊と続く打線は県内屈指だと見ています。

◆神野隼人(九産大九州・3年/右投左打/二塁手)九州・神野
 軽快な守備を見せるセカンドです。2年生の時から、思わず唸るようなプレーをしていました。派手なプレーをするわけではありませんが、正面の強い当たりや、バウンドを合わせるのが難しいゴロなどを軽快なグラブ捌きで、いとも簡単に処理します。ショートの吉田選手との二遊間は堅く、岩田投手の打たせて取る投球も、この二遊間あってのもの。堅守の九産大九州の代名詞ともいえる選手です。打撃では新チームからトップバッターに定着、足も生かしてチャンスメイクの役割を担います。

自由・天野◆天野雅和(自由ケ丘・3年/右投右打/捕手)
 強力な打線を誇る自由ケ丘打線の中軸打者です。自由ケ丘の各打者は鍛え抜かれた立派な体格の選手が多く、重いバットを使って打撃練習をしている効果もあるようで、少しでも甘い球がくると痛烈に打ち返してきます。その象徴的な打者が天野選手といえます。自由ケ丘の強力打線は、今年の大会の見どころの一つとして注目しています。

◆藤本穂高(福岡第一・3年/右投右打/遊撃手)福岡一・藤本2
 前チームから主力として活躍、新チームでは4番に座ります。左方向を中心に大きな当たりを打てる打者です。昨夏3回戦では東福岡・福島投手からあわや本塁打という当たりの二塁打を含めて2安打。今年4月の福岡地区大会でも九産大九産・梅野投手からも左翼フェンス直撃の二塁打と、140キロ以上投げる投手にも振り負けません。

福岡一・桃原2◆桃原 康(福岡第一・3年/右投左打/三塁手)
 バットコントロールに長け、長打力のある左打者です。昨年4月の福岡地区大会(汐井球場)で、東福岡の福島投手から放ったライナー性の二打席連続本塁打が強く印象に残ります。コンスタントにヒットを重ねるというより、勝負強いというか、意外性があるというか、ここぞという場面で力を発揮するタイプの打者だと感じます。

◆麻生佳汰(北九州市立・3年/右投左打/三塁手)
 見たのは2打席だけですが、リストが柔らかく、ライナー性の当たりを軽々と打てる打者として印象に残っています。昨夏から3番を打っており経験も十分、同じく昨夏から4番に座る郡谷選手との3・4番コンビは注目したいところです。

◆久我良介(東福岡・3年/右投左打/三塁手)
 2番を打ちますが、しぶとい打者、という印象です。送りバントは確実に決めるうえ俊足ですから、相手内野陣にはかなりプレッシャーがかかります。打ってもセンター中心にコンパクトに振りぬき、塁に出れば盗塁を狙ってきます。つなぎ役としては最高のパフォーマンスを見せるだけに、前後を打つ打者の活躍がポイントになります。

◆吉岡 翼(祐誠・3年/右投左打/中堅手)祐誠・吉岡
 昨夏は3番打者として県大会を経験。新チームではトップバッターとして、右に左に自在に巧打を放ちます。塁に出ると果敢な走塁で次の塁を狙い、強打・祐誠打線の切り込み隊長として彼の出塁が打線に点火することになります。

◆立石 蓮(九州国際大付/右投左打/一塁手)
 今年の九州国際大付打線の中心となる存在です。センターを中心に鋭い当たりを飛ばします。場面によってヒット・エンド・ランで進塁打を狙い、塁に出れば自らも走る、機動力を重視する今年の九州国際大付を象徴する打者といえます。昨夏の甲子園に唯一レギュラーとして活躍した中山選手と、今年の九国打線を牽引することになりそうです。

大濠・濱地(打)◆濱地真澄(福岡大大濠・3年/右投右打/投手)
 投手としての評価もさることながら、184センチという恵まれた体格を生かし、ホームランバッターという一面も持ち合わせています。昨夏3回戦で九産大九州・岩田投手を沈める一発を放ったのをはじめ、昨秋も4回戦の福工大城東戦での4安打、パート決勝・筑紫台戦での一発など大暴れ。春の九州大会準々決勝・大村工戦のダメ押しの一発も記憶に新しいところ。配球を読み、狙い打つことができるセンスとパワーの持ち主です。この濱地が7番に座る大濠打線の威力、推して知るべし…です。

◆梅野雄吾(九産大九産・3年/右投右打/投手)打者・梅野
 打者・梅野もセンスを感じさせます。昨秋までは4番に座るなど長打力と勝負強さを兼ねそろえます。秋は大一番となった福岡大大濠戦で両校あわせて唯一の得点となったタイムリーを濱地投手から放ちました。決勝の小倉戦でも3安打1打点。ここぞという場面や、速い球を投げる投手との対戦で強みを発揮します。4月の福岡地区大会では7番を打っていましたが、彼の打力や勝負強さを考えると4、5番に置きたいところです。

◆藤原悠太郎(筑陽学園・2年/右投右打/捕手)
 捕手をもう一人挙げるとすれば、この選手でしょうか。とにかく低めの球を体で止めます。4月の福岡地区大会準決勝・東福岡戦で山中投手が低めに集めて1失点に抑えることができたのは、走者を置いても思い切って低めに球を集めることができたのが大きな要因でしたが、ワンバウンドになっても止めてくれるという藤原捕手への安心感、信頼感があったのだと思います。打線では4番に座り、2年生ながらチームの要となっています。

 

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