【試合経過】
序盤に長打攻勢で得点を重ねて逆転した九州国際大付が、堅守で折尾愛真の追撃を振り切った。
１点を追う九州国際大付は２回、この回先頭の６番・宇都が右翼席中段に運ぶ本塁打を放って同点に追いつくと、続く３回にも二死から４番・山本の右翼線二塁打と脇坂の左前に落ちる安打で勝ち越し。４回には右前打で出た８番・中山を富山が送った後、吉井の左翼線二塁打と山口の右翼フェンス直撃の二塁打で２点を奪い、リードを広げた。１点差で迎えた８回には７番・亀谷の遊ゴロ失で出塁すると、中山が送り一死二塁。富山の二塁ゴロが失策を誘い一、三塁とチャンスを広げ、吉井の中犠飛で貴重な追加点を挙げた。
先制したのは折尾愛真。１回、奥田が二塁内野安打で出塁すると川口死球、石田の送りバントで一死二、三塁。ここで４番・小松がスクイズを決めて幸先よく先制点を奪った。３点差とされた４回には二死から途中出場の柳井が中前にしぶとく運んだあと、６番・磯部が左翼席へ本塁打を放ち１点差に詰め寄った。５回にも８番・武吉が中前打で出塁し、兼安が送ったあと奥田が右前に安打を放ったが、二塁走者・武吉がライトからの好返球に刺されて同点のチャンスを逸した。その後も６回無死一塁、８回一死二塁と好機を迎えたが、九州国際大付の堅い守りもあって得点できず、あと一歩およばなかった。
▼北部３回戦（11日・北九州市民）
九国大付 ０１１ ２００ ０１０=５
折尾愛真 １００ ２００ ０００=３
————————————————————-
県内屈指の打線を誇る九州国際大付と折尾愛真の好投手・新井の対決が注目されたこの一戦は、九州国際大付が４回までに１０安打を浴びせ４－１と徐々にリードを広げ、このまま一方的な展開になるかと思われた。
実際、九州国際
大付の打棒は凄まじかった。打球のスピードが違う。初戦の筑豊戦で１番・吉井のほか、中軸の岩崎・山本・脇坂が本塁打を放っているが、この日は６番の宇都にも一発が出た。２番・山口も右翼フェンス直撃の二塁打を放っており１～６番はスタンドに運ぶ力を秘めている。前チームもそうだったが、当たりそこないの内野安打やポテンヒットなどが極端に少ない。痛烈な打球が右に左に飛ぶ様は凄まじいの一言だ。８回に２つの内野失策を足がかりに追加点を挙げたが、いずれも強烈な打球でかなりスピンがかかっていたのだろう、捕球直前に微妙にバウンドが変わったようにも見え、処理するには難しい打球だった。
だが折尾愛真は、この嵐のような九州国際大付の攻撃に耐えた。まず４回、４点目となる二塁打を放ち三塁を狙った山口を的確な中継プレーで刺し、一度流れを断ち切る。続く岩崎に右前打から盗塁を許し送球ミスもあって三塁まで進まれたが、４番・山本にいい当たりをされながらも中直に抑え踏ん張る。５回には先頭の脇坂に右翼線二塁打を許すが、送りバントのサインでリードの大きかった脇坂を奥田が刺してピンチの芽を摘んだ。
そうやって耐えているうちに流れが折尾愛真に傾き始めるが、今度は九州国際大付が堅い守りで流れを渡すまいとする。まず、５回一死二塁で奥田が右前打、打球が速かったこともあり本塁突入の判断は微妙だったが、ライトの中山が落ち着いてストライク返球を見せて同点を阻止。６回には無死一塁で盗塁を仕掛けてきた走者を捕手・岩崎が冷静に刺す。８回にも一死二塁から川口の一塁線を破ろうかという打球を宇都が横っ飛びで抑え、続く二死三塁でも石田のセカンド左へのハーフライナーを亀谷が飛びついてダイレクトキャッチ。得点を許さなかった。前半は打棒、後半は堅守、九州国際大付がその持ち味を発揮しての勝利だった。
折尾愛真・新井は直球、スライダーともこの日は切れ、制球ともいま一つ。甘く入ったところをことごとく痛打された。それでも粘り強く投げ、中
盤の味方の反撃につなげた。打線も、九州国際大付とは対照的に小柄な選手が多い中にあって、しぶとい打
撃で富山から９安打を放って再三チャンスを作った。また派手さはないが堅実な守備を見せ、特に外野は右打者の時は全体的に右側によって右中間を締め、長打に備えるなど打者によって守備位置を変えてきた。シフトにはまって右中間に飛んだライナー性の当たりをアウトにする一方で、３回の山本、脇坂の打球などけシフトが裏目に出た安打もあったが、研究のあとをうかがわせた。相撲に例えるなら、小兵力士が大型力士の強烈なツッパリに耐えて懐に潜り込み、勝負できる体勢を築くところまでは持って行けた。
九州国際大付の富山も、体重がよく乗った力のある直球が決まっていた。中盤、この直球を狙われてピンチを招いたが、味方の堅守にも助けられリードを守り切り、エースの仕事を果たした。
Leave a Reply