２１世紀枠九州地区推薦校・八幡南に吉報は届くか？

　久しぶりのブログ更新となりました。１２月に入ってから多忙で、いろいろ書きたいネタはあるのですが、時間が取れませんでした。そうこうしているうちに１２日、来年３月開幕の第８７回選抜高校野球大会の２１世紀枠の九州地区推薦校に八幡南が選ばれました。先日のこのブログでは「話題性なら首里（沖縄）、地域性なら鳥栖工（佐賀）、実力なら八幡南」と予想したのですが、蓋を開けてみると一昨年までのように「九州大会に出場した」「公立校」から選ばれました。
　では、八幡南の２１世紀枠選出の可能性を探ってみましょう。まずは過去５年間の２１世紀枠候補校と、その推薦理由を表に簡単にまとめてみました。

　２１世紀枠の予想は例年難しいのですが、最近の傾向として選出理由に「ストーリー性」が求められるようになっていると感じます。毎日放送の森本栄浩アナは「選考に先立って行われるプレゼンテーションがそれまでの各地区理事の持ち回りから、２年前から当該県の理事が担当できるようになったため、プレゼンの内容が選考に与える影響は大きくなっている」と分析しています。すでに公になっている選考理由だけでなく、プレゼンの場で当日初めて披露する「逸話」は特に選考委員に大きな影響を与えるようです。昨年だと小山台は「狭いグラウンドというハンディ克服」という推薦理由に加え「エレベーター事故で亡くなった市川選手の意思を歴代の部員が継承」というプラスアルファがありました。同様に海南は「進学校がゆえの練習時間制限を克服」に加え「統合した大成高校の伝統を受け継いでいる部員たち」、大島は「離島のハンディ克服」とは別に「高野連・脇村元会長による激励」という逸話を披露しています（センバツ出場校、選出の経緯と傾向）。九州地区推薦校として首里も有力だと思ったのは「沖縄勢初の甲子園出場校」という強いストーリー性があったからです。

　そのため福岡県高野連理事の方のプレゼン力が期待されるところですが、今年は西日本地区に強力なライバルがいます。四国地区の松山東（愛媛）と近畿地区の桐蔭（和歌山）です。
　最近の選出傾向の一つとして、３０年以上前に全国優勝あるいは準優勝した古豪が選ばれるようになっています。５年前は和歌山中時代に夏２回、春１回の全国優勝がある向陽が選ばれました。２年前は「全力疾走」で知られ春夏一度ずつの準優勝がある土佐（高知）が私立ながら選ばれました。土佐が選出された際は同校が私立ということ、２０年前（１９９３年）にセンバツに出場していることなどから、かなり違和感を抱いたのを覚えています。特にこの年は福岡・門司学園への期待が大きかっただけに、２１世紀枠の存在理由に強く疑問を持ちました（ただ、そうした古豪にも「これまでの高校野球界への貢献大」という選考理由があることがわかってきましたが）。

　話が逸れましたが松山東、桐蔭とも全国優勝のある古豪。これまでの流れを考えると１校はまず選ばれそうです。西日本枠で漏れた場合でも地域枠を外して選考される３番手で選ばれる可能性も十分です。それを上回る話題性や選出理由が、今のところ他校には見当たらないように思えます。
　八幡南の推薦理由は「グラウンドが狭いなど環境に恵まれない中、部員と指導者が一体となり創意工夫した練習で好成績」（朝日新聞）。もちろんこれはこれで素晴らしいものであり、八幡南の選考を心から願っていますが、客観的に見たとき全国的なインパクトとしては、やはり少し弱いように感じます。プレゼンでの「隠し球」に期待しましょう。

　２１世紀枠出場校の選考日は来年１月２３日。選出されるのは全国９地区の候補校から３校。八幡南が選ばれる確率は９分の３ということになります。

※校名は２１世紀枠のうち「東日本枠」もしくは「西日本枠」で選出、校名は２１世紀枠のうち「地域限定なし」として選出。
※都道府県名下の数字は春夏の甲子園出場回数。校名の赤字は春夏いずれかの全国大会で優勝、青字は準優勝あり。★は私立。
※益田翔陽は益田産、益田農林時代に１度ずつ夏の甲子園に出場。海南は合併した大成が２回センバツ大会に出場。
※松山東の夏の甲子園出場回数は松山商を統合して出場した1950年含む。優勝も松山商統合時代のもの（後に松山商は独立）。
※向陽は旧海草中。桐蔭は旧和歌山中。

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