夏の福岡代表校を振り返る⑨(第18回大会・小倉工)~”神に迫る”守備




1932年(昭和7年) 第18回選手権大会/小倉工(3年連続3回目)  優勝=中京商(愛知)②
 

 5季連続の甲子園となった小倉工。強打者・新富、不動の1番打者・田才、内野の要である藤本らのメンバーが残り、新たなエースには酒井安夫を擁して春のセンバツでは1勝。新富の打棒にはさらに磨きがかかり、北九州大会の1回戦・小倉中戦で5本の本塁打を放つなど、全国屈指の打者に成長していた。

 初戦の相手は名門・和歌山中。小倉工打線は大谷投手のドロップの前に3安打に抑え込まれ、酒井投手はよく投げたが5回に木村にタイムリーを許した1点が決勝点となった。

 新富もノーヒットに終わったが、その守備は野球評論家の飛田穂洲をして「…希に見る三塁手の善防というべく、その一塁送球は神に迫り、余りにもあざやかなる驚嘆久しうするものがある」と絶賛された。

 新富は卒業後、門司鉄道局を経て、1934年に結成された大東京野球倶楽部(のちの巨人軍)に入団。翌35年からのアメリカ遠征にも同行、中軸として活躍。入隊により退団した後、除隊となって39年に阪急に入団した。41年に再び召集を受け、45年に戦死を遂げた。

◇1回戦(8月13日)
     一二三四五六七八九 計HE
和歌山中  0 0 0 0 1 0 0 0 0  1 6 1

小倉工   0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 3 3
【小倉工】 打安 【和歌山中】打安
6 田 才 40 4 喜多島 30
2 西 村 41 7 木 村 42
5 新 富 30 2 後 藤 41
1 酒 井 20 1 大 谷 30
3 藤 本 30 9 山 本 41
4 大 石 31 6 太 田 20
7 猪 俣 30 8 西 尾 20
8 山 本 31 3 和 田 41
9  関  20 4 宇 野 41
H⑼浜田重 10            

振四犠盗残  28 3 振四犠盗残  30 6
61103      44309
  

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