夏の福岡代表校を振り返る⑤(第7回大会・豊国中)




1921年(大正10年) 第7回選手権大会/豊国中(2年連続2回目)         優勝=和歌山中(和歌山)初
 

 2年連続の出場となった豊国中。前年は三塁手として出場した久礼投手を軸に、接戦を連勝。準決勝では優勝した和歌山中の強力打線の前に大敗を喫したが、2年前の小倉中に続きベスト4に進出。3試合で3本の本塁打を放つなど、県勢の躍進を印象づけた。

【2回戦】
 豊国中は2回、ヒットで出た平野を置いて山本が左翼への本塁打で2点を先制。3回、6回にも敵失を絡めて着実に加点、6回まで8-3と優位に試合を進めた。だが7回、満塁から俣野、八田のヒット、四球などで1点差に迫られ、9回も二死までこぎつけ、これを取れば試合終了という飛球を落球、同点となり延長戦に入った。
 10回には4番・俣野に1発を浴びて勝ち越しを許すが、その裏、今度は相手の失策で同点に追いついた。そして12回、連打で出た走者をバントで送った一死二、三塁から、久礼がサヨナラスクイズを決めて3時間30分にわたる熱戦に終止符を打った。長野中は11失策が響いた。

【準々決勝】
 2点を追う豊国中は3回、徳海の遊ゴロが一塁悪送球となり二進。二死後、今度は久礼の三ゴロが低投となり労せずして1点を返した。4回に沖が右翼への本塁打を放ち同点とすると、5回には敵失、犠打で得た好機に久礼がショート右を破るタイムリーを放ち逆転に成功。7回には原田の右翼本塁打、8回にもスクイズでリードを広げた。
 久礼は初回にソロ本塁打を浴び、2回も2失策に自らの暴投で1点を失ったが、その後は盛岡中の拙い攻めにも助けられて追撃を封じた。

【準決勝】
 初回から和歌山中の打線が久礼投手に襲い掛かった。ヒットで出た戸田を送り、一ゴロ失、盗塁で一死二、三塁とした後、北島が2点タイムリーを放ち先制。2回も2安打で加点すると、3回には一ゴロ失、安打、四球の一死満塁からタイムリー、敵失、四球などで一挙5点を挙げ、序盤で大きくリードを広げた。その後も、攻撃の手を緩めず、先発全員安打となる17安打に8盗塁を決めるなど機動力も絡めて18得点。1回戦の20得点、準々決勝の21得点に続く大量得点を挙げた。
 豊国中は8回に中前打で出た漁島が二盗、三盗を決め、敵失で生還。9回には沖の中前打に敵失が絡んで得た一死三塁から北村がスクイズを決め、一矢を報いた。

◇2回戦(鳴尾)
         一二三四五六七八九十一二 計HE
長野中 0 0 0 0 3 0 4 0 1 1 0 0 91011   

豊国中 0 2 3 0 0 3 0 0 0 1 0 1 10 6 6
<本>俣野、山本 <三>花岡、山岡

【豊国中】  打安 【長野中】 打安
7 原 田  51 2 樽 田 60
1 久 礼  60 3 花 岡 73
3 漁 島  50 4 渡 辺 40

2 平 野  62 1 俣 野 55
9  沖   40 5 麻 田 50
8 山 本  51 8 山 岡 61
5 中 川  60 9 八 田 61
6 徳 海  51 7 田 中 50
4 徳 永  51
 6 仲 俣 60
振 四犠盗残  476   振四犠盗残 4910
1062211     1170311
 ◇準々決勝(鳴尾)
            一二三四五六七八九 計HE
盛 岡 中  1 1 0 0 0 0 0 0 0  2 5 4   

豊 国 中  0 0 1 1 1 0 1 1 x  5 8 3
<本>及川、沖、原田  <二>中川

【豊国中】 打安 【盛岡中】 打安
7 原 田   41 8 佐 藤 42
1 久 礼   41 6 深 沢 30
3 漁 島 42 4 及 川 41
2 平 野 41 1 山 口 40
9  沖  42 2 村 井 30
8 山 本 30 5 小田島 20
5 中 川   41 3 大 内 31
6 徳 海   30 7 斎 藤 30
4 徳 永   30 9 鵜 飼 31
振四犠盗残  338   振四犠盗残 295
50125    72133
◇準決勝(8月17日/鳴尾)
             一二三四五六七八九 計 HE
和歌山中  2 1 5 1 0 2 5 0 2  18174   

豊国中   0 0 0 0 0 0 0 1 1   2 6 9
<二>久札、戸田、井口

【豊国中】 打安 【和歌山中】打安
7 原 田 40 8 戸 田 53
1⑸久 礼 41 3 深 見 51
3 漁 島 21 6⑴井 口 64
2 平 野 40 1⑹北 島 52
9⑻ 沖  42 7  堀  32
8⑴山 本 30 5 田 島 52
5⑻中 川   31 4  柳  61
⑼ 北 村 00 9 高 木 41
6 徳 海   31 2 武 井 41
4 徳 永   30         
振四犠盗残 306   振四犠盗残 4317
73226        54688


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