夏の福岡代表校を振り返る③（第５回大会・小倉中）

　第３回大会は九州大会で福岡商が決勝まで進出したが、長崎中に敗れて福岡県勢の出場なし。
　第４回大会は中学明善が２度目の優勝を果たすが、全国大会が米騒動の影響で中止となった。
　そして迎えた第５回大会は小倉中が圧倒的な強さで九州大会を勝ち抜き初優勝する。エースは有田富士夫。カーブを武器にしていた。卒業後は早稲田大学に進み、渡米チームのメンバーにも選ばれている。

【１回戦】
　長岡中（新潟）と対戦。３回に今富四球、井上安打のあと、重盗を決めて無死二、三塁から村上の投前犠打が失策を誘いまず１点。二死後、池田の安打で２者が還りこの回３点を先取した。５回には連続四球で得た好機に、有田の中前打に敵失が絡み、２者が生還。続く池田もタイムリーを放ってさらに３点を加えた。守っては有田投手が１０奪三振の力投。４回に１点を失ったが、４安打に抑えて福岡県勢初の全国大会勝利をあげた。

　【準々決勝】
　鳥取一中戦は当時の大会記録となる延長１５回まで試合がもつれた。試合開始が１３時５５分、終了が１７時３５分、３時間半を超える熱戦となった。１点を追う小倉中は５回、藤崎が敵失で一気に二塁に進塁。今富が送り、村上の犠打で同点に追いついた。８回には四球で出塁した井上を村上が送った後、花田の打球を投手が失策、その間に井上が生還して逆転したが、その裏、スクイズで同点とされ試合は延長戦へ入った。１４回には連続失策ピンチを迎え、続く二ゴロで二塁封殺を狙った送球が逸れる間に二塁走者が一気に本塁に突入、サヨナラ負けかと思われたが、センター・村上の好返球で本塁タッチアウト、危機を脱した。
　そして１５回二死後、井上がヒットで出て盗塁、村上がタイムリーを放ち勝ち越し。さらに花田も続き、この回２点をあげて勝利を決めた。小倉中は９失策と守備が乱れ、有田投手も１０四死球を許したが、鳥取中の拙攻もあって接戦を制した。

【準決勝】
　長野師範との一戦。３回無死から死球と安打、犠打で一死二、三塁からスクイズで先制を許す。打線はようやく７回に井上が初安打を放つが、バント失敗などもあって得点が奪えず。失策、バントの巧劣が試合の行方を決めることが多かったこの時代、長野師範の堅い守りと相手の山崎投手の無四球の好投の前に好機らしい好機も作れずに１点に泣いた。

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