2018夏の大会を展望する②~南福岡




 2010(平成22)年の西日本短大附を最後に夏の甲子園から遠ざかっている南部勢から、8年ぶりに代表校を輩出する南福岡大会は、北福岡大会以上に混戦となりそうです。予想されるシード校は、昨秋準優勝の筑陽学園、ベスト4の東福岡、ベスト8の福工大城東、今春ベスト8の久留米商福岡九産大九州、春の筑後地区大会優勝の西日本短大附、同じく福岡地区大会優勝の福岡大大濠の8校。福岡地区では、昨秋ベスト8の春日、今春ベスト8の九産大九産、福岡地区大会準優勝の沖学園、筑後地区では祐誠、大牟田などがシード漏れとなりそうです。各校の実力が拮抗しており、どこが優勝してもおかしくない状況です。

校名(所属地区) 新人地区大会 昨秋 今春 春の地区大会
東福岡(福岡) ベスト4 ベスト4 ベスト16 ベスト4
筑陽学園(福岡) ベスト8 準優勝 ベスト16 3回戦敗退
久留米商(筑後) 優勝 ベスト16 ベスト8 2回戦敗退
福岡(福岡) ベスト8 ベスト16 ベスト8 3回戦敗退
福工大城東(福岡) 準優勝 ベスト8 ベスト16 2回戦敗退
西日本短大附(筑後) ベスト4 3回戦敗退 3回戦敗退 優勝
福岡大大濠(福岡) 3回戦敗退 3回戦敗退 3回戦敗退 優勝
九産大九州(福岡) ベスト8 2回戦敗退 ベスト8 ベスト4
九産大九産(福岡) 2回戦敗退 4回戦敗退 ベスト8 2回戦敗退
春日(福岡) 優勝 ベスト8 2回戦敗退 ベスト8
沖学園(福岡) 3回戦敗退 4回戦敗退 2回戦敗退 準優勝
香椎(福岡) 2回戦敗退 4回戦敗退 ベスト16 1回戦敗退

 混戦ながら優勝争いの中心となってくるのは東福岡、筑陽学園の両校でしょう。
 東福岡は昨秋ベスト4、今春は県大会目前で福岡に足元をすくわれましたが、5月の福岡地区大会でもベスト4と安定した成績を残しています。昨秋は6試合で53得点と打ちまくった打線は、春先一時期調子を落としていたようですが、福岡地区大会で九産大九産、筑陽学園、春日、福岡大大濠と強豪相手に4試合で38得点と再び上り調子に。俊足巧打の木村以下、下位まで切れ目のない打線で、どこからでも得点できるのが強みです。一発の魅力というより、外野の間を抜く鋭い当たりを打つ中距離打者が揃っている印象です。投手陣は140キロ前後の直球とキレのあるスライダーを武器にする金光に、ダイナミックなフォームから回転のよい直球を投げ込む平本が加わり、厚みを増しています。1年前に就任した下野監督のもと、11年ぶりの甲子園を狙います。

 昨秋準優勝の筑陽学園も、昨秋は7試合で50得点とよく打ちました。準決勝の東福岡戦では4本塁打を放つなど長打力もあります。ただ、基本は大畑、米井の両左腕を中心とした守りのチーム。大畑は長身から投げ下ろす140キロ前後の直球と、落差あるスライダーが武器。米井は球速こそ120キロ台ながらサイドハンドからのスライダーを右打者の膝元に集め、安定感があります。これに右腕の西を加えた投手陣は、南部屈指と言えそうです。春はパート決勝で九産大九州に敗れ、春の地区大会も東福岡に打ち負けるなど今年は結果を出せていませんが、15年ぶりの甲子園を射程に捕らえます。

 この2校が総合力でわずかに抜けている印象で、他校は横一線となって2校を追います
 西日本短大附は昨秋、今春とも3回戦で敗れるなど、新チームになってから厳しい戦いが続いていましたが、5月の筑後地区大会で優勝。5試合のうち4試合で2桁得点を記録するなど高い攻撃力を秘めます。俊足巧打の荻本、近藤、長打力のある神宮、中村と上位打線は強力。盗塁も積極的に仕掛けるなど足を使った攻撃も見せます。ただ、昨秋の沖学園戦は13失点、今春の福岡工戦も9失点で敗れたように、8年ぶりの甲子園には投手陣の踏ん張りが欠かせません。軟投派の浅川、制球力のある江崎、大型右腕の大関、サイドハンドの佐藤などの中から、軸となる投手が出てくると一気に頂点まで駆け上がる力は持っています。
 九産大九州は今春ベスト8、春の福岡地区大会でもベスト4と安定した戦いぶりを見せています。エース村上は、130キロ中盤の直球に縦に落ちる変化球を絡め、四球も少なく安定しています。春の大会では筑陽学園を3-1で破るなど、競り合いで力を発揮します。小中を中心とする打線が、どこまで村上を援護できるかがポイントになりそう。
 昨夏の準優勝校・福岡大大濠は、秋は3回戦で福岡工に0-7と完敗、春も3回戦で筑紫台に0-4で完封負け。投打とも精彩を欠いてきましたが、激戦の福岡地区大会を制し優勝争いに浮上してきました。前チームでは外野手兼投手として甲子園のマウンドも経験したエース西は、直球でコーナーを突き、スライダーやカーブを駆使して打たせて取る投球を見せます。制球力の良い濵地、2年生の星野なども含めた継投での戦いとなりそう。打線は稲本、樺嶋と甲子園を経験した2人に、小柄ながらパンチ力のある星子が得点源。たた、投打とも昨年よりひと回りスケールダウンした印象は否めません。

 久留米商も前チームの主力である神代、平田、護山の中軸に打力があります。春の大会では3試合連続2桁得点を上げるなど、強打でベスト8に進出しました。右サイドハンドの古賀を軸に、牛嶋、小屋松の2年生投手への継投を見せる投手陣をどこまで援護できるか。福岡春の大会パート決勝での東福岡からの勝利と、招待試合での東海大相模戦の善戦が光ります。軟投派左腕・轡水の緩急をつけた絶妙の投球と、内外野の堅守で夏も躍進を狙います。昨秋ベスト8の福工大城東は、春はパート決勝で九産大九産に打ち負け、福岡地区大会は初戦敗退と今年になって結果を残せていません。ただ、回転のよい直球を投げ込む右腕・中村を中心によく鍛えられ、突出した選手はいないながらまとまりのあるチーム。ここ5年で4度、県大会に出場するなど夏に強く、巻き返してくるでしょう。

 ノーシードにも力のあるチームが揃います。福岡地区大会準優勝の沖学園は、エース石橋が安定しています。長身から投げ下ろす直球に威力があり、制球力も抜群。打線も派手さはないももの力があり、シード校と遜色のない力があります。昨夏初めて県大会に出場した春日は、昨秋もベスト8と確実に力をつけています。春は久留米商に初戦で打ち負けましたが、昨夏から4番に座る元田を中心に得点力があります。春以降、失点が多くなっている投手陣の出来が昨夏に続く上位進出のカギとなりそうです。
 このほかにも、春ベスト8で選手層の厚い九産大九産、大型左腕・榊原を擁する香椎、春の大会で沖学園を破った筑紫台、春の筑後地区大会で久留米商、祐誠を連破し古豪復活を狙う柳川、昨秋3回戦で福岡大大濠を下した福岡工など伏兵も多士済々で、いずれも上位をうかがう力を秘めています。


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