2018夏の大会を展望する①~北福岡




 第100回全国高校野球選手権福岡大会の開幕(7月7日・土)まで、いよいよ1カ月を切りました。今年は北福岡、南福岡に分かれて開催され、福岡から2校が出場する節目の大会。抽選日(22日・金)を前に北福岡、南福岡大会について大まかな展望をしてみます。まずは北福岡から。

 例年通りの選考方法だと仮定し、各大会のポイントを総合すると今年のシード校は、昨秋優勝でセンバツ出場校の東筑、今春優勝の小倉、春の九州大会出場の八幡東筑紫学園九州国際大付、5月の北九州地区大会優勝の折尾愛真、同じく福岡中央地区大会優勝の飯塚、そして福岡中央地区大会ベスト4の光陵、となりそうです。ただ、不祥事で春の九州大会を辞退した小倉がシードから外れるようだと、自由ケ丘が浮上してきそうです。優勝争いは東筑と春の九州大会を制した九州国際大付を軸に、小倉、八幡、飯塚などが追う展開が予想されます。

新人地区大会 昨秋 今春 春の地区大会
東筑 (選手権出場) 優勝 (センバツ出場) ベスト4
小倉 ベスト4 ベスト4 優勝
八幡 1回戦敗退 3回戦敗退 準優勝 2回戦敗退
九州国際大付 優勝 ベスト8 4位 準優勝
東筑紫学園 2回戦敗退 ベスト8 3位 2回戦敗退
折尾愛真 2回戦敗退 3回戦敗退 ベスト16 優勝
飯塚 優勝 4回戦敗退 3回戦敗退 優勝
光陵 ベスト4 4回戦敗退 ベスト16 ベスト4
自由ケ丘 ベスト8 2回戦敗退 ベスト16 ベスト4

 3季連続出場に挑む東筑は二度の甲子園を経験したエース石田に、140キロ近い直球を武器に完投能力のある右腕・林が加わり、投手陣に厚みを増しています。もともと得点力の高い打線は、センバツ後はショート松山、サード清水などが先発メンバーに名を連ね、代打の切り札的な存在だった江藤が4番に座るなど、定位置争いは激しくなっています。このチーム内競争が戦力の底上げにつながっている印象で、センバツ出場校に見られがちな調子の下降も見られません。3季連続出場となれば昭和29~30年にかけて達成した小倉以来の快挙となります。
 2年ぶりの夏の甲子園を狙う九州国際大付は、秋こそ県大会で東福岡の強打に屈しましたが下村、山本など投手陣が整備されてきた今春は圧倒的な力で勝ち上がりました。準決勝では小倉の粘りの前に苦杯を喫したものの、九州大会では下村、山本が2試合ずつ完投して頂点に立ちました。打線は1番中村、中軸の甲斐、戸高、葛城など一発のある打者が多く、ひと振りで試合を動かす力を持っています。春の大会で嘉穂、自由ケ丘、九産大九州を相手に3試合連続2桁得点を挙げるなど破壊力ある打線に、下村、山本のほか経験豊かな秋元、左腕の外村なども控える投手陣の強化で、東筑と並ぶ優勝候補に名乗りを上げています。

 戦力的には、この2校が頭ひとつリードしている感じですが、小倉、八幡、飯塚なども逆転を狙います。
 小倉は昨秋ベスト4。準決勝では東筑と延長11回の熱戦を演じ、東筑不在の春の大会は九州国際大付、八幡などを破って優勝。140キロ台半ばの直球が魅力のエース河浦は制球もよく、安定感があります。右サイドハンドの太田も春の大会準決勝で九州国際大付を相手に4回まで無得点と好投しました。打線は東筑や九州国際大付に比べると長打力こそありませんが、センター中心に打ち返し、しぶとく次打者につないでいきます。土壇場で二度追いついた春の大会準決勝・九州国際大付戦は、その粘りを象徴する試合でした。大黒柱に河浦を据え、例年以上に粘り強さを持つチームで62年ぶりの夏を狙える位置につけています。
 その小倉に春は決勝で敗れたもの、九州大会でセンバツ出場校・富島(宮崎)を破った八幡は打力のあるチーム。前チームから不動の1・2番コンビの山上、江頭は高い出塁率を誇ります。4番須本は春の大会パート決勝の光陵戦で特大の2発、招待試合の広陵戦でも本塁打を放つなど大会屈指のスラッガー。中軸だけでなく山本、柴崎と6、7番にも一発を打つ力があり、好機にも犠打を使わず畳みかける攻撃は迫力があります。右サイドハンドのエース岸本は緩急をつけたテンポの良い投球が持ち味。軟投派左腕の三橋もカーブを使ってかわす投球を見せますが、頂点を目指すには打線の奮起が不可欠となりそうです。

 東筑紫学園は秋、春とも県大会に進出。エースの左腕小堤は、140キロ前後のキレのある直球にスライダーで三振の取れる投手ですが、課題は制球力。四球から崩れる懸念がつきまといます。ただ、失点を重ねても挽回する打線のたくましさがあり、勝負強い4番芝を中心に、しぶとく食らいついてきます。得点力はあるだけに、小堤の出来が大きく結果を左右しそうです。
 飯塚は、秋は4回戦で東筑紫学園に競り負け、春は3回戦で八幡に打ち負けました。大塚、野崎、大坪など昨夏ベスト16の主力が残る打線、長身の右腕長坂をはじめ複数の投手を擁する投手陣と、総合力は高いだけに勝負強さが出てくれば6年ぶりの甲子園も見えてきそうです。
 強豪ひしめく北九州地区大会を制した折尾愛真は左の松井、右の野元と一発のある打者を中心に打力のあるチーム。春の大会でも4試合で37得点をあげてパート決勝まで勝ち上がりました。投手陣は左の小野を中心とした継投となりそうですが、どこまで失点を抑えることができるかがカギとなりそうです。光陵は威力ある直球がある右腕・土井を中心に安定感ある戦いを見せます。自由ケ丘は突出した選手はいませんが、まとまりのあるチーム。田中、大庭の2年生投手、左腕麻生などの継投に勝機を見出したいところです。

 ノーシードで台風の目になりそうなのが真颯館。センスある左の好打者・櫻田を中心に打力があり、昨秋は小倉・河浦から12安打で7点を奪っています。投手陣の出来次第で、上位進出を狙える力はありそうです。昨春センバツ出場の東海大福岡は秋春とも不本意な成績に終わりましたが、個々の能力の高さを感じさせる選手が多く、今年も侮れません。このほかでは筑豊勢の鞍手、鞍手竜徳、嘉穂、希望が丘、北九州勢では小倉工、常磐、星琳なども上位をうかがいます。


Pocket
LINEで送る

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.


*