【観戦記】東筑6-0長崎総科大付(春季九州大会1回戦)




 東筑が打っては12安打、投げては先発・石田が5安打完封の力投で長崎総科大付に快勝した。
 東筑は初回、先頭の阿部が四球で出塁すると、田中の三前バントが内野安打となり、和久田が送って一死二、三塁。4番江藤が三遊間を破って2点を先制した。
 2回以降も毎回のように走者を出しながら追加点が奪えなかったが、6回一死後、8番松山が投手強襲安打で出塁、清水の三前バントが内野安打となり、阿部四球で一死満塁。続く2番田中がしぶとく左前に落として2者が生還した。さらに和久田三振の後、江藤が右翼線二塁打を放って1点を加えると、なおも二死二、三塁から藤原のショートへの強襲安打で田中が還り、この回4点を奪って突き放した。
 長崎総科大付は初回、先頭の西本が中前打。屋嘉比の投前バントは二塁封殺されたが二死後、4番西村の右前打で二死一、三塁と先制機を作ったが、続く近藤は二ゴロで逸機。2回以降は東筑の石田の前に3安打1四球に抑えられ、二塁を踏むことができなかった。

▼1回戦(22日・久留米)
長崎総大付 000 000 000=0
東   筑 200 004 00x=6

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 東筑が投攻守と力の差を見せて、まずは初戦を突破した。
 先発の石田は初回こそ2本のヒットを許したが、このピンチを凌ぐと、2回以降は130キロ中盤の直球にツーシーム、スライダーを駆使して、的を絞らせなかった。最速137キロを計測した直球に力強さがあり、追い込んでからのスライダーも効果的に決まった。特に2~4回にかけては、スライダーを中心に5つの空振り三振を奪った。与えた四死球もわずかに一つ。制球を乱す場面もなく、危なげない投球を見せた。
 打線はセンバツの聖光学院戦から3人の選手を変えてきたが、その3人がいずれも結果を出した。4番江藤は初回と6回の好機で、高めの甘い直球を逃さずタイムリーを放つ勝負強さを見せて3打点の活躍。9番清水も猛打賞に二盗も決め、8番松山も強襲安打を放ち、守備でもライナーを好捕してアピールした。選手層が厚くなり、チーム力が底上げされているのを感じる。2番田中も4安打、3番和久田もあわや本塁打かと思わせるセンター後方への二塁打を放ち、各打者ともよくバットが振れていた。
 小技も冴えた。初回は田中の三塁前への絶妙な送りバントが内野安打となり、6回は清水がセーフティ気味に三塁前に転がしてチャンスを広げた。6回はあと1点でコールド成立という場面の二死一、三塁で、三塁に代走の斎藤を置いて重盗を仕掛ける。結果的に失敗に終わったが、普段はあまり機動力を使わないだけに、こうした攻めが選択肢に入ってくると得点の幅も広がりそうだ。

 センバツで乱れた守備も、この日は好守を連発した。まず初回。二死一、三塁で近藤の当たりは、セカンドキャンパス付近への高いバウンドのゴロ。内野安打かと思われたが、セカンド田中が捕球してからの素早いジャンピングスローで先制点を阻んだ。6回は屋嘉比のセンターの左へ切れていく打球を、阿部がグラブを伸ばして倒れ込みながらのダイレクトキャッチで長打を防いだ。8回は再び田中。センター前へのフラフラと上がった打球を背走して好捕。田中はショートに回った8回も、三塁後方のファールフライを俊足を飛ばしてアウトにしており、守備範囲の広さが目に留まった。
 課題を挙げるとすれば詰めの甘さか。初回に2点を先制したあと、2回二死一、二塁、3回無死二、三塁、4回一死二塁と一本が出なかった。特に3回は田中の二塁打の後、和久田のセンター後方の大きな当たりで田中がぎりぎりまで自重、難しい判断だったが結果的に二塁打2本で点が奪えなかった。あと1点でコールド成立という7回も一死二塁と攻め立てながら、決定打を欠いた。ここぞという時の1点をどう取っていくか。全国の壁を破るためには、この辺りがポイントとなりそうだ。

 長崎総大付は序盤から中盤にかけて走者を出しながら、チャンスを広げられなかった。初回は先頭の西本がヒットで出塁しながら、投手前への送りバントが強すぎて二塁封殺。一死二塁のピンチを切り抜けた直後の5回も8番篠原が四球で出て流れを掴みかけたが、9番松尾が送るそぶりも見せず強攻に出て、ニゴロ併殺。回はまだ中盤で2点差、次が初回にヒットを放っている1番西本だけに、まずは1点を取りにくるかと思われたが、意表を突いた策も裏目に出た。7回以降は走者を出すこともできず、石田の投球術に翻弄された。
 先発の松尾は長身から、130キロ超の直球と大きなカーブの緩急を生かした投球を見せ、走者を出しながら5回まで2失点と踏ん張った。ただ、江藤に許した2本のタイムリーはいずれも直球が高めに浮いた。この2球の失投が悔やまれる。全体的に粘り強く投げたが、6回は内野安打2本に四球が絡み、田中には態勢を崩しながらレフト前に落とされて、力尽きた。


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