【観戦記】九州国際大付12-0嘉穂(春季大会4回戦)




 序盤打ちあぐんだ嘉穂先発・遠座投手を、中盤に一気に攻略した九州国際大付が、6回コールドで快勝した。
 3回二死まで無安打に抑えられていた九州国際大付は、1番中村が初安打を右翼席に運んで先制。続く4回は、3番甲斐が右翼線二塁打を放ち、戸高の右前打でまず1点。5番葛城の左翼線安打で戸高が三塁を陥れ(葛城も送球間に二進)、無死二、三塁から安永の右前打で1点を追加した。続く増木の三塁後方への飛球をサードとショートが譲り合うヒットとなり無死満塁。8番山本の時に捕逸で葛城が生還し、山本三振のあと、中川の右犠飛、中村のセンター左を破る三塁打で1点ずつ加え、この回5点を奪ってリードを広げた。
 5回は一死後、戸高が四球、葛城は深く守っていたセンターの前に落とし、打者安永の時に二走戸高が三盗を決めて一死一、三塁。安永は遊飛に倒れたが、増木が詰まりながら中前に落として1点を加えた。6回には一死から中村四球、柄谷の三塁前バントが内野安打となり、甲斐の右前打で中村が生還。なお一死一、二塁で登板した嘉穂の2番手・井筒から、戸高が右中間二塁打を放ち2点を追加した。さらに葛城の中前打で一、三塁と攻め立て、打者安永の時に暴投で戸高が生還。安永の右飛で三進した葛城も増木の中前打でホームを踏み、この回5点を挙げて勝負を決めた。

 嘉穂は2回一死後、二ゴロ失で出た5番前田輝を戸高が送り先制機を迎えたが、和田が遊飛。4回は一死から3番宮田がチーム初安打となる右翼線二塁打を放ったが、後続が続かなかった。九州国際大付の先発・山本の伸びのある直球、変化球の前に5回までこの2人の走者しか出せず、6回も2番手・外村に三者凡退に抑えられ、反撃のきっかけも掴めなかった。

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 終わってみれば14安打12得点と九州国際大付の完勝だったが、嘉穂の左腕・遠座も序盤は直球、カーブで丁寧にコーナーを突き、3回まで中村の本塁打1本に抑える好投を見せた。ただ、九州国際大付打線も初回から芯で捕らえており、制球が甘くなった4回に一気に攻略した。
 まずこの回先頭の3番甲斐が高く入ったカーブを上から叩きつけて右翼線に運ぶと、戸高は内角の厳しい球をおっつけて右前へ。安永は外角低めの難しい球をセンター左に落とし、最後は、前の打席で本塁打を放った中村がセンター左を深々と破って6点目を挙げて大勢が決した。
 3回の中村の一発は、高々と舞い上がり右翼席に飛び込む当たり。戸高も6回に右翼フェンス上段に当たる二塁打、甲斐や安永も右翼フェンス間際に達する大きな右飛を飛ばしており、少しでも甘く入るとスタンドに運ぶ力を持っていることを示した。

 九州国際大付の先発は背番号10の右腕・山本。小さめのテイクバックから伸びのある直球に、スライダー、カーブを交えながらの投球を見せた。嘉穂の打者は直球に詰まる場面が多く、見た目以上に直球には威力がありそう。制球を乱す場面もなく、無四球でテンポよく5回を投げ切った。2番手の左腕・外村は大きなカーブがある。貴重な左腕として投手陣を支える一人となりそう。

 嘉穂の遠座も立ち上がりからコーナーを丹念に突き、いい当たりをされながらも3回二死までヒットを許さなかった。だが4回、九州国際大付の各打者に厳しく攻めた球をうまくさばかれ、甘く入ったところを痛打された。
 3回戦で星琳に打ち勝った打線も、九州国際大付の投手陣の前には沈黙を余儀なくされた。県上位に勝ち上がるには、投打とも、もうワンランクの底上げが求められそう。


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