ベンチ入り選手のうち小倉が18人、九国大付が14人が出場した総力戦は、土壇場で二度追いついた小倉が延長11回サヨナラ勝ちをおさめた。
 同点で迎えた11回裏、小倉は1番樵田が中前打で出ると、渡邉の三塁前送りバントの一塁送球が逸れ無死一、二塁。石橋の高いバウンドの三ゴロが内野安打となり満塁とすると、続く村上のセカンドへの当たりが失策を誘い、樵田がサヨナラのホームを踏んだ。

 先制したのも小倉。4回先頭の渡邉が四球を選ぶとヒットエンド・ランをかけた石橋の打球がセカンド左を破り(記録は失策)一、二塁。本田が送り、5番徳永の左犠飛で先制した。2点を追う6回は樵田が二ゴロ失で出ると、渡邉の一ゴロで二塁封殺を狙った送球が走者に当たり一、二塁。石橋が送った後、本田の三ゴロの間に1点を返した。7回は6番原が左翼線二塁打で出ると、四戸の捕手前のバントが野選となり無死一、三塁とし、中山の遊ゴロ併殺打の間に原が生還して追いついた。
 2点を追う9回は四戸の中前打、中山の右前打で無死一、三塁とし、9番黒田の二ゴロ併殺打の間にまず1点。二死走者なしから樵田が四球と捕逸で二進し、渡邉が詰まりながらセンター前に同点打を放った。10回は一死から徳永が左翼線二塁打で出ると、嶋田の中前打で三たび追いつき、11回のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。

 小倉先発・太田の前に、2~4回と得点圏に走者を送りながら得点できなかった九国大付は5回一死後、中村が死球で出るとけん制悪送球で三進。田口四球のあと甲斐が右前打を放って追いつくと、なお一、三塁から戸高の左犠飛で逆転した。6回は2番手黒田を攻め、一死から四球で出た秋元を中川の右中間三塁打で還して2点差とした。
 同点で迎えた9回は一死から甲斐の右前打と戸高の投ゴロ(エンドラン)で二死二塁とし、5番葛城が左越えに2点本塁打を放ってリードを2点に広げた。追いつかれた直後の10回も3番手河浦から7番北が左前打を放ち、山本が送ったあと、中川も左前打で一死一、三塁とし中村の右犠飛で勝ち越すなど、終始試合を優位に進めながら、投手陣がリードを守り切れなかった。

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 小倉はチームの大黒柱・河浦を試合の大半でベンチに置きながら、九国大付に勝利した。
 先発は背番号11、右サイドハンドの軟投派・太田。120キロに届くかどうかという直球に、100キロ台のカーブで九国打線に挑んだ。恐れずに内角を厳しく突いたことで外角へのカーブが生き、九国大付の打者は待ちきれずに飛球を打ち上げ、あるいは内角直球に詰まらされるシーンが目についた。最後は四死球で出した走者を中軸に還されたが、5回2失点であれば上出来であろう。競り合いの展開に持ち込めた太田の投球が、まず勝因に挙げられる。
 小倉ベンチは2失点の太田をスパッと諦め、6回から黒田を投入。太田と同じ右サイドハンドで、120キロ後半と球威は勝るものの全体的に球が高く、6回は中川に三塁打、9回は葛城に一発を浴びて失点した。9回同点に追いつくと、ついに河浦がマウンドへ。小倉ベンチは、この日は登板させる予定はなかったのかもしれないが、勝負に出るなら河浦しかいない。直球は140キロ超を連発したが、河浦の登板を手ぐすねを引いて待っていた感のある九国大付に2安打を許して犠飛で勝ち越されてしまう。

 だが、この嫌な流れを打線が跳ね返した。序盤は九国大付の先発・秋元の落差あるスライダーに苦しみながらも、しぶとく得点を挙げた。4回は四球と敵失の走者を二つの犠打で1点。6回も二つの敵失で出た走者を犠打で送り、内野ゴロの間に迎え入れるなどノーヒットで2点をあげた。7回も二塁打から内野ゴロで追いつき、7回まで3安打に抑えられながら3点を奪った。
 9回は連打と併殺打の間に1点を返したものの、二死走者なし。ここで樵田がフルカウントから2球ファールで粘った末に、四球を選ぶと捕逸で二塁へ進み、渡邉の完全に詰まった当たりがセカンドキャンパス後方に落ち、追いつくしぶとさを見せた。快心のタイムリーや本塁打で得点を挙げた九国大付とは対照的に泥臭い形での得点ではあったが、昨秋も見せた粘り強さが今年の小倉の特長でもある。
 10回は河浦が勝ち越し点を許し完全に流れは九国大付だったが、一死からの長短打であっという間に試合を振り出しに戻す。こうなると流れは小倉。河浦が11回をわずか6球で片付けると、その裏は送りバントが悪送球を呼び、高いバウンドが幸いした内野安打も生まれ、最後は目まぐるしい選手交代の中で守備に就いていた1年生・村上の強いゴロをセカンドがはじいて、熱戦に終止符を打った。ファーストストライクから積極的に振っていく姿勢と、大振りせずにセンターを中心とした逆らわない打撃が同点劇につながった。

 九国大付は8回まで4失策もあったが9回の葛城の2点本塁打で、これまでの嫌な流れを払拭したはずだった。だが9回、バッテリーが勝負を急ぎすぎたか。先頭の四戸には初球を狙われ、続く中山は0-2と追い込みながら3球目を右前に運ばれる。1点を失ったものの併殺で走者は消え、楽になったはずだったが、樵田に粘られた末に歩かせ、低めの球を捕手がはじく間に二進を許すと、渡邉を詰まらせながらもセンター前に運ばれてリードを守り切れなかった。
 再びリードした10回は流れを変えようと、途中出場でレフトを守っていた背番号5の菊田をマウンドへ。昨夏は内野手として出場していた選手だが、130キロ台中盤の直球にスライダーの切れも悪くない。だが少し球を揃えすぎた印象で、積極的に振っていく小倉の打者に打ち返されてしまった。
 今年の夏の北福岡大会でも、東筑と共に優勝を争うと見られる両校。河浦の先発回避は、そのあたりも見越しての判断だったのかもしれない。来るべき決戦を前に、小倉としては大きな自信をつかんだ1勝となり、九国大付としては嫌なイメージが残る1敗となった。