【観戦記】東海大福岡10-7戸畑(春季大会3回戦)




 両校合わせて26安打18四死球が乱れ飛ぶ大味な試合となったが、東海大福岡が中盤のリードを守り切り、3時間に及んだ試合を制した。
 東海大福岡は初回、中前打で出た平尾を松永が送ると星野が左前適時打を放ち、わずか8球で先制
。2回は7番高橋が右中間三塁打を放ち一死後、森田の左前打で生還して追いついた。4回は一死から森田が中前打で出ると捕逸で二進、平尾中飛のあと松永の中前打で再び追いついた。5回は6番江口が左翼線二塁打で出塁し、二死後、森田の左越え二塁打と平尾の右前打で2点を奪って勝ち越した。
 続く6回も戸畑の2番手・福家を攻め、右翼線二塁打で出た星野を深川が送り、5番梶原の右前打でまず1点。二死後、高橋四球で一、二塁とし、大久保の左前打で2点目。森田死球で二死満塁から平尾の中前打で2者が還ってこの回4点を追加して突き放した。7回にも一死から梶原が左越え二塁打、江口中前打と二盗で二、三塁とし、高橋の左犠飛で1点を加えた。

 戸畑は初回、中前打で出た重松を吉中が送り、武田死球、恒成三振のあと、5番中野の左前打ですぐに追いつき、続く沖田の右前打で逆転。同点とされた3回には二死から恒成の遊内野安打、中野四球で一、二塁とし、沖田の左前打で勝ち越した。7点を追う7回は8番福家の左越え二塁打、森、重松が連続四球で無死満塁。ここで代打・磯崎が右翼線に走者一掃の二塁打を放ってコールド負けを阻止。石橋潤が送り一死三塁から、恒成の左前打で磯崎が生還してこの回4点を返した。
 8回も先頭の福家が中前打で出たが盗塁失敗。その後も森の遊内野安打と重松四球で再びチャンスを作ったが、磯崎が三振、フルカウントでスタートを切っていた走者も三塁で刺され併殺。9回も2つの四球で二死一、二塁と迫ったが、あと一本が出ずに力尽きた。
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 両校投手陣がピリッとせず、両校の走者が毎回のように塁上を賑わす長い試合となった。
 東海大福岡の先発・大久保は直球とスライダーでコーナーを突く投球を見せたが、初回からボールが先行。特にスライダーがいま一つ制球できず3回まで5安打3四死球で3失点。それでも4・5回は三者凡退に抑え立ち直ったかに見えたが、打線の援護を得て6点差で迎えた直後の6回、先頭打者を四球で歩かせるなど不安定な内容。7回もコールド目前だったが、先頭打者に二塁打を浴び、連続四球で埋めた走者をタイムリーで一掃されるなど、課題を残したマウンドとなった。
 2番手の左腕・重田も右打者の内角を直球、スライダーでよく攻めていたが、微妙な制球に苦しみ3回を投げて3安打4四死球。戸畑の猛追を辛うじてしのいだ。2人ともまだ1年生、今後の成長が期待される。
 打線は上位から下位まで万遍なくヒットが飛び出し16安打。中でも9番・森田が3安打2打点、1番・平尾が3安打3打点とよく振れており、下位から上位にうまくつながったことで攻撃が途切れなかった。

 戸畑も投手陣に課題を残した。背番号10の先発・麻生は球威はないものの、肘をしっかりと上げてからコーナーを突こうとする苦心の跡は見られた。それでも少しでも甘く入ると痛打され、5回途中で10安打を浴びて降板。3四死球を与えたが狙ったところから少しずつ外れた感じで、球威がもう少しついてくると制球力が生きてきそう。2番手の右サイドハンド・福家は全体的に甘い球が目につき、制球も乱れて打者10人に4安打3四死球。岡本は大きなフォームからのカーブがあり、登板した両校投手の中で唯一、無四死球だった。磯崎は2つの死球を与えたが2回を投げて3奪三振。外角低めの直球で三振が取れる。
 打線は10安打。6番沖田が2安打2打点と勝負強さを見せた。福家も投手としては精彩を欠いたが、打っては二塁打を含む2安打で気を吐いた。守備ではセンター・重松の動きの良さが目に留まった。再三、中堅方面に鋭い打球が飛んだが、判断よくスタートを切ってヒット性の当たりを何度も好捕した。
 打線には力があるだけに、軸になる投手が出てくれば上位を狙えそうだ。


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