2010年の西日本短大附以来、夏の甲子園から遠ざかっている南部勢ですが、来年夏は「南福岡」としての出場枠が確保されています。ただ、昨年の福岡大大濠のような抜きん出たチームは見当たらず混戦模様です。
 秋季大会では、北部が東筑・石田、小倉・河浦など好投手を擁するチームが上位に進出したのに対し、南部勢は筑陽学園、東福岡といった打力のあるチームが上位に顔を出しました。現段階ではこの2校が頭一つリードしており、福工大城東、春日、九産大九州、福岡大大濠、久留米商、大牟田などが一団となって追っている状況。どこが夏を制してもおかしくないほど、実力が拮抗しています。

筑陽学園(新人大会=福岡地区ベスト8/秋季大会=準優勝)
 秋季大会は決勝で東筑に大敗しましたが、決勝までの7試合で10本塁打と長打力があります。先頭打者の江原佑哉内野手(1年=右)は初球からでも積極的に振っていく強打のトップバッター。3番に座る石橋雄介外野手(2年=右)は確実性があり、左右に大きな当たりを打てる中距離打者として、それぞれ印象に残りました。

 観戦した4試合(2回戦、準々決勝、準決勝、決勝)で16打数9安打だった野田優人内野手(1年=右)のほか、石橋選手、後藤礼央外野手(2年=左)が打率4割超え。中村航晟内野手(2年=左)も好調で、いずれの選手も本塁打を放っており、どこからでも一発が飛び出します。打線に切れ目がなく、その破壊力は県内でも屈指と言えるでしょう。夏にベスト8に勝ち上がった前チームでレギュラーだった選手がいない中での準優勝ということで、選手層の厚さを感じます。
 投手陣は2人の左腕がマウンドを守ります。エース・大畑功士郎投手(2年=左)は最速141キロの伸びのある直球に落差あるスライダーが武器。いずれも、三振を奪る切れ味があります。ただ、準決勝、決勝では制球に苦しみ、甘く入った球を痛打されて途中降板しました。目を見張るような回転のよい直球がコーナーにビシッと決まることもあるだけに、細かなコントロールの精度が上がると、さらに上を目指せそうです。
 米井武瑠投手(2年=左)は左のサイドハンド。昨年秋は主戦投手としてベスト4進出を支えました。直球は130キロに届くかどうかですが、右打者の膝元に落ちていく、左打者にとっては外に逃げていくスライダーが秀逸です。制球も良く、低めを丁寧に突く投球は安定感があります。今年はリリーフでの登板が中心になっていますが、その安定感で相手の追撃を絶ってきました。
 打力があるチームだけに、夏からマウンドを踏んでいる右腕の西雄大投手(1年)も含めた投手陣の踏ん張りが、大きなカギとなってきそうです。

東福岡(新人大会=福岡地区ベスト4/秋季大会=ベスト4)
 ここ数年の東福岡は、堅実な守備と機動力を使ったスキのない攻撃で競り勝つイメージが強かったのですが、今年のチームは打線に迫力があります。秋季大会では準決勝までの6試合で53得点と、得点では筑陽学園を上回ります。大牟田や福岡第一、九州国際大付、筑陽学園などの強豪私立との対戦も含まれるだけに、その価値も大きなものがあります。
 突出した強打者や特別体の大きな選手がいるわけではありませんが、各打者が万遍なくヒットを重ねていきます。2番の村上喬一朗捕手(2年=右)はその典型ともいえる選手。捕手というポジションながら小柄な選手ですが、大牟田戦で2本塁打を放つなどパワー溢れる打撃を見せます。選んだ四球の数も多く、観戦した3試合(2回戦、準々決勝、準決勝)では16回打席に立ったうち、11回出塁するなど出塁率の高さも目を引きます。3番の中島大耀内野手(2年=右)はセンターから右方向に大きな打球が打てる打者。7番に座る立花優作内野手(2年=左)は3試合で12打数7安打、下位打線の軸となっています。
 投手陣は金光雄紀投手(2年=右)が絶対的エースです。がっしりとした体格から130キロ台後半、最速140キロの力のある直球にスライダー、カーブを交えてきます。丁寧にコーナーを突くというよりも力でグイグイ通してくるタイプで、球威ある内角直球で詰まらせたり、高めのボール球を振らせて三振を奪うこともある一方、高く浮いた球を捕らえられるケースも目につきました。強豪相手だったとはいえ、大牟田戦で6点、九州国際大付戦で4点、筑陽学園戦で10点を失うなど、失点の多さも気になるところ。筑陽学園戦では16安打を浴びて10点を失いながら最後までマウンドに残りましたが、2番手投手以下の育成も課題と言えそうです。