東筑は済美に打ち負け、初戦敗退~夏の甲子園




 台風の影響で順延となっていた第99回全国高校野球選手権大会が8日(火)に開幕しました。初日の第2試合に登場した福岡代表・東筑は、済美(愛媛)と対戦。1時間15分の降雨中断を挟む中での試合となりましたが4-10で敗れ、初戦で姿を消しました。福岡勢は、昨年の九州国際大付に続く初戦敗退となりました。

<試合経過>————————————————————-
▼1回戦(8日・甲子園)
東筑 000 310 000=4
済美 101 042 02x=10

 東筑の守備の乱れから得たチャンスを逃さず一発攻勢で突き放した済美が、八塚~影山の継投で逃げ切った。
 済美は初回、渡辺四球、宇都宮も死球で無死一、二塁。亀岡の遊ゴロで二塁にトスを上げたショートとセカンドのタイミングが合わず(記録はショート失策)無死満塁。八塚三振の後、吉岡の時に石田の暴投で先制点をあげた。3回は死球で出た宇都宮を亀岡が送り、一死二塁。八塚の左越え二塁打とレフトからの返球が逸れる間に宇都宮が生還した。
 2点を追う5回は一死から亀岡が左前打、八塚はライト右を破る二塁打で一死二、三塁。吉岡の左犠飛で1点を返した後、白石の遊ゴロが一塁悪送球となり二死一、三塁。ここで7番橋本が左越え本塁打を放ち、6-4と逆転した。さらに6回は二死から宇都宮四球のあと、亀岡の右中間スタンドに飛び込む本塁打で2点を追加。8回には左前打で出た9番伊藤を渡辺が送り、一死二塁。宇都宮右飛で二死三塁とし、亀岡四球で一、三塁。八塚の右前打、吉岡左前打でダメ押しの2点を加えて石田をKOした。

 東筑は4回一死後、5番盛田が左越え本塁打で1点を返すと、菊池も左越え二塁打で続き、安部の中前打で同点。さらに北村がセンター右を破る三塁打を放って逆転した。5回には一死から3番坂口が左中間二塁打、水上のショート前への小飛球が内野安打となり一、二塁。盛田三振のあと、菊池の中前打で坂口が生還してリードを2点に広げた。4-6と逆転された6回も安部が左前打、レフトが打球を後逸する間に二進。北村四球と石田犠打で一死二、三塁と同点機を作ったが、阿部三振、田中一邪飛で無得点。7回以降は、2番手の左腕・影山から4者連続三振を奪われるなど、反撃のきっかけを作れなかった。

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 石田投手は立ち上がり四球、死球でいきなりのピンチ。ただ、もともと石田投手は立ち上がりはあまりよくないタイプ。福岡大会でも3回戦、4回戦、決勝と初回に失点している。5回戦でも、失点こそしなかったものの、唯一の四球を記録したのが初回だった。その代わり、調子が軌道に乗ればポンポンと良いリズムで投げて抑え込んでいく。そう考えると東筑にとって痛かったのは、むしろ守りの乱れだった。
 初回無死一、二塁から亀岡の当たりはショート右へのゴロ。6-4-3の併殺コースだったが、ショートが自らベースを踏むか、セカンドにトスするか一瞬躊躇してからセカンドにトスを上げたがタイミングが合わず後逸。無死満塁とピンチが広がり、1点を先制されてしまう。3回は一死二塁から八塚の飛球をレフトが追いつきグラブに当ながら落球(記録は二塁打)、さらに内野への返球が乱れる間に1点を失った。5回は犠飛で1点差とされたあと、白石の強烈な当たりをショートがよく抑え、4-3のままこの回を終えると思われたが一塁送球が高く、直後に橋本に逆転3ランを浴びた。

 石田投手もなかなか調子があがってこなかった。1、2回は荒れ気味ながらもノーヒットに抑えたが、3回に宇都宮に二つ目の死球を与えてから、胸元を突く球が極端に少なくなったように感じた。3回以降、芯で捕らえられる打球が増え、5回に橋本に浴びた逆転弾は内を狙った直球が真ん中に入り、亀岡の一発は外角の直球を捕らえられた。変化球の制球にも苦しみ、毎回のように走者を背負うため投球間隔も長くなり、持ち前のテンポの良い投球が見られなかった。4-2と逆転に成功し、そのまま逃げ切るのが東筑の勝ちパターンだったが、内角を強く攻められない投球では強打の済美打線を抑えられなかった。
 打線は6回までに八塚投手に11安打を浴びせて4得点。4回の盛田の一発に始まる4連打は胸のすくような攻撃だったし、5回も二塁走者・坂口が菊池の中前打で思い切りよく本塁を突き、タッチをかいぐぐっての走塁も見事だった。ただ、4回逆転してなお一死三塁で9番石田の場面、福岡大会であればスクイズのケースだったが強攻に出て三振。5回は二死一、二塁から菊池のタイムリーの後、本塁送球間に一塁走者が三塁を狙ったが余裕を持って刺されるなど、ちぐはぐさも目に付いた。

 攻守とも多少の粗さはありながら、思い切りのよいプレーが東筑の持ち味。多少のミスは石田投手の好投でカバーしつつ、その思い切りのよさを発揮して福岡を制した。この試合も、良くも悪くも東筑らしさが凝縮された試合だったが、石田投手が細かなミスを帳消しにできるほどの投球ができなかった。
 もっとも済美打線も、低めのスライダーにもよくついていき、最後にはヒットにしてしまうような打者が揃う強力な打線。このレベルの打線は福岡には存在せず、2年生バッテリーは全国レベルを肌で痛感したのではないか。無欲で戦ってきたこれまでだったが、秋からは目標とされる立場になる。この経験を糧に今後どう成長を遂げていくのか、注目していきたい。




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