長打攻勢で序盤にリードを奪った東筑が、エース石田の力投で福岡大大濠の追撃を封じ、21年ぶりの夏の甲子園出場を決めた。
 1点を追う東筑は2回一死から、5番盛田の左越え本塁打で同点。さらに6番菊池の中前打の後、安部も中越え二塁打で続き一死二、三塁。ここで8番北村がスクイズを決めて逆転に成功した。3回は1番阿部が中前打で出塁。田中の送りバントは二塁封殺され、坂口も三振に倒れたが、4番水上の右中間二塁打で一塁から田中が生還、リードを2点に広げた。

 福岡大大濠は初回、先頭の久保田が右中間を破る三塁打を放ち、中継に入ったセカンドから三塁への送球が乱れる間に一気に本塁を突いて先制した。続く平野もセンター左を破る二塁打を放ち、東が送って一死三塁と追加点のチャンスを得たが、後続が凡退して1点止まり。2回は一死から8番三浦が左中間二塁打を放ち、4回は5番稲本の中前打と犠打で一死二塁としたが、いずれも得点できなかった。5回は二死から平野左前打、東ショート強襲安打、さらに暴投で二死二、三塁としたが、古賀が三振。6回も先頭の稲本が中前打で出たが、樺嶋が強攻に出て遊ゴロ併殺打。7回以降は無安打に抑えられ、4回以降、東筑を無失点に抑えた三浦の力投に応えられなかった。

 東筑の先発・石田は6回までは、3回を除いて毎回のように走者を背負う苦しい投球だったが、要所を抑えて2点のリードを守り切った。福岡大大濠の三浦は制球に苦しみながらも、4回以降は2安打に抑えて追加点を許さなかったが味方打線が石田をとらえ切れず、10三振の力投も及ばず涙をのんだ。

▼決勝(28日・小郡)
福大大濠 100 000 000=1
東  筑 021 000 00x=3

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 投手陣が失点を2点以内に抑えて、何とか三浦投手から3点以上をとって勝つ。県内のチームが福岡大大濠を破るにはこのパターンしかないと思いながら見てきたが、最後に東筑が「模範解答」を見せてくれた。

 まずは先発の石田。初回、いきなり福岡大大濠・久保田に右中間を破られ、中継も乱れてあっという間に先制点を与えてしまう。さらに平野にも二塁打を浴び、東が送って一死三塁とされ、打席には古賀。ここで1点を加えられると完全に福岡大大濠のペースになりそうだったが、遊ゴロに抑えてピンチを脱した。2回も三浦に二塁打を許し、斎藤にも芯で捕らえられたがライト正面。4回は二死二塁から三浦に痛烈なライナーを打たれたがショート正面と、ギリギリのところで耐えた。
 最大の山場が5回だった。二死を取った後、平野、東に連打を浴びて打席には4番古賀。2-2からの5球目が暴投になって二、三塁となり、一打同点の場面を迎えた。しかし外角低めのスライダーで古賀のバットに空を切らせた。最大のピンチをしのぐと、6回は無死一塁から樺嶋を遊ゴロ併殺打で仕留め、以降はヒットを許さなかった。8回は中軸を迎えたが東を捕邪飛、古賀は完全にタイミングを崩されてバットの先端に当たる一塁ゴロにうちとり、福岡大大濠に反撃の機運すら作らせなかった。

 石田投手の魅力は、力のある直球でどんどん押してくるところ。球速は130キロ台中盤といったところだが、サイドハンドから胸元を突く球に力があり、この球を詰まらせる打者が多かった。他の好投手と同じように四死球の極めて少ない投手だが、際どくコーナーを突いてくるというよりはグイグイと力で押してくるタイプ。さらに春以降、スライダーをウィニングショットとして使えるようになったことで、投球に幅ができた。右打者には胸元を直球で突いた後に投げる外へのスライダーが効果的で、左打者には外角低めにスライダーを見せておいて、最後は内角にズバッとくる。その分、死球も多く決勝で1つ、準決勝では3つあったが、それでも恐れずに内角を攻める度胸もある。粗削りではあるが、思い切りのよい投球が実を結んだ。

 一方、打線も思い切りのよさが得点につながった。東筑は準決勝までの6試合で2桁安打は1試合だけ。強打のイメージはそれほどない。ただ、長打力があり、準決勝までの長打率は.384と4割近い。その長打力が如何なく発揮された。
 まずは盛田が高めの直球を狙いすまして一発。打った瞬間、それと分かる快心の当たりだった。さらに菊池はスライダーをうまく合わせて投手の足元を抜くと、安部は初球をセンター後方へ。センターの足が一旦止まりかけて慌てて背走したように、小郡市野球場特有の強い風に乗ったのかもしれない。これで二、三塁とし、得意のスクイズで勝ち越した。3回は一死一塁から、4番水上がライト左へ大きな飛球、平野が懸命に伸ばすグラブのほんの先を抜けていく二塁打で、貴重な追加点をあげた。
 三浦は得点圏に走者を背負うと、ギアをあげて得点を許さない投手。逆に言えば、三浦の強みを発揮させないためには走者なし、あるいは一塁の場面での長打こそ効果的といえる。盛田の一発は言うに及ばず、安部の二塁打も走者一塁からの一打。二、三塁にしてからはヒットは難しいとみるやスクイズで手堅く点を奪った。水上の二塁打も二死一塁からのもので、一塁走者が一気に本塁を突いた。このあと5回一死一、三塁、7回一死一、二塁のチャンスは三浦から得点できなかっただけに、早いカウントから積極的に打ちにいき、長打力で一気呵成に得点した2、3回の攻めが功を奏した。

 三浦は、序盤から制球に苦しんだ。伸びのある直球と切れ味鋭いスライダーを、内外角低めいっぱいにテンポよく投げ込むのが三浦の持ち味だが、この日はボールが先行。直球は高く浮き、スライダーは外角低めに大きく外れる。盛田に浴びた本塁打、安部と水上の二塁打はいずれも高めの直球だった。
 3点を失った後も5回には2安打で一死一、三塁、7回は連続四球で一死一、二塁とされたが、ここで追加点を与えなかったのは、さすがだった。4回以降は6つの三振を奪い、そのほとんどを高めの快速球を空振りさせて満員の観客を沸かせた。追い込んでからは三振を狙っているようにさえ見え、三振で打ち取ることで、味方の士気を上げようとしているように感じた。
 準決勝、決勝と制球に苦しんだのは、やはり疲労の影響だろう。三浦ほどの投手でも、やはり夏の連戦を一人で乗り切ることは容易ではなかった。ただ、7試合に先発して2回戦の1イニングを除いてすべて完投し、54イニングスで6失点という内容は、県下ナンバーワン投手の称号にふさわしいものであった。その華麗な投球を再び甲子園で見せることは叶わなかったが、福岡のファンはしっかりと目に焼き付けた。

 打線は6回まで7安打を放ちながら、チャンスで一本が出なかった。初回1点を先制した後の一死三塁、2回一死二塁でたたみかけたかったが、石田の投球が上回った。挑戦者の立場として無欲でぶつかってきた東筑が思い切りのよい打撃を見せたのに対して、春夏連続出場へ期待を背負った福岡大大濠の攻撃は、回を重ねるごとに重苦しいものになっていった。6回の無死一塁を併殺でつぶすと、一気に東筑の勝利に向けた濁流に飲み込まれてしまった。
 春からほぼ同じメンバー構成で経験値は高かったが、レギュラーを脅かす選手の台頭が乏しかったともいえる。そのためチームへの刺激や底上げが不足し、夏を勝ち抜くのに必要な打線の迫力、爆発力に欠けたきらいはある。それでも決勝まで勝ち上がる力はあったが、甲子園で春からの成長を披露することなく、戦いを終えた。