【観戦記】東筑4-1戸畑(選手権大会3回戦)




 東筑・石田、戸畑・田中の両エースによる緊迫した投手戦となったが、終盤のチャンスを確実に生かした東筑が競り合いを制した。
 初回に先制を許した東筑は2回、5番盛田が左前打、続く坂口もファースト左を破る右前打で無死一、二塁。阿部はバントを2つファールした後、強攻に出て投手グラブをはじく内野安打で満塁とし、北村の一塁内野安打で同点に追いついた。同点で迎えた7回は先頭の8番北村が四球で出ると、石田が送って一死二塁から、別府が左翼線に三塁打を放って勝ち越し。続く田中のスクイズで点差を2点に広げた。8回には4番水上のレフト左への二塁打で戸畑の先発・田中をKO。2番手大串がマウンドに上がった後、牽制悪送球で水上が三進し、盛田は三ゴロに倒れたが坂口がスクイズを決めてリードを広げた。
 先制したのは戸畑。初回、中前打で出た恒成を藤野が送って一死二塁。尾首中飛のあと、4番重松がセカンド左を破る中前打で二塁から恒成が生還した。その後は、立ち直った東筑の先発・石田の前に6回まで無安打に抑えられていたが、7回一死後、5番増田が左翼線二塁打で出塁。黒田中飛の後、宮武が三遊間を破り二塁走者の増田が本塁を突いたがタッチアウト、勝ち越しのチャンスを逃した。

 東筑の石田は伸びのある直球を軸にしたテンポのよい投球で、戸畑打線を4安打2四死球に抑えて完投。戸畑の田中も序盤の再三のピンチを最少失点に抑え、中盤は立ち直ったが、球数の増えた終盤に力尽きた。

▼3回戦(15日・北九州市民)
戸畑 100 000 000=1
東筑 010 000 21x=4

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 延長15回の熱戦となった2回戦の戸畑工戦で9回3安打に抑えた戸畑の左腕・田中と、右サイドハンドからテンポの良い投球を見せる石田の投げ合いが予想されたこの試合。両投手が持ち味を発揮し、中盤までは両投手とも一歩も引かない投手戦となった。
 石田は、早い間合いから伸びのある直球を軸に、スライダーを交えながら早いカウントから打たせて取る投球を見せた。戸畑打線の早打ちもあったが、2回から6回までの球数は、6・8・8・8・11。この間に許した走者は3回先頭の沖田に与えた死球だけで、ほぼ完ぺきな投球を見せた。7回は2本の安打を許したが味方の攻守もあって勝ち越しを阻止すると、8回一死から四球を出したものの併殺で切り抜けて追撃のきっかけを与えなかった。

 対して田中は得意のスライダーを武器に力投。1回は二死一、三塁をしのぎ、2回も1点を失った後、なお無死満塁を無失点で抑えたのが大きかった。4回は二死から長短打を浴びて一、三塁まで迫られたが、ここでも得点を許さない。直球は高く浮く球も目立ち、打たれたのも直球が多かったが、スライダーが要所で決まった。7回はこの試合2つ目の四球で出した走者を犠打で送られ、別府に外角直球を左翼線にはじき返された。四球で出した走者が決勝のホームを踏んだことは戸畑にとっては悔やまれるが、こうした僅かなスキさえ許されない試合であった。

 東筑は序盤、一気に突き放せそうなチャンスを度々つかんだが、押し切れなかった。初回は二死一、三塁から一塁走者の水上が盗塁、捕手の偽投に三塁走者が飛び出し逸機。2回は先頭の盛田が出ると、坂口は送りバントをファール、その後強攻に出て右前打。続く阿部も二つバントのファールがあった末に強攻に出て投手グラブをはじく内野安打。いずれも結果的に安打につながったが、送りバントをきっちり決められないシーンが目についた。
 だが7回は石田が送りバントをファーストストライクで決め、別府のタイムリーを呼び込んだ。続く田中もスクイズをきれいに決めた。8回にも無死三塁から盛田が強攻に出て打ち取られると坂口がスクイズ。いずれも戸畑バッテリーは無警戒だったが、東筑はこれまでの大会、送りバントや盗塁は多用せず強打のイメージが強かっただけに、終盤の2つのスクイズは意表を突く形となったのかもしれない。
 戸畑打線は、早いカウントから打ちにいき、いい当たりを放ちながらも野手の正面を突くシーンが目立った。結果として石田は球数少なくアウトを重ね、終盤になっても直球の伸び、スライダーの切れ、そして制球力、いずれも精度を保ち続けた分、打ち崩すのが至難だった。そうした状況だっただけに、7回二死二塁からの左前打での本塁突入は真っ当な判断であったが、東筑の堅守に阻まれた。




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