【観戦記】福岡大大濠5-0秀岳館(秋季九州大会準決勝)




 福岡大大濠が逆方向への打撃に小技をからめて秀岳館の先発・田浦を攻略、投げては三浦投手が3試合連続となる完封で春に続く九州大会決勝進出を果た%e5%a4%a7%e6%bf%a0%e3%83%bb%e4%b9%85%e4%bf%9d%e7%94%b0%e3%82%b9%e3%82%af%e3%82%a4%e3%82%baした。
 3回まで毎回のように得点圏に走者を進めていた福岡大大濠は4回一死後、6番西がレフト線に落ちる二塁打で出ると、続く斎藤が右前にはじき返して先制。さらに捕逸、樺嶋四球、三浦右前打で一死満塁とすると、1番久保田の三塁前スクイズが内野安打となり2点目。打者平野の時、スクイズサインミスがあり、投球と同時にスタートした三塁走者が挟殺されたが、二死一、三塁から平野が三遊間を破って3点目を挙げた。
 7回は、5回からマウンドに上がった2番手の川端から、この回先頭の平野が四球を選ぶと古賀が送ったあと、東も四球で一死一、二塁。さらに暴投で二、三塁とし、稲本は左飛に倒れたが、西の一塁ファールフライと思われた打球が、風に流されたかミットをかすめてフェアグランドに落ち(記録は失策)、スタートを切っていた二者が還って2点を加えた。
 秀岳館は初回一死後、田浦がセンター右を破る二塁打を放ち、続く木本の二ゴロで二死三塁。広部四球で一、三塁としたが吉安が三振に倒れ、先制機を逃した。2回は先頭の6番石井が中前打で出たが、半情の投前バントが併殺となって逸機。5回も石井のセンター前へのポテンヒットの後、半情犠打、幸地四球で一死一、二塁と三度チャンスを作ったが、後続が倒れて得点できなかった。6回の一死一、二塁も逃し、9回は2つの四球で二死一、二塁と最後のチャンスを作ったが、幸地が右飛に倒れ試合終了。三浦の前に散発の5安打に抑えられ、完封を喫した。

▼準決勝(27日・別大興産スタジアム)
秀岳館 000 000 000=0
福大大濠000 300 20x=5

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 秀岳館はここまで2試合で打率3割7分1厘、3本塁打。投手陣も、初戦の長崎東戦で田浦が7回コールドながら17奪三振を奪って完封すれば、%e5%a4%a7%e6%bf%a0%e3%83%bb%e4%b8%89%e6%b5%a6準々決勝の鵬翔戦では川端が14奪三振1失点で完投。九州では力が一つ抜けている印象だった。福岡大大濠の力が、さらに言えば福岡のレベルが九州や全国と比べてどの位置にあるかを測ることができる、絶好の相手だった。
 三浦は初回一死後、2番田浦にセンター右に軽々と運ばれる二塁打を打たれ、いきなりピンチを迎えたが、木本を二ゴロ、広部は歩かせたが吉安を三振に打ち取って切り抜ける。2回も先頭打者を安打で出したが半情の送りバントを素早く二塁送球、併殺を完成させてからはリズムに乗った。結局2回を8球で終わらせると、3・4回は秀岳館の早打ちにも%e7%a7%80%e5%b2%b3%e3%83%bb%e7%94%b0%e6%b5%a6助けられて5球ずつで3つのアウトを取り、完全に流れを引き寄せた。このテンポのよさに呼応するように、打線も4回裏に3点を挙げて三浦を援護する。
 5回はポテンヒット、死球で一死一、二塁と二人走者を背負うが、最後は1番竹輪を外角直球で空振り三振。6回もヒットと死球で一死一、二塁とされたが、川端を内角直球で見逃し三振、石井を一邪飛に打ち取る。7・8回は三者凡退、9回は勝ちを意識したか二つの四球を出したが、落ち着いて幸地を右飛に抑えた。笑顔なき完封勝利だったのは、9回の二つの四球が納得いかないかったからか。東海大福岡の安田投手は気迫を前面に出すタイプだが、三浦投手はポーカーフェイスで黙々と投げ切った。

 直球はこの日最速で141キロだったが、大半は130キロ台中盤~後半。この直球が厳しいコースにコントロールされ、さらにストライクゾーンぎりぎりのところから、鋭く落ちるスライダーに秀岳館の各打者は手を焼いた。時折投げるカーブでもストライクがとれ、タイミングを外すのに効果的だった。古賀捕手も何度もマウンドへ足を運ぶようになり、間の取り方も板についてきた。東海大福岡の北川もそうだが、ここぞという時には直接マウンドまで行き攻め方を確認するなど、うまく意思疎通ができている。%e5%a4%a7%e6%bf%a0%e3%83%bb%e5%b9%b3%e9%87%8e%e9%81%a9%e6%99%82%e6%89%93

 秀岳館の先発・田浦は、初戦の17奪三振もうなづける直球の切れがあった。リラックスして投げている感じだが、手元でグッと伸びる。福岡大大濠打線はこの直球を逆らわずに打ち返した。象徴的だったのが3点を挙げた4回。西の当たりはスライスしてレフト線に切れていく二塁打となり、斎藤の先制打も右前に逆らわずにはじき返したもの。三浦も一・二塁間を破ると、平野も図ったように三遊間を破り、瞬く間に3点を挙げて田浦をこの回でマウンドからおろした。盗塁も三つ決めるなど、足を使った攻撃も随所に見せた。この日は中軸の3人で9打数1安打と振るわなかったが、それ以外の打者が持ち味を発揮して得点につなげた。

 大分商、鹿児島実、秀岳館と九州の強豪を破った福岡大大濠はこれで来春のセンバツを確実にした。次はその実力を全国の舞台で問うことになる。




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