【観戦記】東海大福岡７－２久留米商（秋季大会準々決勝）

　東海大福岡が久留米商の守りの隙を突いてチャンスを作り、集中打で突き放して快勝した。
　４回まで１安打に抑えられていた東海大福岡は５回一死後、橋本が中前打で出塁。続く前原のセンター左への安打で一、三塁とし、安田の中犠飛で先制した。逆転された直後の６回は、先頭の有安がライト右への幸運な二塁打で出ると清水が送って一死三塁。北川の遊ゴロで本塁突入を試みた有安は三本間で挟まれたが、タッチをかいくぐって三塁に戻り（記録はフィルダースチョイス）、一死一、三塁から遠藤の左中間二塁打で二者が還って再逆転した。７回には前の回途中から登板した２番手・高本から、古賀が死球を受け、有安も四球を選んで無死一、二塁。続く清水の遊ゴロで二塁封殺を狙った送球が乱れて満塁とし、北川が三遊間を破って２点を加えた。さらに二、三塁から遠藤の一ゴロの間に三塁走者が生還、星野の左犠飛でさらに１点を奪って突き放した。
　久留米商は先制された直後の６回表、下川がセカンド左を破る中前打で出ると、遠藤が送って一死二塁。続く福山の左翼線二塁打で同点に追いつき、代打・田中もレフト前に落ちるタイムリーを放って一時は逆転に成功した。しかし再逆転された７回以降は東海大福岡・安田に１安打に抑えられ、反撃のきっかけも掴めなかった。
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　序盤は、東海大福岡・安田、久留米商・遠藤、右サイドハンド同士による見ごたえのある投手戦となった。
　安田は制球力抜群の直球と低めに沈むスライダーを駆使し、５回までに許した走者は詰まった左前打で許した１人のみ。直球の球速表示は１２０キロ前後だが、内角の厳しいところを突いて詰まらせ、久留米商の各打者に十分なスイングをさせなかった。スライダーと直球の球速差は１０キロほどしかなく、スライダーの後の直球は手元で伸びてくるように感じたかもしれない。
　久留米商の遠藤も１２５キロ前後の直球を主体に、スライダーを交えながら凡打の山を築いた。こちらも４回まで許した走者は安打の１人だけ。このまま投手戦が続くかと思われたが、５回に試合が動いた。

　この回、東海大福岡は一死から橋本が投手足元を抜くヒットで出ると、続く前原のやや詰まった当たりはセンター前へ。これを見て一走の橋本は一気に三塁を狙い、際どいタイミングだったが間一髪セーフ。続く安田の犠牲フライで先制のホームを踏んだ。まずは足を生かして東海大福岡が先制点を奪った。
　続く６回は、久留米商に細かな守りのミスが出た。先頭の有安は右翼線への飛球、ライトが追いついたかに見えたがグラブに当てて落球（記録は二塁打）。ライトはこの回から守備に就いたばかりの大田、風の影響もあったか、いずれにしても東海大福岡にとってはラッキーな一打となった。さらに清水犠打のあと一死三塁から、北川の遊ゴロで有安が飛び出したが、三本間に挟みながら三塁に生かしてしまう。遠藤にしてみれば、打ち取ったはずの二人が塁上に生きる形となった。気落ちしたところを遠藤は逃さず、左中間を真っ二つに破る一打を放って再逆転に成功した。
　ここで久留米商は高本にスイッチしたが制球に苦しみ、続く７回に死球、四球、失策で無死満塁とされ、２点タイムリー、内野ゴロ、犠飛で決定的な４点が入る。この回は、わずか１安打での４失点だった。
　一方の安田は６回に２点は失ったものの、無失策の守備陣にも支えられ、７回以降は危なげなかった。７～９回に５つの三振を奪うなど、球威・制球力とも衰えず、終わってみれば５安打無四球の完投。このうち３本は８番下川に打たれたもので、そのほかの打者はほぼ完ぺきに抑えた。結果的には、久留米商のミスや四死球をきっかけに東海大福岡が突き放す形となったが、それも安田投手の安定した投球があってこそ、といえそうだ。

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