2016夏の大会を展望する②~南部




 ここ5年間、北部が独占している夏の選手権ですが、今年は南部に有力校が揃っています。福岡大大濠、西日本短大付、九産大九産が3強を形成し、これを九産大九州、祐誠、福岡第一などが追う展開でしょうか。

 福岡大大濠は秋は準決勝で九産大九産に敗れましたが、春は九州大会で優勝を果たし、夏の主役に躍り出ました。秋はエース・濱地が圧巻の投大濠-東筑イメージ球を見せて福工大城東、自由ケ丘を完封。準決勝では1失点ながら九産大九産・梅野にノーヒット・ノーランを喫して敗れましたが、高い安定感を誇りました。その一方で打線はやや非力な印象がありましたが、九州大会で一気に覚醒した感があります。古賀、東、田中、濱地と続いていた中軸に、1年生の稲本が加わり、1番・斎藤の出塁率が高くなったことで得点力が高まりました。投手陣も左の米村、右の三浦が経験を積み、起用の目処がつきました。ただ、濱地投手の制球力、球の切れとも春先からいま一つ。夏までに調子をあげてくれば優勝候補の最右翼と言えます。
 西日本短大付は、春の福岡大会で優勝。九州大会でも準優勝と力のあるところを見せました。攻撃西短・九州イメージ力は県下屈指といってよいと思います。三宅、中島、吉無田と続く上位打線は振りも鋭く、小技も利き、状況に応じた打撃ができるセンスの高さを感じます。4番・橋本は福岡大会はやや振るいませんでしたが、九州大会では全試合で打点をあげました。5番・渡邊は勝負強く、九州大会では2本塁打で注目を集めています。エースの谷口投手は130キロ台後半の直球に、鋭く落ちる変化球がウイニングショット。立ち上がりがやや不安定な点と、春以降、ほぼ一人で投げてきているだけに2番手以降の投手の経験不足が気になるところです。
 九産大九産は、エース・梅野投手の右腕にかかっています。最速149キロの直球に鋭いスライダー、カットボールなどを駆使して秋は準決勝でノーヒット・ノーラン、決勝は1安打投球でチームを優勝に導きました。春の大会はチームの方針九産・樋口適時打で登板せず3回戦で敗れましたが、マウンドに戻った4月の福岡地区大会では再び優勝。登板した試合は昨秋から県内で無敗を誇っています。秋までは強気な性格が災いして制球を乱す場面もありましたが、福岡地区大会では冷静に投げようとしている様子がうかがえました。打線は只松、堀川が3・4番に定着し秋に比べて得点力は上がりましたが、迫力にはやや欠ける印象です。梅野という絶対的エースがいるため大量点は必要ないにしても、3~4点は確実にとって援護ができるかがカギになりそうです。

 九産大九州は、本来なら上記3チームと併記して「4強」とするだけの実績は残しています。秋はベスト4、春は3位決定戦を制して九州大会へコマを進めました。昨春のセンバツを経験している左腕・岩田を中心に守りは堅く、投手だけなら「濱地、梅野、谷口、岩田」の四天王といってよいと思いますが、得点力不足がどうしても目につきます。主力は昨夏のメンバーから大きな変化はなく、今年も岩田投手の踏ん張り次第、ということになりそうです。
九州ー東筑イメージ 秋は県大会出場、春もパート決勝まで進むなど安定した成績を残している
祐誠。右の橋爪、左の岸川の2本柱は安定感があります。打線も吉岡、松門、菰原など昨夏の主力も多く残っており、力があります。好機で確実に得点を重ね、投手陣を援護したいところです。

 福岡第一はノーシードながら左腕・比嘉、右の大型サイドハンド・藤野と2人の好投手を擁し、打線も川越・藤本・桃原の中軸が強力です。秋以降、敗れた相手は九産大九州(秋4回戦)、西日本短大付(春3回戦)、九産大九産(福岡地区大会準決勝)とAクラスのチームで、いずれも2点差以内の接戦を演じており、シード校並みの実力を持っています。
 久留米商は筑後地区大会で優勝し、辛うじてシード権を獲得しました。左の強打者・古川を中心に打力はありますが、上位進出には田中峻、高本らの投手陣の奮闘が不可欠となります。筑陽学園は打線に物足りなさが残りますが、左腕・山中が粘り強い投球を見せます。
 福工大城東は坂元、青山、亀山と複数の投手を擁し、春は県大会出場していますが、実力校との対戦で実績が残せていない分、評価には割引が必要だと思います。沖学園も秋春ともパート決勝まで進出しており、長打力のある橋本を中心に打力はありそうですが、九産大九州や福岡大大濠に敗れた内容を見る限り上位とは少し差がある感じは否めません。実力校・東福岡も今年は低迷しています。秋は九産大九産・梅野、春は九産大九州・岩田に抑えられました。三野原、久我の1・2番コンビは足もあり脅威ですが、中軸以降にやや迫力を欠きます。投手陣は左腕・浜名、浦田など複数の投手がいますが、絶対的エースが不在で、継投の中で勝機を探ることになりそうです。

 このほか公立校では、左腕・中山のいる筑前、昨夏活躍した大型左腕・森田を擁する朝倉、その朝倉に秋季大会で勝利した筑紫丘には好左腕・井上投手がいますが、上位進出にはいずれも打線の援護が不可欠といえそうです。

南部2016得点

 


 

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