【観戦記】慶成3-2小倉南(北九州地区高校野球1回戦)




 両校とも決定打に欠きながら迎えた9回、小倉南が2点を先制して勝負あったかに思われたが、その裏追いついた慶成が延長11回サヨナラ勝ちを慶成3-2小倉南3納めた。

 2点を追う慶成は9回一死後、6番・水嶋が死球、7番・大和も四球で出塁し、鈴木の三ゴロで二死二、三塁。ここで9番・加留部が中前打を放ってまず1点。さらに二死一、三塁から佐々木の左前打で同点に追いついた。延長11回にはこの回先頭の大和がサードのグラブをはじく強襲ヒッ慶成・大和生還トで出ると、鈴木は死球で無死一、二塁。加留部の送りバントは二塁走者が三塁で封殺されたが、9回に同点タイムリーを放った佐々木がここでも左中間を破るサヨナラ二塁打を放ってケリをつけた。
 慶成の先発・福田の前に8回まで4安打に抑えられていた小倉南は9回一死後、4番・尾上が中前打、続く田中も中越え二塁打を放って二、三塁とし、土谷の左翼線二塁打で2点を先制した。追いつかれた後の10回、11回とも一死二塁の勝ち越しのチャンスを作ったが、慶成の2番手・野上に後続を抑えられた。小倉南の先発・町本も降板する7回途中まで、2回を除いて毎回先頭打者の出塁を許す苦しい投球だったが、慶成の拙攻にも助けられ無失点で凌いだ。2番手・渡辺は7回、8回と一人の走者も出さない好投を見せたが、9回に突如乱れ、逃げ切れなかった。

 
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 スコアだけを見ると白熱した好ゲームのように見えるが、両校あわせて四死球15、残塁22。小倉南、慶成とそれぞれ一気に勝負を決めるチャンスを得ながら、みすみす手放した挙句、最後は慶成の手元で勝利の振り子が止まった…そんな感じの試合だった。
慶成・菊田 序盤から中盤にかけては完全に流れは慶成だったが、初回3つの四死球で得た二死満塁を逃したのをはじめ、ことごとくチャンスを逃した。2回は先頭の大和が二塁打で出るが、続く鈴木の送りバントは捕手前で打球が止まる弱い打球となり、大和は二・三塁間に挟まれてタッチアウト。なお一死二塁と先制機は続いたが、加留部の投ゴロに二走・鈴木が飛び出して再び挟殺された。3、4回も先頭打者を四球で出しながら後続が続かず、5回は右前打で出た加留部が暴投で二進したが、送りバントの構えを見せる打者・佐々木の時に離塁が大きく捕手の牽制球に刺され、直後に佐々木が二塁打を放つなど攻めがチグハグだった。6回も先頭の4番・稲富が左翼線に落ちるヒットを放つが二塁を狙ってタッチアウト。二死後、水嶋が死球で出て盗塁を決め、ベースカバーに入ったショートが送球をはじく間に三塁を狙おうとして躊躇、二塁に戻ったところを刺されるなど、走塁の判断ミスも目立った。
 小倉南の先発・町本は小柄ながら、なかなか重そうな球を投げるが、7回途中まで7四死球と制球に苦しんだ。低めに決まるとそう簡単には打たれそうにないが、この日は制球が定まらず、無失点は慶成の拙攻に助けられた感がある。小倉南・町本

 小倉南も5回一死三塁からスクイズ失敗、7回一死一、二塁は併殺打と、お付き合いするように好機を逃し続けてきた。慶成の先発・福田は球威こそないが、カーブを多投、小倉南打線はこのカーブにタイミングがなかなか合わなかった。福田の疲れが見え始めた8回以降、ようやくとらえはじめ、9回は三連打で2点を先制して勝負あったかに見えた。ところが7回途中からリリーフに立ち、変化球を低めに集めて安定した投球を見せてきた小倉南の右サイドハンド・渡辺が一死後、突然乱れる。2つの四死球に2本のタイムリーを浴びて、まさかの同点劇。11回も安打と四球で一、二塁とされ、9回同点打を浴びた佐々木にサヨナラヒットも許した。走者を出してからの投球に課題を残した。

 ちなみにこの試合、延長11回までに勝負がつかなければ、12回表からはタイブレークとなっていた。タイブレークで負けたチームには割り切れないものが残ると思われるため、その導入には個人的には賛成できないが、そうした悔いを残さないためにも極力ミスをなくし、9回までに勝負をつける厳しさが必要であろう。

 

 

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