【観戦記】小倉10-3九産大九州(秋季大会準決勝)




 小倉が相手のミスを逃さず九産大九州のエース・岩田を序盤に一気に攻略、7回コールドで圧倒した。小倉10-3九州
 小倉は2回一死後、5番・堀が詰まりながら左前に落として出塁すると軸丸が送って二死二塁。続く中野当たりは詰まった一塁線へのゴロとなったが、ファーストがバウンドを合わせられずに後逸(記録は失策)し1点を先制した。3回にはこの回先頭の山崎が中前打で出ると石橋死球の後、河浦が送って一死二、三塁。土田も死球で満塁とすると、堀が左前にはじき返して2点を加えた。
 さらに4回、石原のショート左への当たりが失策を誘い出塁。河野が送った後、山崎の右前打と石橋の四球で満塁。河浦の二ゴロで二塁封殺の間にまず1点。なお一死一、三塁から土田のショート左へのゴロが一塁悪送球となる間に2者が生還して2点を加えた。続く堀も右越え二塁打を放って1点を追加すると、軸丸、中野の右前への連続安打でさらに1点追加して岩田をKO。なおも二死一、二塁か小倉・石橋生還ら代わった舩越から石原の右前打と河野の右中間二塁打で2点を加えてこの7点をあげ、勝負を決めた。
 小倉の先発・中野のスライダーに手を焼いていた九産大九州は5回二死から神野が右前打で出塁。吉田拓、濱田の連続四球で満塁。ここで吉田拓の時に足がつった中野に代わって登板した小野から尾崎が押し出しの四球を選びようやく1点を返し5回コールドを阻止。7回も中村が三ゴロ失で出ると一死後、吉田拓の左越え二塁打で二、三塁とし濱田の中前打でまず1点。代わった3番手・河浦から尾崎の二ゴロ(二塁封殺)の間にさらに1点を返し、中濱も中前打で続いたが反撃もここまで。無念の7回コールド負けを喫した。

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 高校野球の勢いの怖さ、というものをまざまざと見た試合となった。小倉としては打線が岩田投手から奪えるのはせいぜい3~4点、それを中野投手が守り切れるかという展開を予想していたが、鉄壁を誇った九産大九州内野陣の3失策がいずれも失点に結びつき、試合は思わぬ大差となった。
九州・岩田2 まず2回二死二塁から中野の詰まった一塁線へのゴロ。何でもない打球と思われたが詰まった分、バウンドが不規則になったか。微妙にイレギュラーしたようにも見えたが、いずれにしても待って捕ろうとした分、対応できなかった。3回は岩田が2つの死球を与えて満塁とし、堀にタイムリーを浴びて2点を失い3-0。ここで抑えていれば試合の九州内野陣行方は分からなかったが九産大九州打線も3、4回と三者凡退に倒れ、流れを変えることができなかった。
 4回は先頭の石原がショート左へのゴロ。吉田が動きよく抑えて一塁送球したが、これがショートバウンド送球となり後逸。犠打、四球、安打で満塁とされ、河浦の当たりはセカンド正面のゴロ。中間守備を敷いていた九産大九州内野陣の併殺網にかかったと思われたが、送球をあせったか一度ボールをこぼして、二塁封殺のみとなり1失点(4-0)。さらに一、三塁から土田はショート左へのゴロ。これが先ほどのプレーと同じように一塁送球がショートバウンド~後逸となって2者が生還(6-0)。ファーストの守備には4回に高尾の代打として起用された大津がそのまま入っていたが、ショートバウンド送球への対応を見ていると不慣れなポジションだったのかもしれない。これで気落ちした岩田から堀、軸丸、中野がいずれも右中間方向へ逆らわないバッティングで三連打を浴びせて8-0とし岩田をKO、これで勝負があった。小倉・中野2
 岩田も勝負処で3四死球を与えるなど制球がままならかったが、こうした窮地を救ってきたのが九産大九州の内野陣。だが、この日はその守備も乱れてディフェンスが崩壊した形となった。

 小倉の中野投手は打線の援護もあって、テンポの良い投球。130キロ台半ばの直球をコーナーに決め、切れのあるスライダーで5回二死まで2安打1四球と上々の出来。剛速球があるわけでも特殊な変化球を持っているわけでもないが、制球にすぐれ無駄な四球を出さない。準々決勝の祐誠戦でも6回無四球(死球1)と安定感した投球ができるのが強み。打線では1番・山崎がシェアな打撃で2安打と岩田攻略の先陣を切り、5番・堀は岩田によく合っており3安打。チーム12安打のうち長打は2本で、センターを中心にコンパクトにはじき返した。
 今回は点差がついたものの堅実に戦う小倉らしさを存分に発揮して、25年ぶりに秋の九州大会へ出場を決めた。

 

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