【観戦記】九州国際大付4-2小倉(選手権大会準決勝)





九国・山本適時打
【試合経過】
 鮮やかな先制攻撃で主導権を握った九州国際大付が、4投手の継投で小倉の反撃を封じて逃げ切った。

 九州国際大付は初回一死後、山口がスライダーを合わせてセンター左への安打で出塁。岩崎への初球のスライダーは足元に当たる死球となって一死一、二塁とし、続く山本の左中間二塁打で二者が還ってまず2点を先制。さらに脇坂もスライダーを右前に運んで一、三塁とし、6番・宇都が中犠飛で山本が生還、この回3点を奪った。3回にはこの回先頭の3番・岩崎が中前に落ちる安打で出ると、山本も三遊間を破り、フルカウントのためスタートを切っていた岩崎は三塁まで達し、無死一、三塁。脇坂三振のあと、宇都が今度はレフトに犠牲フライを放って1点を追加、リードを広げた。

 4回まで九州国際九国・野木2大付の先発・野木の前に内野安打1本に抑えらえていた小倉は5回に反撃。この回先頭の5番・岡野がファースト左への強い当たり、これをファースト・宇都が飛びついて抑えたが、ベースカバーが遅れ内野安打に。続く岡はきわどい球を見極めて四球を選んでつなぐと、藤森が送って一死二、三塁。ここで8番・水野が左越え二塁打を放って2点を返した。
 7回にも一死から藤森が死球で出塁。ここで九州国際大付は6回からマウンドに上がっていた2番手・中村に代わり、サード・山本がマウンドへ。水野の打球はセカンド左へのゴロとなり、セカンドが捕球して二塁ベースを踏むがスタートを切っていた走者の足が速くセーフ、一塁もセーフで一死一、二塁とチャンスを作ったが、9番・山崎が内野ゴロ併殺打に倒れて無得点に終わった。8回からはエース・富山が登板して2回を無安打1死球に抑えて逃げ切った。
 小倉・岡野は5回一死一、二塁のピンチをしのぐと、6回以降は九州国際大付にセカンドを踏ませない投球を見せたが、打線が九州国際大付の4投手の前に4安打に終わり、2点を返すのが精いっぱいだった。

▼準決勝(27日・小郡)
九国大付 301 000 000 =4
小  倉 000 020 000 =2

————————————————————-
小倉・岡野2 前日、朝倉の左腕・森田投手に苦しんだ九州国際大付打線。同じ左腕・岡野相手に苦戦も予想されたが、その心配は初回に払しょくされた。左打者の山口が外へ逃げるスライダーをうまく合わせて中前へ。岩崎の死球を挟んで山本、脇坂の連打もスライダー。岡野とすれば外角に直球、スライダーを決めて追い込み、右打者の膝元から足元へスライダーを投げたかったが、やや高かったか。3回の山本の三遊間安打もスライダー。前日は苦しんだ内角へのスライダーを、九州国際大付の各打者はのびのびとしたスイングで、ことごとくはじき返した。岡野は中盤以降、スライダーを外角に集めて立ち直った。

 対して九州国際大付の先発はこの日も右腕・野木。前日の朝倉戦に続いて、立ち上がりから安定感があった。切れのある直球、スライダー、大きなカーブがコーナーに決まる。4回まで内野安打1本に抑える好投を見せた。5回は水野にタイムリーを浴びたが、5回3安打2失点と上々の内容だった。6回からは左腕・中村にスイッチ。県大会に入ってからは短いイニングのリリーフを務めているが、完投能力のある投手。富山と野木の活躍の前に目立たないものの、この投手も安定している。
 驚いたのは7回小倉・岡生還一死から死球を出した中村に代えてのサード・山本の投手起用。投球フォームを見ても野手のそれであり、この緊迫した場面で大丈夫かと思ったが、外角への直球の制球力はまずまず、スライダーも投げていたようだ。打者2人だけの対戦(フィールダースチョイスと内野ゴロ)だったので何とも言えないが、いずれにしても後に富山が控えているからこそできた起用だろう。

 小倉は4安打で、うち2本は内野安打。走者を二塁まで進めたのは5回と7回の二度だけと、野木をはじめとする九州国際大付の投手陣を打ち崩せなかった。それでも数少ないチャンスで水野がタイムリーを放ち、この日も勝負強さを見せた。21年ぶりの夏の大会ベスト4だったが、古豪復活の念願は来年以降に持ち越しとなった。

Pocket
LINEで送る

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.


*