2015年選手権福岡大会を振り返る




2015選手権大会最終

 九州国際大付の2連覇で幕を閉じた第97回全国高校野球選手権福岡大会。早くも8月7日からは各地区で新人大会が始まりますが、今年の福岡大会を忘備録的に振り返っておきたいと思います。

 今年は全体的に「投高打低」の印象が強い大会となりました。南部を中心に前評判の高かったチームが早々と敗れる展開となりましたが、相手投手を打てずに敗れるというケースが目立ちました。
 今春センバツ出場校の九産大九州は、福岡大大濠・濱地投手に完封を喫して3回戦敗退、思えばこの試合が波乱の始まりでした。大牟田DSC_9721は龍頭投手が朝倉を3点に抑えながら、打線が森田~重松の継投の前に沈黙しての完封負け。朝倉の両投手は準々決勝でも九州国際大付を追い詰めるなど大活躍を見せました。春季大会の優勝校・福工大城東は4回戦で久留米商・槇山投手から6安打で2点しか奪えず涙をのみました。
 県大会に入ってからも、この傾向は続きました。南部の雄・東福岡は、希望ヶ丘のアンダーハンド・山村、左腕・内堀から1点を奪うのがやっと。山村は続く八幡南戦でも延長10回を投げて1失点と、その実力を改めて証明しました。優勝候補の呼び声が高かったNHK旗大会優勝の飯塚も、渡辺健史、健太投手の好投で濱地投手を擁する福岡大大濠には競り勝ったものの、東海大五・田中投手から1点しか奪えず、最後は逆転を許してベスト4を前に姿を消しました。

 こうやって見てくると、大会前の評判はそれほど高くなかった投手たちが、強豪校を破ってきていることがわかります。朝倉は春季大会では初戦敗退(2-12筑前)、久留米商の槇山投手は公式戦での実績がほとんどありません。希望が丘、東海大五は春季大会では4回戦まで進みましたが、それぞれ光陵に0-7、飯塚に3-8の完敗。福岡大大濠・濱地投手も好投手ではありましたが、どちらかといえば左腕・坂本投手に注目が集まっていました。下馬評がそこまで高くはなかった彼らの活躍は、高校生は短期間でも大きく成長できる可能性を秘めていることを示しているように感じます。

 その中で優勝した九州国際大付は強打のイメージが強いのですが、投手陣の活躍があったからこその優勝だと感じます。特に県大会に入ってからはその傾向が顕著でした。エース・富山を軸に、右腕・野木、左腕・中村らがすべての試合を3点以内に抑え、競り合いをものにしてきました。打線は初戦を除いて大爆発した感じではありませんでしたが、どんな投手であっても4点以上は確実に取れる、という意味でやはり頭一つ抜けていたと言えます。
DSC_9704 躍進した北部勢もその背景には投手陣の充実がありました。準優勝の東海大五は田中投手が準々決勝の飯塚戦で最高の投球ができたことが大きかったと思います。小倉は左腕・岡野投手の冷静な投球が光りました。八幡南は山川・今井、東筑は藤井・梅田、希望が丘は山村・内堀というタイプの違う複数の投手と堅い守りで上位進出を果たしました。

 16校のシードのうち県大会に5校しか進めませんでしたが、とはいえ、勝ち上がった顔ぶれを見ると実力校がそろった印象でした。久留米商は昨秋ベスト8、祐誠柳川星琳東筑は昨年の県大会出場校。春先まで不調だった実力校が、夏にあわせて戦力を整えてきた結果と言えそうです。こうした実力校のシード漏れが多かった結果として、祐誠ー筑陽学園(2回戦)、九州国際大付ー折尾愛真(2回戦)、星琳ー自由ヶ丘(3回戦)、久留米商ー福工大城東(4回戦)、柳川ー西日本短大付(4回戦)という好カードが早い段階で出現しました。
 また、春季大会に続き、朝倉、福翔福岡など公立校の活躍が今大会でも目立ちました。戦力の均衡はここ数年、県内で顕著になっており、しばらく公立校の活躍は続きそうです。







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