【観戦記】東福岡3-0福岡第一(選手権大会南部3回戦)




【試合経過】
 東福岡・福島投手が福岡第一打線を散発4安打に抑えて完封、相手のわずかなスキを突いた攻撃で少ない好機をものにして、競り勝った。
 東福岡は1回、先頭の日高が中越え二塁打を放ちいきなりチャンスを作ると、続く野原の投前バントで三塁に投げた福岡第一・下川投手の送球が逸れる間に日高が生還、早々と先制した。2回以降は無安打に抑えられていたが5回、この回先頭の8番・三野原が右越え二塁打で出塁。笹川の三塁前の送りバントが内野安打となって無死一、三塁とし、日高がライトに犠牲フライを打ち上げて2点目を挙げた。9回にはこ東福岡・日高犠飛の回からマウンドに上がった左腕・平塚から三野原が右前打で出ると、笹川の送りバントは二塁封殺され、日高も三振に倒れたが、野原が左翼線に落ちる二塁打を放ち、スタートを切っていた笹川が一気に生還。ダメ押しの3点目を奪った。

 福岡第一は2回二死から6番・川越の中前打と桃原の四球で一、二塁としたが、福田が三振。その後は3人しか出塁できず二塁が遠かった。ようやく8回一死から、1番・藤本がフェンス際に達する大きな左越え二塁打で出塁したが、安本が遊ゴロ、東が三ゴロに倒れて得点できなかった。結局4安打で三塁を踏めず、9つの三振を喫するなど福島を最後まで捕らえられなかった。

▼南部3回戦(9日・春日公園)
東福岡 100 010 001=3
福岡一 000 000 000=0

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 両者は4月の福岡地区大会準々決勝で対戦、乱打戦の末、8-7で東福岡が勝っている。この時は福岡第一・下川の制球が不安定で途中降板、東福岡も先発・笹川が不調で3回まででマウンドを降り、4~7回は福島が登板。4イニングスで桃原の2本塁打を含む5安打3失点だったが、桃原の本塁打以外は詰まったものも多く、6三振を奪うなど打たれたという印象はあまりなかった。

 そしてこの日、注目された東福岡の先発は福島。秋は13、春は2だった背番号はエースナンバーになっており葛谷監督の期待の高さがうかがわれ東福岡・福島る。一方、福岡第一打線では、4月の試合で福島からヒットを打った1番・藤本、4番・下地、そして7番・桃原。これに福島から安打はなかったが猛打賞を記録した6番・川越を加えた4人がキーマンとなりそうだった。そして実際、藤本は2本、川越と桃原は1本ずつヒットを打ったが、いずれもチャンスメイクのヒットで、後続が続かなかった。特に3~5番は12打数無安打に抑えられ、打線が分断された。春に直球を打たれた桃原にはスライダーを中心に組み立て、1安打1四球は許したものの春のような大暴れはさせなかった。

 下川投手もよかった。春とは見違える投球で、これまで見た中では最高の出来だった。伸びのある直球と大きなカーブがテンポよくコーナーに決まる持ち味を如何なく発揮し、8回までに許した安打は4本。十分に先発の役割を果たした。

福岡一・下川 だが、こうした好投手からも得点を奪ってしまうのが、東福岡の徹底したバント攻撃だ。初回に下川の悪送球を呼んだ野原のバント、5回に犠飛を呼んだ笹川のバント(記録は内野安打に)と、いずれも得点に結びついた。無死あるいは一死で走者が一塁にいると打順に関係なく確実に送ってくる攻撃が徹底されており、この日も5つの送りバントを決めた。いずれの打者も際どい場所に転がす技術を持っており、少しでも油断すると内野安打となる。破壊力という点では他校に譲る東福岡打線だが、その機動力は十分相手に脅威を与える武器となっている。







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