センバツ初戦敗退の九産大九州、夏への課題




 第87回選抜高校野球大会、4日目の第3試合に登場した九州地区代表・九産大九州は、近江(滋賀)に0-2で敗れました。これで福岡県勢は2013年夏の自由ヶ丘、2014年夏の九州国際大付に続き甲子園3連敗となりました。九産大九州・岩田2

 率直な印象としては、九産大九州は持っている力は概ね出し切れたと思います。岩田投手を中心に失点を最小限に抑えつつ得点機をうかがう、という戦い方は最低限できたようですし、勝負には持ち込むことはできました。新2年生を中心としたメンバーで、昨夏の甲子園でスタメン出場した選手が5人残る相手に健闘したといえなくもありません。しかしここは次につなげるためにも、勝機はなかったのか、どうすれば勝利に近づくことができたのか、その観点から試合を振り返ってみたいと思います。

 まず守備面では四球と失策が得点に結びついています。そして大抵、こういうパターンで失点したチームが勝つことが難しいのが甲子園です。失策は九産大九州の2に対して近江は0。四死球も岩田投手の4に対して小川投手は3。両校とも守り勝つ野球を信条としていますが、より理想に近い試合運びができたのが近江であり、結果として勝利をつかみました。九産大九州も数字(被安打3・失点2)だけを見ればよく守ったと言えます。実際、福岡県大会や九州大会ではこの数字で十分戦え、勝つことができたのですが、全国レベルでは戦うことはできても、勝つことはできませんでした。福岡大会や九州大会で5-2、4-1で勝ってきたのであれば、甲子園では2-0で勝つくらいの気持ちでなければ難しいかもしれません。
 そして打撃面。4度得点圏に走者を進めながら、あと一本が出ませんでした。ピンチを背負いながらも、小川投手には余裕があるように感じ、そのためかチャンスでも得点の雰囲気がひま一つ感じられませんでした(唯一、可能性を感じたのは3回二死一、二塁で3番・尾崎選手を迎えた場面でしたが、いい当たりの中飛に終わっています)。打てないにしても、何とかゆさぶる手立てはなかったのだろか…慌てさせる術はなかったのか…。好投手から得点を挙げるために必要なものは何なのか。そしてそれをどう身につけていくのか。夏に向けてもう一度、そのあたりを確認することになりそうです。

 ちなみに県勢甲子園3連敗中の打撃成績は一昨年夏の自由ヶ丘が5安打2得点、昨夏の九州国際大付が5安打1得点、そして今回は4安打無得点。全国レベルの投手を打てていません。得点力アップは県全体の課題と言えるかもしれません。

観戦レポート/第87回選抜高校野球大会 1回戦 (2015年3月24日・火/甲子園球場)

 ◇1回戦(4日目・第3試合) 
       一二三四五六七八九 計HE
九産九州  0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 42

近  江  1 0 0 0 1 0 0 0 x  1 3030
【九】岩田 【近】小川

 近江が数少ない好機を生かして挙げた2点を、エース・小川の力投で守り切った。

 1回裏、近江は岡、奥田が連続四球で出塁。杉野の犠牲バントと山本四球で一死満塁とした後、笹治のセカンド左へのライナーを九産大九州の二塁手・大野が半身になりながら捕球したかと思われたが落球(その後、二塁で封殺したため記録は二ゴロ)、その間に三塁走者が生還して先制した。

 2回から4回まで立ち直った九産大九州の左腕・岩田の前にいずれも三者凡退に抑えられていたが、5回先頭の日比がサードの悪送球で一気に二塁へ進むと、仲矢の時にパスボールで三進。仲矢は甘く入った直球をセンター前にはじき返して2点目を挙げた。

 九産大九州は初回、先頭の鹿毛が死球で出塁したが続く浜田のバスターが三ゴロ併殺打になり逸機。2回も四球で先頭打者を出し、犠打で二塁に送ったものの、後続が連続三振に倒れた。3回にも二死から鹿毛、浜田の連打で二死一、二塁としたが尾崎は中飛に倒れ、序盤の好機を得点に結びつけられなかった。その後も5回には四球の走者を犠打で送り一死二塁、7回にも二死から神野が左越え三塁打を放つなど、9回までに4度得点圏に走者を送りながら、あと一本が出なかった。

 近江の先発・小川は初回、2回と先頭打者を四死球で出すなど序盤は制球に苦しんだが、6回以降は1安打無四球の危なげない投球で九産大九州打線を4安打に抑え完封した。九産大九州の岩田も3安打しか許さなかったが、四球や失策が得点に結びつき明暗を分けた。

【九産九州】打安点  【近  江】打安点  
⑤ 鹿 毛 310  ⑥  岡  300

⑧ 浜 田 410  ④ 奥 田 200
⑦ 尾 崎 400  ⑦ 杉 野 300
③ 片 倉 300  ③ 山 本 300
④ 大 野 300  ⑧ 笹 治 401
⑨ 佐 藤 310  ⑨ 藤 原 410
H 山 田 100  ⑤ 日 比 300
① 岩 田 300  ② 仲 矢 321
⑥ 神 野 210  ① 小 川 200
② 中 浜 200            
振四犠盗残  28 4 0    振四犠盗残 2732
43206        24227

 



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