2014年7月19日 九国大付11-1福工大城東②

観戦レポート / 第96回全国高校野球選手権大会 5回戦 (2014年7月19日・土/筑豊緑地野球場)
TEAM   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10   R  H E
九国付          11 12 
城 東            1  7
【九】滝、安藤-清水 (本)古沢、山本(三)古沢(二)中尾、古沢

【城】貞許、古村、須山-山川 (三)黒田(二)江良

九国・安藤
九国大付・安藤投手

 結果だけを見ると大差のコールドゲームだが、2回が終わった段階ではむしろ福工大城東が押し気味だった。福工大城東は初回、江良の二塁打と犠打のあと、池田はいい当たりの投直に倒れたものの、山川が死球を受け、ここで早くも九州国際大付の先発・滝が降板。代わった2番手の安藤から平山がセンター前にタイムリーを放ち、すかさず追いついた。2回表を左腕・貞許が三者凡退に抑えると、その裏に先頭打者として登場した貞許が投手強襲安打で出塁。2つの犠打で二死三塁のあと、江良はセンターへのいい当たりのライナーに倒れたが、芯で捕える打球が多く、ここまでは福工大城東のペースかと思われた。

 流れが変わったのは3回。二死から河口が2-0からの3球目、ストライクを取りに来た球を中前に運び出塁。九国大付打線は2-0、3-0の場面でも積極的に振ってくる。古沢はファールで粘った後、甘く入ったカーブをレフト前へ。4番・清水はくさいところを突いて歩かせ二死満塁。この選択肢は間違ってなかったと思うが、疋田にも粘られた挙句にセンター前に落とされて2点を失う。続く山本も長打を警戒してカウントを悪くし、変化球をレフトフェンス越しに持っていかれた。古沢といい山本といい、ストライクを取りに来た変化球がやや真ん中に入ったか。二死から四球を挟んでの4連打の迫力に、早くも勝負ありの雰囲気となった。

城東・貞許
福工大城東・貞許投手

 4回の古沢の3ランは、二死一、二塁で貞許をリリーフした右サイドハンド・古村の代わりばなを叩いたもの。追い込まれてからも直球、スライダーを3球ファールし、最後は甘く入ったスライダーを逃さなかった。レフトが数歩歩いて諦めたほどの特大の一発で、福工大城東の戦意を削ぐには十分の効果があった。厳しいコースはファールで逃げながら甘い球が来るのを待ち、その一球を逃さない集中力。5回にも中前適時打でサイクルヒットを達成した古沢がこの試合の主役だった。

 それにしても、1番の中尾から、河口、古沢、清水、疋田、山本と続く九国大付の強力打線は、少しでも甘く入ると逃さない。特に清水、古沢、山本はその体格からして周りの選手より一回り大きく目を引く存在だ。福工大城東投手陣が与えた四死球は、清水の敬遠気味の四球を含めて2つだけ。内野失策で一人出塁を許したが、決して各投手の制球が乱れて自滅したわけでなく、ことごとくヒットを浴びたものだ。九州国際大付打線が一枚上手だったと言えるだろう。準々決勝ではこの強力打線が西短大付の剛腕・小野とぶつかる。

 九州国際大付の先発の左腕・滝は初回4人を投げて走者を一、三塁に置いたところで降板。見切るには、まだ少し早すぎるのではないかと思ったが、結果的にこの投手交代が福工大城東の反撃を封じることになった。2番手としてマウンドに登った安藤は、球はばらついていたが四死球はわずか1つだけ。右打者への内角直球がコースに決まり、この球を軸に投球を組み立てた。

 福工大城東は九州国際大付のような大型選手はいないものの、4番・山川をはじめコンパクトなスイングで対抗し、芯で打球を捕えたが好機にあと一本が出なかった。先発・貞許、2番手・古村ともコーナーをつく丁寧な投球で力投した。しかし走者を背負ってからは長打を警戒してカウントを悪くし、コースを突いた球がファールで粘られるなど、苦しい投球を余儀なくされ、勝負処で投じた一投が甘く入ったところを痛打された。

城東・平山適時打
福工大城東1回2死1、3塁。平山が同点の中前打を放つ。投手・安藤

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