九州大会準決勝コールド敗退の九産大九州に「春」は来るのか




 第135回九州地区高校野球大会が終わりましたが、福岡の高校野球ファンとしては来春のセンバツ出場校が気になるところです。九産大九州は当確ラインの目安と言われる準決勝には進出したものの、九州学院に2-9の7回コールド負けを喫し「選出濃厚」とまでは言えなくなっています。11月14日(金)から始まる明治神宮大会で九州地区代表の九州学院(熊本)が優勝すれば、九州枠4に加えて神宮枠が1プラスされるため同校が選出される確率は高いと思われますが、4枠のままだった場合、九産大九州は選出されるや否や、その可能性を考察したいと思います。
 試合内容の比較は選考委員の仕事ですし、見る人によって評価も変わるでしょうから今回はそこには触れず、「過去に秋の九州大会準決勝でコールド負けしたチームがセンバツに選ばれた時、選ばれなかった時」の傾向を探ってみました。

【2012年】
 この年の準決勝2試合はいずれもコールドゲームという珍しい大会でした。創成館(長崎3位)が優勝した沖縄尚学(沖縄2位)に1-8、尚志館(鹿児島2位)が済々黌(熊本2位)に0-8、いずれも7回コールドによる敗戦を喫しています。
 結論から言えば、2校ともセンバツ出場を勝ち取りました。両校と選考を争ったのは、沖縄尚学に準々決勝で2-3と健闘した熊本工(熊本1位)、同じく準々決勝で済々黌に0-3と競り合いを演じた宮崎日大(宮崎2位)。4校で2枠を争う構図でした。
 このうち創成館は4校の中で唯一3勝をあげていること、また3試合連続完封勝ちの安定感が光りました。さらに創成館は後述するように前年秋の九州大会でもベスト4に入りながら準決勝コールド敗退によりセンバツ出場の逃していましたので、そうした背景も考慮されたと思われます。残る1枠はどこが選ばれてもおかしくないほど拮抗していたと思いますが、佐賀北、長崎日大と甲子園で4強以上を経験し、近年もコンスタントに甲子園出場実績のある両校を連破した尚志館が選ばれました。仮説として、「どこに勝ったか」ということも選考の重要な要素になりそうです。

 ★創成館(長崎3位)
▽1回戦  3-0 神埼清明(佐賀2位)
▽2回戦  1-0 鹿児島情報(鹿児島1位)
▽準々決勝 9-0 久留米商(福岡1位) ※7回コールド
▽準決勝  1-8 沖縄尚学(沖縄2位)

 ★尚志館(鹿児島2位)
▽2回戦  7-3 佐 賀 北 (佐賀1位)
▽準々決勝 6-2 長崎日大(長崎1位)
▽準決勝  0-8 済 々 黌 (熊本2位) 

 ▼熊本工(熊本1位)
▽2回戦  1-0 諫  早(長崎2位)
▽準々決勝 2-3 沖縄尚学(沖縄2位)

 ▼宮崎日大(宮崎2位)
▽1回戦  2-1 佐世保実(長崎3位)
▽2回戦  5-0 宜 野 座 (沖縄1位)
▽準々決勝 0-3 済 々 黌 (熊本2位)

【2011年】
 先述したように、この年は創成館(長崎1位)が準決勝で九州学院(熊本1位)に0-9の7回コールド負けを喫し、センバツ出場を逃しています。代わりに選ばれたのは、同じく九州学院に準々決勝で0-2と健闘した宮崎西(宮崎2位)でした。
 創成館の2勝、宮崎西の1勝でしたが、最終的に九州学院戦の試合内容の比較となり、その評価が優先されました。同じチームに敗れた2校を比較する場合は、当然ながら大敗したチームは印象面からも不利になりそう。また、創成館の2勝は龍谷(佐賀2位)、情報科学(大分1位)。龍谷は1995年以来甲子園から遠ざかっており、情報科学は甲子園経験なし。対して宮崎西は1勝とはいえ、破った自由ヶ丘(福岡1位)は前年センバツに出場し、優勝候補の東海大相模を倒しています。「どこに勝ったか」という側面からも、宮崎西の方に分があったようです。

 ▼創成館(長崎1位)
▽2回戦  2-1 龍  谷(佐賀2位)
▽準々決勝 2-0 情報科学(大分1位)
▽準決勝  0-9 九州学院(熊本1位)

 ★宮崎西(宮崎2位)
▽2回戦  5-4 自由ヶ丘(福岡1位)
▽準々決勝 0-2 九州学院(熊本1位)

【2002年】
 この年は準決勝で佐賀東(佐賀1位)が延岡学園(宮崎1位)に0-7の7回コールドで敗れ、センバツ出場を逃しました。代わりに準々決勝で延岡学園に3-5と競り負けた柳川(福岡3位)が選ばれています。この時は、柳川が1回戦からの登場だったため佐賀東と同じ2勝を挙げており、しかも両校とも対戦した延岡学園との試合内容の比較が可能だったことから、同校と競り合った柳川が上位と判断されました。2011年の創成館もそうでしたが、直接比較に持ち込まれると、どうしても敗れたチームは不利になるようです。
 「どこに勝ったか」を見ると佐賀東は古豪・津久見を破っていますが、同校は1988年以来甲子園から遠ざかっており、近年は目立った成績がありません。一方、柳川が下した海星は同年夏の選手権、前年のセンバツに出場していました。

 ▼佐賀東(佐賀1位)
▽2回戦  3-2 南 部 商 (沖縄2位)
▽準々決勝 3-2 津 久 見 (大分1位)
▽準決勝  0-7 延岡学園(宮崎1位)

 ★柳川(福岡3位)
▽1回戦  3-2 鹿児島商(鹿児島2位)
▽2回戦  5-1 海  星(長崎1位)
▽準々決勝 3-5 延岡学園(宮崎1位)

【2001年】
 長崎南山(長崎2位)が準決勝で九州学院(熊本1位)に4-11と8回コールドで敗れ、準々決勝で延岡工(宮崎3位)に0-1と惜敗した福工大城東(福岡1位)が選出されています。この時は同一チームを間に置いての直接比較はできませんでしたので、それぞれの試合内容が個別に検討されました。例によって「どこに勝ったか」を検証してみると長崎南山は2勝ながら日章学園、川内と甲子園での実績がほとんどないチームです。対して福工大城東は夏の甲子園3度の準優勝がある名門・熊本工。96年夏の松山商との決勝戦も当時は(選考委員にとっても)まだ記憶に新しかったと思われます。

 ▼長崎南山(長崎2位)
▽2回戦  9-2 日章学園(宮崎1位)※8回コールド
▽準々決勝 3-2 川  内(鹿児島2位)
▽準決勝  4-11  九州学院(熊本1位)※8回コールド

 ★福工大城東(福岡1位)
▽2回戦  7-0 熊 本 工(熊本2位)※8回コールド
▽準々決勝 0-1 延 岡 工(宮崎3位)

 こうやって見てくるといくつかの傾向が見えてきます。①準決勝でコールド負けした相手に準々決勝で善戦しているチームがあれば、そちらが選ばれるケースが多い、②「どこに勝ってきたか」も重視される。
 以上を踏まえたうえで、改めて今回の九州大会の成績を見てみましょう。①を今年に当てはめると当該チームは中部商ということになりますが0-6といいところなく敗れており、この線からの選出はなさそうです。選考を争うのは準々決勝で糸満に延長戦の末、敗れた明豊(大分)と、同じく延長で神村学園に敗れた東福岡ということになります。
 この3校が勝ってきたチームを見てみると、九産大九州は鳥栖工と延岡学園(昨年夏の甲子園準優勝)。明豊は聖心ウルスラ(2005年夏の甲子園に出場)。東福岡は創成館(昨年、今春のセンバツ出場)。これだけを見ると九産大九州と東福岡の争いになりそうですが、東福岡は直接対決(福岡県大会決勝)で九産大九州に敗れています。したがって今回の分析からは九産大九州がやや有利、というのが結論ですが…結果やいかに。
 まずは九州学院の明治神宮大会での活躍を期待しましょう。

 

2014九州大会_秋_最終

 

Pocket
LINEで送る

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.


*