台風で2日順延となっていた第96回全国高校野球選手権大会、今日無事に開幕しました。順調に大会が進めば、4日目(8月14日・木)の第2試合に九州国際大付が登場します。
さて今日は九州国際大付の投手力を見てみたいと思いますが、打線と違って投手陣はどう判断したらよいか正直悩ましいところです。まず、大黒柱と言える投手が不在で、3人の左投手と1人の右投手が交互に登板しています。投球回数で見ると7試合中6試合に登板した背番号1の安藤投手が6割以上を占めていますが、先発はわずか1試合。残る6試合は滝、富山、アドゥワの各投手が2試合ずつ先発のマウンドにあがっています。
ただ、安藤以外の投手が先発した場合は、まだ交代は早いのではないか、と思われるような場面でも、早めに安藤投手にスイッチしてきます。そのため若生監督の安藤投手に対する信頼度は高いようですが、逆に考えると9回を投げ切るにはスタミナが心配…と言えるのかもしれません。
いずれにせよ、甲子園でもその時に調子のあがっている投手が先発し、少しでもピンチになれば安定感のある安藤投手につなぐ、という戦いになりそうです。
【九州国際大付の試合ごとの登板投手と投球回数】
2回戦・西田川 12-1 滝 (5回)
3回戦・飯塚 5-2 安藤(9回)
4回戦・嘉穂東 6-1 富山(3回)~安藤(6回)
5回戦・福工大城東11-1 滝 (1回2/3)~安藤(5回1/3)
準々決・西短大付 8-1 アドゥワ(1回2/3)~安藤(5回1/3)
準決勝・自由ヶ丘 7-1 アドゥワ(2回)~安藤(7回)
決勝 ・北筑 16-0 富山(5回)~滝(1回)~安藤(3回)
3人の左投手ですが、安藤は182センチの長身で富山が178センチ、滝は172センチとやや小柄。身長はそれぞれ違いますが、いずれも130キロを少し超える直球とカーブを中心に投球を組み立てる似通ったタイプです。
安藤投手はこれという特徴が上げにくいのですが、長身の割にテイクバックが小さいため、球の出どころが見づらいのかもしれません。特筆すべきは35回2/3を投げてわずか6つという四死球の少なさ。1試合平均で1.5という数です。被安打は37(1試合平均9.25本)と多いため抑え込んでいる印象はあまりないのですが、無駄な出塁を許さない分、最少失点に抑えることができています。ただ、被安打の数は正直気になるところ。福岡大会のように打たれながらも要所を抑える投球が、全国の強豪相手にどこまでできるでしょうか。
2年生の富山投手も投球回数は8イニングスですが四死球0と安定しています。滝投手は右打者外角低めを中心に回転のよいキレのある球を投げ込んできます。右腕のアドゥワ投手は196センチの長身で、腕が長くひょろりとした体格。球威はやはり130キロ前後ですが、上背があるだけにカーブの落差を大きく見せることができます。
【九州国際大付の投手成績】
投手 登板 先発 完投 投球回数 被安 四死 奪三 自責 防御率
安藤(左)6 1 1 35・2/3 37 6 19 4 1.00
富山(左)2 2 0 8 4 0 5 0 0.00
滝 (左)3 2 1 6・2/3 4 4 7 2 2.57
アドゥワ 2 2 0 3・2/3 2 5 5 0 0.00
合計 13 7 2 54 47 15 36 6
福岡大会で全国レベルの好投手を打ち崩し、全国相手でも十分通用すると思われる打線に対し、福岡大会で戦ってきた相手の打撃力が全国レベルかと言われると少し疑問です。そのため7試合で7失点という好成績を残したとはいえ、投手陣の評価はなかなか迷うところです。
ただ練習試合では多くの県外強豪校を抑え込んできたこともあって、自信を持って打者に向かっている様子がうかがえます。福岡大会ではほとんどの試合を、強力打線の十分な援護のもとで投げてきた投手陣。その真価が問われるのは、甲子園の舞台になりそうです。
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