夏の福岡代表校を振り返る⑧(第17回大会・小倉工)~県勢3校目の4強入り




1931年(昭和6年) 第17回選手権大会/小倉工(2年連続2回目) 優勝=中京商(愛知)初
 

 前年夏のメンバー7名が残り、春の選抜大会にも出場した小倉工が、北九州大会でたびたび苦戦をしながらも2年連続で夏の甲子園を勝ち取った。甲子園では危なげない試合ぶりで県勢3校目となるベスト4に進出したものの、準決勝で台湾代表の嘉義農林に大敗を喫し、決勝の舞台はまたしてもお預けとなった。

【1回戦】
敦賀商(福井)は北陸代表として、7年連続の夏の選手権に駒を進めた北陸の名門。小倉工が前年夏の主力を擁しての参加ならば、敦賀商も同様に前年夏に1勝した時のメンバーがほぼ残っており、好試合が予想された。
だが試合は初回に敦賀商の守備の乱れもあって小倉工が3点先取、3回にも3点を加えて序盤で勝負を決めた。投げては植田投手が2安打完封。敦賀商は7失策と乱れたのに対し、小倉工はショート・田才を中心に守りが堅く無失策と相手に付け入る隙を与えなかった。

【2回戦】
この試合は送りバント失敗や記録には残らない守りのミスなどが両チームに多かったが、植田投手がアウドロ(外角へのドロップ=今でいう縦のカーブ)と、横手投げからのシュートを駆使して要所を締め、接戦をものにした。小倉工打線は中軸が好調で、特に6番・酒井は2本の二塁打を放つなど、2試合で7打数5安打。

【準々決勝】
植田投手の立ち上がりが乱れ初回にいきなり3点を奪われたが、その裏に2点を返すと、2回には植田の左翼へのホームランなどで一挙に6点を奪って逆転。その後も攻撃の手を緩めず、先発全員安打となる16安打に10四死球を絡めて大量22点を挙げた。植田は3回以降立ち直り、大差がついた6回からは酒井をマウンドに送って翌日の試合に向けて植田を温存する余裕を見せた。

【準決勝】
台湾代表の初陣・嘉義農林は日本人のほか台湾人、高砂族で編成された異色のチーム。粗削りながら豪壮な野球で、準々決勝の札幌商戦では20安打8盗塁とグラウンドを駆け回り、19-7でベスト4に進出してきた。
初回、嘉義農林は四球、敵失策などで作った一死二、三塁から4番・呉が三遊間安打で2点を先制。2回にも2安打2四球と暴投で1点を追加した。7回にはヒット、野選、四球などで得た一死満塁から、遊ゴロ失と小里の中前打で2点を加えてリードを広げた。
7回まで無得点に抑えられていた小倉工は8回にようやく反撃。松井、田才の連打に重住が敵失で出て無死満塁。一死後、新富が左前打を放ってまず1点。植田の遊ゴロでさらに1点を加えたが、反撃もここまで。8回裏に決定的な5点を失い勝負あった。
植田投手は中盤立ち直ったかに見えたが、7・8回に4つの四死球から崩れ、5安打を浴びて大量失点を許し、力尽きた。

▶福岡県の甲子園成績

◇1回戦
            一二三四五六七八九 計HE
敦 賀 商  0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 2 7

小 倉 工  3 0 3 0 0 0 0 0 x  6 5 0
【小倉工】  打安 【敦賀商】  打安
6 田  才 20 7 河  内 30
3 重  住 30 2 伊  原 31
2 新  富 41 1 立  石 40
1 植  田 30 4 栗  田 40
4 藤  本 31 9 大  井 30
7 酒  井 43 5 角  野 30
5 山  田 30 8 網  家 31
9 古  田 30 6 竹  野 30
8 松  井 20 3 豊  川 20

振四犠盗残 27 5   振四犠盗残 28 2
54143     63004

◇2回戦
        一二三四五六七八九 計HE
長 野 商  0 0 0 0 0 1 0 0 1  2 6 1

小 倉 工  0 1 0 1 0 1 1 1 x  5 9 2
<三>藤本、水沢 <二>新富、酒井2
【小倉工】  打安 【長野商】  打安
6 田  才 40 6 柄  沢 41
3 重  住 30 4⑸竹  原 30
2 新  富 41 2 小  林 42
1 植  田 32 7 木  藤 30
4 藤  本 42 5⑴滝  沢 41
7 酒  井 32 1⑷水  沢 32
5 山  田 31 8 白  鳥 40
9 西  村 20 9 北  沢 40
⑼ 古  田 00 3 海  野 40
8 松  井 31           
振四犠盗残 29 9   振四犠盗残 33 6
25035     63037
◇準々決勝
       一二三四五六七八九 計HE
大 社 中  3 1 0 0 0 0 0 0 0  4  6 5

小 倉 工  2 6 4 1 5 1 0 3 x 22165
<本>植田 <三>酒井、山田、重住
【小倉工】 打安 【大社中】  打安
6 田 才 21 5 清  水 52
3 重 住 53 6 板  倉 40
2 新 富 43 9 木  村 52
1⑺植 田 52 2 加  本 31
⑺ 山 本 00 1 飯  山 41
4 藤 本 51 3 伊  藤 30
7⑴酒 井 41 8   椿  40
5 山 田 31 7 川  上 40
9 西 村 31 3 中  山 40
⑼ 古 田 21
8 松 井 42          
振四犠盗残 3716  振四犠盗残 36 6
510434      44119
◇準決勝
           一二三四五六七八九 計 HE
小倉工   0 0 0 0 0 0 0 2 0  2  8 6

嘉義農林  2 1 0 0 0 0 2 5 x 10 9 1
<二>松井
【小倉工】 打安 【嘉義農林】打安
6 田 才 41 7 平 野 32
3 重 住 40 8  蘇  30
2 新 富 42 6 上 松 51
1 植 田 41 1  呉  42
4 藤 本 40 2  東  50
7 酒 井 40 5 真 山 51
5 山 田 22 3 小 里 43
9 古 田 30 4 川 原 10
H 西 村 10 9 福 島 30
8 松 井 42         

振四犠盗残 34 8    振四犠盗残 33 9
32017    28137

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